Council Skies / Noel Gallagher’s High Flying Birds 感想レビュー

洋楽レビュー:

『Council Skies』(2023年)Noel Gallagher’s High Flying Birds
(カウンシル・スカイズ/ノエル・ギャラガーズ・ハイ・フライング・バーズ)

 

ノエルのソロもこれで4枚目。と言っても前作が2017年だから随分と久しぶり。アルバムとしては間が空いたものの、ワーカーホリックのノエル兄さんのことですから、もちろん何もしていなかったわけではなく単発でポンポンと新曲は発表しておりまして、なのでこちらとしてもそれほど間隔が空いた感はないです。

前作は思い切ったサウンドで僕は結構好きだったんですけど、今回はサウンド的なチャレンジは一切なし。曲を聴かせるためのアルバム作りに徹しています。ということでノエル兄さんの最大の魅力であるソングライティングに思いっきり焦点を当てた作品になっています。全部で10曲と少ないですけど、流石にいい曲ばかり。書き溜めてた分なのか近年に書いたものなのかは分からないですけど、これまでにも100曲以上を書いて、もう50才を幾つか越えているのに、未だこんな引き出し持ってるんだからやっぱこの人はソングライティングの化け物ですね(笑)。

ただこうなるとですよ、やっぱあの人の声でこのグッドメロディを聴きたくなるというのが人情でしょう(笑)。結構ファルセットもあって難しい曲も多そうですけど、オアシス晩年のではなく、今の絶好調リアムさんなら歌えんじゃないのかなと。ノエル兄さんの歌も味があっていいんですけどね、やっぱこの人のボーカルは突き抜けた魅力は希薄なんで(笑)、そこを前作みたいにサウンドや曲編成なんかで面白い事やってくれると、これがノエル兄さんのやりたいことかぁと楽しく聴けるんですけど、こうも歌に振り切っちゃうとリアムさんの声が頭をもたげてしまいます。。。

前作みたいな変わったことやってると、旧来のファンからは嫌がられるし、かと言って普通にいい歌を書くとリアムの声で聴きたいと言われるし、ノエル兄さんもなかなかハンドリングが難しいとこですね。ただ、アルバム自体はすごくいいですよ。曲はオアシス後期からソロ作含めてもかなりトップクラスの出来栄えだと思います。だからこそ頭の中で簡単にリアムさんの声に変換できちゃうっていう微妙な感じはありますが。。。#6『Easy Now』なんてまんまやん(笑)。

C’mon You Know / Liam Gallagher 感想レビュー

洋楽レビュー:
 
『C’mon You Know』(2022年)Liam Gallagher
(カモン・ユー・ノウ/リアム・ギャラガー)
 
 
 待ちに待ったソロ活動とはいえ、3作目にもなると新鮮味が薄れつつあるのも確か。リアム自身が今回のはいろいろやってるから、イマイチだったとしてもコロナのせいにして次はガッツリやればいい、なんて気弱なことを言っていたものだから、低調な期待値で聴き始めたんですけど、いやいやこれは今までと比べてもかなりいいです。
 
ファンとしてはリアムの声が聴きたい、それも景気のいい曲で。という期待に真っ向から応えたソロ1作目があって、2作目は更にまな板の鯉状態で歌うことに徹したリアム、を経ての3作目という感じがやっぱりあります。気弱発言もありましたが、ここまでいろいろな曲調にトライアルできたのは、やっぱり1作目2作目の大成功があってこそ。ヴァンパイア・ウィークエンドのエズラとコラボなんて以前のリアムなら考えられない。つーか、二人が会話してるのは今も想像つかない(笑)。
 
曲の練度で言えば今回が一番ですね。これまでどおりの制作チームではありますが、彼らの自由度も大幅にアップしています。ま、歌のないとこですね。1曲目なんて、リアムの声が聴けるまで1分近くかかるんですけど、しかもゴスペル(笑)。でもこれが全然OKなんですねぇ。他の曲でもアウトロを長めに取ったり、バンド演奏で聴かせるところがあったりしますし、リアムの声がメインなんだからという枷が取り払われて、素直に曲としての完成度が高くなってます。
 
ホントにもうオアシス云々というところから離れて、今のリアム・ギャラガーのアルバムということで完全に成立した感はありますね。そのリアム自身のボーカルもですね、皆の期待に応えねばというところではなく曲に合わせた自然体というか、アクの強い若手俳優がいつの間にか渋い演技をするベテラン俳優にになったみたいな感じというか、すごく肩の力が抜けて、余裕のある表現になっている気はします。アルバム・タイトルを「ボーカリスト」、もしくは「リアム、シナトラになる」にしてもいいぐらい。そりゃ言い過ぎか(笑)。
 
