インフラストラクチャー

ポエトリー:

「インフラストラクチャー」

 

今から歩くよ
座標軸ってのがあるなら海の上
意味の上で

定まらず
足音たてて
へりくだる君の気分をよく知っている
知っているものだけが織りなす道
ってのがあるのだ

実際には
入って出てこられぬものとして
よくあるものではないけど
きっと大事な道

それを紐解いてあげるのは
ぼくかもしれないし
違うひとかもしれないし
結局誰でもいいから
きっかけを
きっかけを橋渡しする

インフラストラクチャー

そういうものにぼくはしていく
だから安心して
遠いうちか
近いうちか
ぼくはほぐしていく

 

2026年5月

そういうこともあらぁな

ポエトリー:

 

「そういうこともあらぁな」

日差しが照らすから
煤までもが光って見えた
思わず触ってしまったから
指の腹が煤だらけになった
煤がほくそ笑んでいた

夕方、散歩していたら
昔からある溜まり場のようなところで
古い友人に会った
懐かしくて二人とも声を上げた
「おおぉ」

しばらくして
なんでこんな時間に、という話になって
友人は職を無くしたらしい
「そりゃ大変やなぁ」
そこにはいない誰かのことのように僕は言った

友人は煙草を取り出し火をつけた
少し嫌悪した
そしてそのことに嫌悪した自分に嫌悪した

日差しは変わらず強く照っていた
服につかないように上に向けていた指の煤がまた光った
「ほんま、大変やなぁ」

 

2026年6月

序文

ポエトリー:

「序文」

ひまなことがいくつもあって、一般的には忙しいというのでしょうけど、わたしはそれをいっこうに忙しいとは言えないのはいったいどういうことでしょうか。

今は梅雨時ですから、雨もひっきりなしに降っています。雨にしたって皆さんが学校や会社に行く頃合いになりましたらあそこに少し降らして、また昼前になったらあそこにはこれぐらい降らしましょうと、たとえあちらこちらに降ったとしても、そんなに忙しくしているつもりはないように思えます。

私たちで考えてみれば、空気を吸う時にはそんなに忙しくしていないのと同じかもしれませんが、いつぽうで忙しく空気を吸うことしかできないときもあるわけで、これはずいぶんと心持ちが大変な時でありますが、いつも私が真似事のように何かしらの詩のようなものを書き留めていますのは、そうした代わる代わる心持ちの門を開けたり閉めたりするしかできないような日の出来事だとも言えます。

 

2026年7月

ずっと忘れられねえんなら愛せよ

ポエトリー:

「ずっと忘れられねえんなら愛せよ」

 

そして渡せよお前の左手の
手紙
二十一歳の栄光は
二十億光年前の
オレの知らないお前の最高

携帯電話で逆らうきみの
コダマのような着信音をそのままにすることが
一番いい
一番いいのは知っている

知っているけれど
その裏側にある骨格をなめることすらできない脳ミソには
逆恨みするばかりの映像で
今日もロジックの反対ばかりがウロウロする

状態がいかばかりかマシになって
朝の波打ち際とか夜の水平線を鮮やかに眺められるようになったら
孤独とかネリリを理解できるようになるのかねぇ

だからといって
そのまんまにはできねぇよ
着信音はブチッと切って
お前の最高を拒否してやるしか

忘れらんねぇのはこっちだから
いつまでたっても
砂浜には綺麗な歩幅しか残らないから

 

2026年4月