ひらき

ポエトリー:

「ひらき」

 

アジのひらきが
口をあけて
ひらいている

なんでおまえはこんなにも
なで肩でリラックスしている

しんこきゅうしなきゃいけないのは
おれの方なのに

手をあわせて
頭からかぶりついてやる

頭蓋骨がのどにひっかかり
そこは食うくうとこじゃねぇぜと言う

わかってるよ
おれはただ
あんたにあやかりたいだけさ

ほんとうのさいわいのような
アジのひらきがしあわせそうにひらいている

だったらかぶりつくしか
ないじゃないか

 

2026年3月

切れ端

ポエトリー:

「切れ端」

 

うろたえて
逆さづりになった装幀の
切れ端が雪になって
舞い降りながら
リビングの窓
へばりついて溶けていく

それはお前の
のぞみどおりのことなのか

強い問いかけのような朝日が
リビングに届くまえ
ワサビのツンときいた家人の声で
わたしは席を立つ

どこの誰とも知らぬ装幀の
切れ端がセキララにされたるまま
真冬の窓を
つたう
綺麗ごとだけを言うわたしを尻目に

 

2026年1月