いやでも色んな曲があってなかなかですよ、このアルバム。リアムの壮大なバラードが好きな身としては、そういうのが#5『Too Good For Giving Up』1曲しかないのは寂しいですが、それをあまりあるバラエティーの豊かさ。ヴァンパイア・ウィークエンドっぽい曲も見事に歌いこなしているし、デイヴ・クロールが参加しているからフー・ファイターズっぽいのもあるし、もちろん今までどおりのもある。#11『Better Days』のコーラスで「Believe me, yeah」って伸びるとこなんて最高ですね。
 
そうそう、タイトル曲の#4『C’mon You Know』と#8『World’s In Need』はリアム単独作ということらしいです。リアムのソングライティングと言えば、繰り返しの多いシンプルなものというイメージがありますが、今回は2曲ともビッグなコーラス付き!こんなの今まであったっけ(笑)、というぐらいの曲が書けるんだからやっぱ今はいい状態なんやね。

映画『オアシス:ネブワース 1996』(2021年)感想レビュー

フィルム・レビュー:
 
『オアシス:ネブワース 1996』 (2021年)
 
 
劇中で「リアムはこの時が声もルックスもピークだ」なんて言っている人がいましてですね、いやいやデビュー当時もカッコエエし、なんなら今の大人な渋さもエエやんって心の中で思いまして。で、映画を観終わって帰る道すがら当然のごとくYOUTUBEだなんだと色々見返していたんですけど、やっぱり思ったんですねぇ、「ネブワースのリアムが一番カッコエエやん!!」と(笑)。
 
そりゃデビュー当時は『Live Forever』の裏声だって自分で歌ってたし、アラフィフの今は今で渋くって好きなんですけど、あの大声と爆発力はやっぱネブワースの頃だなと。しかも映画観てるとタバコ吸いながら歌ってるシーンもあって、それであの声ですからやっぱこの人すげえなと。ま、この不摂生のせいでこの後は声がダメになっちゃうんですけどね(笑)。それにしても『Slide Away』のラスサビ後のコーラスをリアムががなり立てるとこはめちゃくちゃカッコエエ!!
 
オアシスが解散して十数年経ちますけど、過去に一度でも彼らの音楽に夢中になったことがある人なら、この映画はきっと気に入ると思います。僕もちょっと忘れかけてたんですけどね、この映画を観て思い出しました、リアム、すげぇって。ネブワース公演自体は何年も前からYOUTUBEで見れるんですけど、多分もう皆忘れてしまってると思うんですね。そこへこうやって改めて映画館で観るとですね、『Don’t look Back in Anger』と『Wonderwall』を同じ週に書いて『The Masterplan』をB面にするソングライティングの化け物ノエルと、天性のフロント・マンであるリアムがいるあのとんでもなかったオアシスの特別感というのがまたよみがえってくる感じはありますね。
 
映画は、僕はてっきりフィルム・コンサートみたいな感じかなと思ってたんです。でも全然違って、ネブワース・ライブに参加した当時の若者、25年経ってますから今はもういい年をしていますけど、彼彼女らの証言で進んでいきます。彼彼女らがどういう思いであの日に臨んだのかっていうところに焦点を当ててですね、何しろイギリス国民の2%がチケット争奪をしたっていうぐらいですから、そのチケットをどうやってゲットするかというところから始まって、片田舎のネブワースに到着するまでの姿を、それだけじゃなくラジオ中継もあったので参加できなかった子たちがラジカセの前で準備する様子とかもね、当時の映像なんかも交えながら進んでいきます。
 
これがすごくよかったです。こういう映画にありがちな業界関係者の証言とかじゃなく、ファンの声ですよね、それがいかに彼彼女らにとってオアシスがどういう存在であったというのをちゃんと伝えてくれるんです。今じゃもう彼彼女たちは中年ですよね。ここまで色々ありながらも何とかサバイブしてきた。その人生半ばを過ぎた今、過去を振り返ったときに何があったかというとね、人に自慢できるものはなかったかもしれないけれど、あのオアシスとの日々があったという事実。実際栄光を掴んだのはオアシスであってファンの子たちではないんですけど、俺たちも栄光を掴んだ、あの時の俺たちは輝いていた、そんな風に思わせる力がやっぱりオアシスにはあった、その象徴としてネブワースはあったんだなというのがヒシヒシと伝わってきて、これはちょっと感動的でもあるんです。
 
今はコロナですからライブにも行けなくて、僕自身もこれまでにチケットを買ったものの行けなかったライブが4つあります。エンターテインメントは不要不急呼ばわりされて、それも仕方ないとは思うんですけど、音楽が必要なんだという人は世界中に沢山いて、実際に誰かの人生に寄与してきた、そういう事実をこのコロナ禍にあって図らずもこの映画は示してくれた、そんな気もします。
 
あとさっき当時のイギリス国民の2%云々って話をしましたけど、映画を観る限りは白人の若者ばかりなんですよね。たま~に黒人とかアジア系とかいますけど、ほぼ白人。イギリスはパキスタン移民も多いはずなんですけど、ネブワース公演の映像を観る限りはほとんどが白人の男女。だからどうなんだということではないんですけど、2021年の今ではそういう目でも見てしまうとこあるなとは思います。当時の白人じゃない若者はどうだったのかなぁって。
 
