フィルム・レビュー:
『オアシス:ドント・ルック・バック・イン・アンガー』(2026年)感想
驚いたことに僕はほとんど泣きっぱなしだった。昨年のチケット争奪には敗れ、復活ライブには行けていないせいもあって、興奮しきれずに映画館へ向かったけれど、カーディフでの復活ライブ初日の映像が流れた時、僕は涙をこらえきれなかった。
何がこんなにも僕を揺さぶるのか。それこそがオアシスがオアシスたる理由であり、結局答えは分からない。しかしリアムのソロでもノエルのソロでもなく、オアシスとしてステージに立った姿を見た途端に、毎日をなんとかここまでサバイバルしてきた僕たちは、僕たち自身までをも圧倒的に肯定してしまう。なんでだろう。
僕はノエルのことを随分と誤解していたようだ。僕はこの映画を見てノエルのことがいっぺんに好きになった。彼だって僕らと同じに心を痛めて思い悩む普通の人間なんだ。もうどっちがどうとかそんなことはどうだっていい。最後の「ドント・ルック・バック・イン・アンガー」のなんて素晴らしいこと。僕は尚の事涙が止まらなかった。
映画は単なる復活ライブのドキュメンタリーではなく、根底に「赦し」というテーマが流れていた。いつまでも続く戦争や分断に対して有効な手立てはないのかもしれない。僕たちは政治家ではないけど、僕たちは僕たちとして「赦す」行為は出来る。
『ドント・ルック・バック・イン・アンガー』。怒りで振り返ってはいけない。それは他人に対してだけではなく、自分自身に対しても。単に代表作をタイトルにしただけだと思っていたが、まったく違った。こんな感動的な映画だとは思わなかった。