ポエトリー:
「回転をする心」
野原に
見事な回転をする心があった
片方の紐を引っ張ると少し宙に浮き
もう片方の紐を引っ張ると地面を掘った
小さくうおんうおんと音を出して
少し土煙をあげた
ときおり人が横切った
動物も横切った
ほかの有機物やまたは無機物も横切った
横切るとき
そのうちの誰かはどちらか一方の
あるいは両方の紐を引っ張った
夕暮れどき
陽が照るとき
大雪の日
誰かがどちらかの紐を引けば
心はうおんうおんと音を出し
少し浮いたり少し掘ったりした
少し土煙をあげて
見事な回転をする心は
ソクラテスの時代からそこにあった
最近はめっきり
野原に人が横切らなくなった
横切る動物やほかの有機物や無機物もはるかに少なくなった
せっかく見事な回転をする心があるというのに
野原に
見事な回転をする心がありました。
ある朝、私は看板を立てました。
「片方の紐を引っ張ると少し宙に浮き、
もう片方の紐を引っ張ると地面を掘ります。
小さくうおんうおんと音を出して、
少し土煙をあげます。
安全です。
皆さん、どうぞご自由に。
ご遠慮なく。」
誰か
気づいてくれればよいのだけど。
2026年7月