映画は2週間ほどで公開を終了するみたいですから、今更オアシスっつってもな~って迷っている人がいたら、ちょっと時間に余裕があれば、観に行ってもらいたいなと、得るものはあるんじゃないかなとは思います。
 
私はなんか今の勢いじゃ、もうすぐリリースされるネブワースのCDを買ってしまいそうです(笑)。映画を観た後だと、オリジナルのスタジオ録音バージョンは物足りないんだよなぁ(笑)。

Why Me? Why Not./Liam Gallagher 感想レビュー

洋楽レビュー:

『Why Me? Why Not.』(2019)Liam Gallagher
(ホワイ・ミー?ホワイ・ノット/リアム・ギャラガー)

 

いや、いいんじゃないですかこのソロ2枚目。いい具合に肩の力が抜けてリアムの声がスゥーッと入ってくる。まぁここに至るまで紆余曲折があったわけで、ソロ1作目の手探りな緊張感もいいですが、ここでようやくリアムも本来の調子を取り戻したってことでしょうか。

肩の力が抜けてホントいい声なんですよ。若き日のあの行ったらんかいボーカルではなく、年相応の声といいますか、いやでも妙に瑞々しいんです。このイノセント感はなんなんですかね?

てことで改めて『Definitely Maybe』と『Morning Glory 』のさわりを聴いてみたんですけど、やっぱ当然ながら若い(笑)。だから声質が全然違う。けど今回の声はそん時とはまた違った意味で若く聞こえるんですね。我々は一時期のあの声が伸びなくなったリアムを知っていますから、これは余計にね、リフレッシュして新しい声を手に入れたなと。ちょっとおおっ!となりますね。

てことで今回のリアムさんは歌うことに徹してます。前回は8曲もあった自作曲は今回は無しです。この辺の潔さ。リアムのソングライティングもそんなに悪くないのですが、もうちょっとトライしてみようとかそういった半端な欲が一切ない!俺は歌うからもういいと(笑)。流石、はっきりしてる!

ではっきりしてるのはソングライターチームも同じでもう方向性が一貫している。前回に引き続きグレッグ・カースティンとアンドリュー・ワイアットの2名を筆頭に多くの制作陣が名を連ねているんですが、皆いい曲を書くことに注力している。少々ベタでも兎に角いい曲を。はっきり言って他のミュージシャンには出せないような、ビートルズ丸出しのキャッチーな曲だって沢山あります(笑)。一部、「リアム、ビートルズを歌う」になってます(笑)。でもいーんです。いーんですというか、言い換えるとそういうあからさまな曲を歌ってもリアムの曲になってしまうぐらい今のリアムの声は絶好調なんです。

ここまで来るともうリアムさん、シナトラですね。なんでも自分のものにしてしまう伝説のシンガーです。つーことでこのアルバムは別名「リアム、ビートルズを歌う」、もしくは「リアム、シナトラになる」でどうでしょうか(笑)。

まぁそれぐらいですね、制作陣も惜しみなくよいメロディを注ぎ込んでいる。その意図がよ~く分かるのがどの曲もアウトロ、めっちゃ短い!リアムの歌が終わったら、スッと引いちゃう。もうちょっと余韻があってもいいなと思うような曲でも歌が終わるとバッサリいっちゃいます(笑)。ここまではっきりしてると逆に気持ちいい!

それにしてもリアムがこんな普通の素晴らしい歌のアルバムを出してくるとは思わなかったですね。でもって唯一無二の声の持ち主ながらここに来て、相反する誰の所有物でもない普遍的な声になっている。やっぱそこですよね、このアルバムは。

音楽的に新しい訳でもないし、批評家たちからは相変わらず評価されないけだろうけど、色んな音楽ジャンルがごちゃ混ぜになって益々細分化されていく時代に、ただいい歌をいい声が歌うっていう。そういう埃をかぶった価値観を図らずも改めてここで提示した。ちょっとおおげさかもしれないですけどね、そういう意味では新しくないけど新しいと言える、新鮮な空気を運んでくれるアルバムだと言えるんじゃないでしょうか。

 

Tracklist:
1. Shockwave
2. One of Us
3. Once
4. Now That I’ve Found You
5. Halo
6. Why Me? Why Not.
7. Be Still
8. Alright Now
9. Meadow
10. The River
11. Gone

(Deluxe edition bonus tracks)
12. Invisible Sun
13. Misunderstood
14. Glimmer

 

Heathen Chemistry/Oasis 感想レビュー

洋楽レビュー:

『Heathen Chemistry』(2002年)Oasis
(ヒーザン・ケミストリー/オアシス)

 

今年のサマソニにノエルが来るってことで、最近のノエルのセット・リストを眺めてたら『Little by Little』が載っていて、なんかちょっと聴きたいなぁと思って久しぶりにアルバム『ヒーザン・ケミストリー』を聴いてみたら今さら気に入っちゃって、最近は結構な頻度で聴いている。とまあ、聴いてると色々思うところがあったので、今さらながらのレビューです(笑)。

