Jubilee / Japanese Breakfast 感想レビュー

洋楽レビュー:
 
『Jubilee』(2021年)Japanese Breakfast
(ジュビリー/ジャパニーズ・ブレックファスト)
 
 
韓国系アメリカ人であるミシェル・ザウナーのソロ・プロジェクトの3枚目。名前が名前だけに名前は知っていたのだが、曲を聴くのは今回が初めて。ジャパニーズ・ブレックファストという名前はオリエンタルな響きの’ジャパニーズ’といかにもアメリカ的な’ブレックファスト’をかけ合わせたら面白いんじゃないか、っていうことで名付けたそうだ。異なるものをくっ付けることで生まれる化学反応。ある意味アートの一つのマナーかもしれないが、そこを無意識にやってしまえるのは、この人が元々アート的な発想の持ち主だということだろう。なので、ミシェル・ザウナーは別に味噌汁とご飯を思い浮かべたわけではない。
 
今回初めて聴いたのだが、管弦楽器もあってとても派手でゴージャスなサウンド。前述の流れでいけば、歌詞は重たいのだろうとリリックを検索すると確かに明るいものではない。自己に沈思するというかそんな感じ。ま、僕の英語力での解釈だけどね。ポップなメロディもさることながら、サウンドがオシャレそのもの。#4「Slide Tackle」の間奏でサックスが入るとこなんかすごく都会的。80年代にはこんな音楽がいっぱいあったような。うん、多分その辺りは意識しているのだろう。
 
都会的と言えば所謂シティ・ポップの流れもあるようで、ミシェル・ザウナーの声質も同じアジア系だからか線が細く、これ日本人、って言っても分からないだろう。ということでジャパニーズ・ポップが世界に打って出る良いお手本になるかも。この手のオシャレ・サウンドなら日本人も得意でしょと。そこと70年代にシティ・ポップを手掛けた名うてのミュージシャンにバックアップしてもらえれば、、、なんて妄想をしてしまいました。それにしても#4「Slide Tackle」の背後で流れるカッティング・ギターは最高だな。最終曲#10「Posing For Cars」のアウトロのざらついたまま壮大になる感じもよい。