オープニングは1stシングルにもなった『The Hindu Times』。シングルらしい明朗な曲だ。タイトルどおりノエルのインド趣味が出ています。ま、このぐらいならかわいいもの。前作の『スタンディング・オン・ザ・ショルダー・オブ・ジャイアンツ』で見せたサイケデリアも継承しています。

1曲目の流れを引き継いでたゆたうドラム・マシーンから入るは、『Force of Nature』。ノエルのボーカル曲だ。大体ノエルは一番いい歌を歌いたがるんだけど、この曲はそうでもないような…。でもこの高音はこん時のリアムにゃムリだな。続く3曲目はゲム・アーチャー作。ってことで今作はドラマーのアラン・ホワイト以外のメンバー4人が作詞曲を行っているのも特徴。で3曲目の『Hung in a Bad Place』。これがなかなかいいんです。結論から言って何ですが、このアルバム、結構いい曲があって良盤だと思うのですが、カッコイイかとなるとちょっと答えに詰まります。そんな中『Hung in a Bad Place』はいい線言ってます。アルバム中随一のカッコイイ曲がゲム作っていうのも何ですが…。

で4曲目は渾身のバラード、『Stop Crying Your Heart Out』。やっぱリアムの声はいいね。だいぶ盛り上がってますが、ストリングスなんか無くっても多分ええ曲です。続く『Song Bird』はリアム作の小品。ってかリアムはいい小品書くねぇ。昨年のソロ・アルバムを含めても、僕はこの曲がリアムのベストではないかなと。

続いては『Littele by Littele』。ノエルが血管浮き出して歌っている姿が目に浮かぶ(笑)。普通にいい曲。安定感抜群。これぞノエル。やっぱ盤石やね。

次の『A Quick Peep』はアンディ作の短いインスト。その次の『(Probably) All in the Mind』と『She Is Love』の流れが僕は結構好きです。『(Probably) All in the Mind』の方は若干のサイケデリアを絡ませつつハッピーな雰囲気でいい感じ。どっかで聴いたことのあるようなっていうノエル作にはよくパターン(笑)。『She Is Love』もいい。リアムが『Song Bird』ならノエルはこれって感じかな。曲のこなれ具合が全然違うけどどっちもいい曲だ。

10曲目の『Born on a Different Cloud』はリアムの作詞曲。こんな大曲も書けるんやね。今のリアムがこういうのに取り組んでみても面白いかも。続く『Better Man』もリアム作。まあこれはこんなもんというか、だいぶバンドに助けられてるというか(笑)。そうそうこのアルバムはサウンドがいいのです。素直にバンド感が前面に出ててそういう部分もこのアルバムの風通しを良くしている一因じゃないかな。そういや今のノエルのバンドにはゲムも参加しているみたいなので、今年のライブではゲムのギター・プレイも楽しみだ。で最後はノエルがボーカルの『You’ve Got the Heart of a Star』で締め。ゆったりとした穏やかな曲で終了です。

ガツンと来るのが『Hung in a Bad Place』だけなのがちょっと寂しいけど、ここに来てバンド感が高まってきているし、何より全体を通していい曲が揃ってる。初期のアルバムが強烈過ぎるから目立たないけど、僕は地味に穏やかでいいアルバムだと思います。ただまあ、オアシスが地味に穏やかってのがやっぱアレなんやろね(笑)。

 

1. The Hindu Times
2. Force of Nature
3. Hung in a Bad Place
4. Stop Crying Your Heart Out
5. Song Bird
6. Little by Little
7. A Quick Peep
8. (Probably) All in the Mind
9. She Is Love
10.Born on a Different Cloud
11.Better Man
12.You’ve Got the Heart of a Star

『フー・ビルト・ザ・ムーン』を聴いて思った事

 

『フー・ビルト・ザ・ムーン』を聴いて思った事

 

ノエル・ギャラガーの『フー・ビルト・ザ・ムーン』の評判がすこぶる良い。僕も最近よく聴くのはもっぱらこのアルバムだ。進化したサウンドがノエルのソングライティングを一段も二段も引っ張り上げており、ただでさえ次元の違うノエルの曲が、また別のステージに向かっていることを感じさせる全く新しいアルバムだ。というわけで僕はこのアルバムを勝手に「ノエル、宇宙の旅」なんて呼んでいる。

ソロになってからのノエルは勿論曲がずば抜けているのだからいいことはいいのだけど、どうしてもあの声にやられた身としてはそこにあの声を探してしまう。けれどこのアルバムにはもうそれはほとんど感じられない。ノエルの声として成立してしまっているからだ。要するにそれだけオアシス的なものからかけ離れたサウンドになっている訳だけど、じゃあ仮に今ノエルがリアムが歌うことを前提として曲なりサウンドなりを作ったなら、ここまでの曲想の広がりは望めたかどうか。

勿論、稀有な二人がそのまま揃っていたとして、再びとんでもない化学反応が起きて今回とは全く違う角度で新たな傑作が生まれていたのかもしれないが、やっぱりそれは可能性としてはかなり低かった訳で、そうなるとやはり二人が別の道を行くというのは意味があったということなのだ。

ただここまで来るのにノエルはソロ3作を要したわけで、やっぱりそれだけの時間が必要だったのかもしれず、そう考えると昨年ようやくソロ・アルバムを出したリアムだって、確かにあれはオアシス的なものを全肯定してゆくアルバムでそれはそれで素晴らしかったんだけど、時間をかけていけば今後どうなっていくかは分からないし、リアムはリアムで別の次元の新しい扉を開けていくかもしれない。そういうわけで類まれな才能を更に解放させるためにもそれぞれがそれぞれの制約から離れるというのはとても大事な事なのかもしれない。

で結局僕らが望むのは二人が妥協して(二人に限ってそんなことはあり得ないけど)ありきたりな作品を残すってことじゃなく、どうせなら僕らファンを置き去りにするぐらいの新しい力に溢れた瑞々しい作品であって、それはもう二人が組もうが別々に進もうが変わりはないこと。だからそういう流れの中で、二人がまた同じ方向を向いて、じゃあこっち行くぜってなりゃあそれは勿論めちゃくちゃ嬉しいことだけど、それはやっぱ二次的な事なんだな。

だから僕が『フー・ビルト・ザ・ムーン』を聴いて思った事、というよりむしろノエルとリアムが新しいアルバムを出した2017年を受けて今思うことは、これがリアムの声だったらとか、これがノエルの曲だったらとかってのはまぁ飲み屋のネタぐらいにして、僕たちもそろそろノエルはノエルとして、リアムはリアムとして接していく、そういうものの見方が体に馴染んできているのかなってことです。勿論これは大いに前向きに捉えていい事ではないでしょうか。

Who Built The Moon/Noel Gallagher’s High Flying Birds 感想レビュー

洋楽レビュー:

『Who Built The Moon』(2017)Noel Gallagher’s High Flying Birds
(フー・ビルト・ザ・ムーン/ノエル・ギャラガーズ・ハイ・フライング・バーズ)

 

ノエルは事前に曲を用意しサウンド・デザインもあらかた決めてからレコーディングに入る人で、その完璧主義者ぶりはオアシス・ファンの間では有名だ。そのノエルが今回は20年以上のキャリアの中で初めて曲を何ひとつ用意せずスタジオに入ったという。プロデューサーのデヴィッド・ホルムスと二人きり、あーでもないこーでもないとサウンドのアイデアを練りつつ後から曲を作るという従来とは全く逆のパターンで取り組んだそうだ。

多分ノエルなら手癖でいい曲を幾らでも書けるだろうしそれなりのアルバムを作れるだろうけど、それでノエルが満たされるかっていうとそうではないだろうし、そこに目を付けて「じゃあ、いっちょやったるか」ってノエルのモチベーションに着火させたデヴィッド・ホルムスの手腕(なんと『ザ・マン・フー・ビルト・ザ・ムーン』のサビを7回も書き直させた!)がこのアルバムの全てだろう。

てことでいつものノエル節といやぁノエル節なんだけど、その出所が違うとこうも違うかってぐらい次元が違う切れ味というか、もちろん今までのノエルの曲も最高なんだけど、ちょっとこれは別のとこへ行っちゃったなって印象で、例えて言うなら別の惑星に行って宇宙服着て帰ってきたって感じ(笑)。ということでこのアルバムを僕は心の中で「ノエル、宇宙の旅」って呼んでます。どっちにしても今までとは分けて考えた方がいいかもしれない。

ノエルより先に出たリアムのソロも相当かっこよかったんだけど、ちょっとベクトルが違い過ぎて笑ってしまう(どっちがどうという意味ではなく)しかないというか、ビッグ・セールスを上げるリアムを横目に余裕ぶっこいてたのがこのアルバムを聴けばよく分かるし、ノエル自身も「今の俺はピークにある」と言い放つくらいだから、やっぱ別の扉を開けたという確信があったのだろう。1曲目のインストからその萌芽は感じられるし、2曲目の『ホーリー・マウンテン』で軽く慣らしといて、3曲目の『キープ・オン・リーチング』から本格的に始まる新しいサウンドはこっちも聴いていて興奮してしまう。4曲目の『ビューティフル・ワールド』でフランス語の朗読が出てくるところなんか最高だ。

どっかのレビューに書いてあったとおり、これまでに近いサウンドは#7『ブラック・アンド・ホワイト・サンシャイン』ぐらいなもんで後はもうオアシス的なものを置いてけぼりにするぐらい一気に駆け抜けていってしまう。やっぱこのぐらいやってもらわないとね。ていうかスイッチが入ったノエルならこれぐらいはやるでしょう(笑)。

ところでこの素晴らしくオープンなアルバムを聴いていて思い出したのが同時期にリリースされたベックの『Colors』。あちらもベックとプロデューサーのグレッグ・カースティンによる二人三脚で作られたアルバムで、僕は以前このブログで『Colors』をベックの幸福論なんて呼んだけど、このノエルの新作も本人が「俺は喜びの曲を歌う」と断言するように同じく全ての人に開かれたノエルの幸福論と言ってもいいようなアルバムで、こうして90年代にデビューし一つの時代を築いた二人が同時期にこんなにも肯定的なダンス・アルバムを作ったというのは偶然とはいえ何やら特別の事のように思えてならない。

もう一つ付け加えておくと、初期オアシスのB面曲はなんでB面やのにこんな名曲やねん!ってぐらいやることなすこと名曲揃いだったのだが、今回のボーナス・トラックもそれに負けず劣らずの名曲。特に#12『デッド・イン・ザ・ウェザー』はかなりヤバい!ってことでやっぱノエルは絶好調のようです(笑)。

最後に余計なことを言うと、僕たちはノエルの曲についてはついついいつまでもこれがリアムの声だとどんな感じになるんだろうって考えてしまうけど、まぁこれからはそれも半ば面白半分にして、ノエルにとってオアシスはもう済んだ事だということを僕たちもそろそろ体に馴染ませないといけないのかもしれない。それにはちょうどいいアルバム。こんだけサウンドが更新されて宇宙的になってしまうともうノエルの声でも違和感ないかも。

 

1. Fort Knox
2. Holy Mountain
3. Keep On Reaching
4. It’s A Beautiful World
5. She Taught Me How To Fly
6. Be Careful What You Wish For
7. Black & White Sunshine
8. Interlude (Wednesday Part 1)
9. If Love Is The Law
10. The Man Who Built The Moon
11. End Credits (Wednesday Part 2)

(ボーナス・トラック)
12. Dead In The Water (Live at RTÉ 2FM Studios, Dublin)
13. God Help Us All

As You Were/Liam Gallagher 感想レビュー

洋楽レビュー:

『As You Were』(2017)Liam Gallagher
(アズ・ユー・ワー/リアム・ギャラガー)

 

リアム・ギャラガー、初のソロ・アルバム。共作が多くその出来が良いため話題はそちらに向きがちだが、それでもリアム単独による作詞曲は15曲中8曲(※ちなみに共作は5曲で、他作は2曲)!! 僕はそっちの方が驚いた。はっきり言ってオアシス時代のリアムの曲は小品。僕は『Songbird』も『I’m Outta Time』も大好きだけど、大げさなノエルの曲に挟まれてこそって部分はあると思う。穏やかで紳士的。リアムのソングライティングの強みはそっちにある。だから1枚のアルバムを成立させるだけの多様な曲が沢山書けるってのが先ず驚きなのだ。

とはいっても全部が全部OKっていうわけではない。本人が言うとおり「いいヴァースは書けるけど、ビッグなサビは書けない」ってのはそう思うし、いくら売れっ子の共作者と組んだって、オアシスの曲があるんだから見劣りしちゃうのは仕方がない。でもそれはそれ。恐らく、またノエルと組んだとしてもあんなマジックはもう起きないし、それはそういうもん。ノエル節がないから物足りなく思ってしまう人もいるかもしれないが、普通に考えりゃ共作だけじゃなくリアム単独作にもいい曲はある。リアム独特の歌いっぷりが炸裂してる『I Get By』なんて凄くダイナミックだし、『I’ve All I Need』だってこんなのも書けるんだ、って僕はびっくりした。今はただ、ひとりのソングライターとして歩き始めたリアム・ギャラガーの心意気を素直に喜びたい。僕はロック音楽に最も必要なのは‘気’だと思っているので、そういう面ではオアシスの最後のアルバムよりずっと‘気’は込められているし、少なくとも僕はこっちの方が何回も聴ける。でもって今んとこ飽きてない(笑)。

それとやっぱ聴いてると、リアムが「オアシスとはオレの事」って言ってたのがよく分かる。それを再認識するアルバムだとも思う。何故ってノエルのソロは僕も好きだけど、あれを聴いても一緒に歌おうとはならないもん。これって好みの問題でしょうか?だからオアシスの最大の魅力でもある一緒に歌いたくなる感(英語がからきし分からない日本人の僕でさえ)は、やっぱリアムの声あればこそ。今年のサマソニでは覚えてなかったから『Wall Of Glass』も『For What It’s Worth』も一緒に歌わなかったけど、次日本に来たら絶対覚えて歌うで、ってやっぱそうなっちゃう(笑)。

それに絡んでもう一つ驚いた点。声すっげぇ出てるやん。オアシス後期はぶつぶつ切れてたのがグイッと伸びてる。スロー・ソングは裏声使いまくってる。年相応の渋みもあって、ちょっとこれ別人のようである。だいぶトレーニングしたんだろうな、節制したんだろうな、ってことで、これもリアムの‘気’が伝わってくる要因のひとつだ。ただちょっと真面目に歌い過ぎかなってとこはある。だからちょっとかすれたボーナス・トラックのライブ・バージョンの方が僕は好きかも。スンマセンっ、復活したらしたで欲張っちゃうもんで(笑)。

ただやっぱ心配な点もある。もしかしたらこれで最後なんじゃないかっていうやつ(笑)。今回のソロはオアシス時代のイケイケどんどんじゃなくて年相応の影があってそこがいいんだけど、その影って言うのがもしかしたらこれで最後なんじゃないかっていう不安も含んだもので、また声が出なくなったり、トラブルに巻き込まれたり(自分で作ることの方が多いですが)して新しい歌がまた聴けなくなるんじゃないかっていう。歌以外のそういうリアム本人の佇まいから発せられる影というのはやっぱりオアシス時代よりも濃くなっているわけで、年相応の等身大の光と影っていうものが一人の人間として、特にその明暗のはっきりとした攻防こそがこのアルバム全体を貫く、オアシスではなくリアム・ギャラガーのソロっていう確固たる輝きをもたらしている原因ではないでしょうか。でもってそれはノエルも同じ。様々なキャリアを通したからこその今の輝きはあの頃にはない魅力なのだと思う。

僕はこのアルバムをもう何度も聴いているけど、初めて聴いた時から印象はさほど変わらない。初のソロ・アルバムだけどずっと前からあったような気もするし、それでいて今日初めて聴いたような気もする。そんなアルバムだ。知ったかぶった言い方になってしまうけど、オアシスもそうだった。音楽的には新しくも何ともなかった。レッド・ツェッペリンでもないし、デビッド・ボウイでもない。物凄くいい曲を書く奴がいて、物凄くいい声を持った奴がただ前を見て歌うってだけのバンドで、他に何にもなかった。だからこそ偉大だったのだ。リアムの初ソロ・アルバムのタイトルが『As You Were』と聞いて、オアシスの最重要ワードのひとつ、「I need be myself / I can’t be no-one else」を思い出した人も多いと思う。結局、オアシスもリアムもこれでしかないのだ。リアムが「オアシスとはオレの事」と言っていたのは、強がりでもノエルへの当てつけでなく、本当にそうだったのだ。逆説的に言えば、リアムは「I need be myself」でしか生きられないのだ。これはそれを再確認するためのアルバムだ。

このアルバムは初のソロ・アルバムだけどずっと前からあったような気もするし、それでいて今日初めて聴いたような気もする。理由は簡単だ。オアシスが古くも新しくもなくただオアシスだったように、リアムのソロも古くも新しくもなくただリアム・ギャラガーその人だからである。

 

1. Wall Of Glass
2. Bold
3. Greedy Soul
4. Paper Crown
5. For What It’s Worth
6. When I’m In Need
7. You Better Run
8. I Get By
9. Chinatown
10. Come Back To Me
11. Universal Gleam
12. I’ve All I Need

(ボーナス・トラック)
13. Does’nt Have To Be That Way
14. All My People / All Mankind
15. I Never Wanna Be Like You

(日本盤ボーナス・トラック)
16. For What It’s Worth (Live at Air Studios)
17. Greedy Soul (Live at Air Studios)
18. Paper Crown (Live at Air Studios)

Chasing Yesterday/Noel Gallagher’s High Flying Birds 感想レビュー

洋楽レビュー:

『Chasing Yesterday』(2015) Noel Gallagher’s High Flying Birds
(チェイシング・イエスタデイ/ノエル・ギャラガーズ・ハイ・フライング・バーズ)

 

僕にとっていいアルバムは後半がいいアルバムである。その点、ノエルのソロ第二弾は十八番のロック・バラード、#5『ザ・ダイイング・オブ・ザ・ライト』から俄然よくなってくる。そこまでは軽い手鳴らし、いよいよこっからが本編とばかりにグイグイやってくる。重い足枷から解き放たれた自由な感じがしてとてもいい。この人が好きなようにやると、こんな凄いことになっちゃうんだ。

表現も多彩でいろんなパターンを見せてくれるし、曲間のつなぎもオアシス時代みたいな遊びがあって、ニヤっとしてしまう。重厚なのが続いた後の9曲目に一番カッコイイのがスカッと入る解放感がまた最高だ。

僕の中ではノエルのボーカルは相変わらず地味な感じなんだけど、それでもこれだけいいというのは単純に曲がいいということ。曲がいいからこりゃ別に上手くもない普通の4人組のバンドでやってもそれはそれでよさそうとも思ってしまうが(それって最初の頃のオアシスやん)、今回はノエルのサウンド・デザインの素晴らしさがいい曲を更に高い所へ引っ張り上げている(意外だけどオアシス時代を含めて初のセルフ・プロデュース!)。#6なんてその典型で、インスト部の長い下手すりゃ退屈なものになってしまうんだけど、こういうのもカッコイイ曲に仕上げてしまう。単にいい曲を書くってだけの人ではないのだ。

ある一定の水準以上の曲を20年前と変わらず書き続けられる凄み。長くやってると似たような曲になってしまうんだろうけど、似たような曲に感じさせないこの鮮度の損なわなさは何なんだ。久しぶりに本気を出したノエルのソングライティングはやっぱり圧倒的だったっていう身も蓋もない結論。今も昔もノエルが歌ものロックの世界基準だ。

ボーナス・ディスクもカッコイイ。ホント、どうなってるんだこの人は。

 

1. リヴァーマン
2. イン・ザ・ヒート・オブ・ザ・モーメント
3. ザ・ガール・ウィズ・エックスレイ・アイズ
4. ロック・オール・ザ・ドアーズ
5. ザ・ダイイング・オブ・ザ・ライト
6. ザ・ライト・スタッフ
7. ホワイル・ザ・ソング・リメインズ・ザ・セイム
8. ザ・メキシカン
9. ユー・ノウ・ウィ・キャント・ゴー・バック
10. バラード・オブ・ザ・マイティ・アイ

(ボーナス・ディスク)
11. ドゥ・ザ・ダメージ
12. レヴォリューション・ソング
13. フリーキー・ティース
14. イン・ザ・ヒート・オブ・ザ・モーメント (リミックス)
15. リーヴ・マイ・ギター・アローン

ボートラをちゃんと分けてるところが〇

Be Here Now/Oasis 感想レビュー

洋楽レビュー:

『Be Here Now 』(1997)Oasis
(ビィ・ヒア・ナウ/オアシス)

オアシスがデビューしたのは1994年で、全世界で2,300枚以上売れたと言われる『モーニング・グローリー』は1995年。で、この『ビィ・ヒア・ナウ』が1997年つうことで僕はどんぴしゃの世代なんだけど、全然聴いてなかったんだよなあ。僕は当時、1960年代とか70年代とかの古い音楽ばっか聴いてて、リアルタイムで流れてるやつには全然興味なくって、だから当時のブリット・ポップ・ブームは全くの蚊帳の外。今思えば随分勿体ないことをしたなんて思うんだけど、仮に当時の僕がこの「僕らの音楽」全開のオアシスを聴いてたら一体どうだったんだろうかとも思う。どっちにしても素通りしてたのかもしんないけど、でも今こうやって聴いてるとオアシスは例外、こりゃ夢中にならざるをえんでしょ、ってな特別なパワーを感じてしまう。

この『ビィ・ヒア・ナウ』が出た当時はオアシス絶頂期の頃で、そりゃ勿論リリース時は熱狂的に受入られたんだけど、時間が経つにつれそれまでのシンプルなロックンロールからかけ離れた重厚なサウンドにあちこちで賛否両論があったみたい。当のノエル自身も後からあんまりのような発言をしちゃったりということで、このアルバムは幾分残念な作品として知られている。

とは言っても僕からすりゃ全然カッコよくて全然残念なアルバムではなくて、だいぶ後の最後のアルバムから比べれば、そりゃあもう本気度が全然違うし、曲もいいし、リアムもガンガン歌ってるし、流石にちょっとそない繰り返さんでもええやろとか、そないアウトロ引っ張らんでもええやろとか、要するに世間の評判通りの「どんなけ長いねんっ!」てな突っ込みは入れ放題なんだけど、この力入りまくりの巨大なエネルギーに比べたらそんなことは些細なことで、普通に考えりゃこりゃめっちゃかっこええアルバムなのだ。

なんでも1作目から3作目までの曲はデビュー前にほぼ書き上げていたらしく、要するにノエルがそっからこれは1st用、これは2nd用てな具合に配分してたということで、そう考えりゃこのアルバムのやたら大げさでギター被せまくりのサウンドは、ノエルにしてみりゃ想定内ということかもしれない。ただ勢い余ってやり過ぎちゃった感はあったかもしれないが、1stからの異様な上昇カーブを考えたら、こうならざるを得んでしょってことで、この調子に乗り具合もオアシスらしくていいんじゃないだろか。

となると徐々に下降線を辿ってくこの後のアルバムもそれはそれで興味深いんだけど、今はただリアムのやったらんかいボーカルに酔いしれておこう。脂乗りまくりのリアムの声はやたらかっこいいぞ。2016年に出たリマスターのデラックス盤はノエルによるデモ音源(全曲!)が売りのようで、これはこれで完成してるやん、ていう程の出来らしいが、俺はそんなものいらない。リアムの声がなけりゃただのいい曲。

1. D’You Know What I Mean?
2. My Big Mouth
3. Magic Pie
4. Stand By Me
5. I Hope, I Think, I Know
6. The Girl In The Dirty Shirt
7. Fade In-Out
8. Don’t Go Away
9. Be Here Now
10. All Around The World
11. It’s Gettin’ Better (Man!!)
12. All Around The World (Reprise)

#1に#4に#5に#8に#10に#11に、、、
なんだかんだ言って名曲目白押しっ!