Why Me? Why Not./Liam Gallagher 感想レビュー

洋楽レビュー:

『Why Me? Why Not.』(2019)Liam Gallagher
(ホワイ・ミー?ホワイ・ノット/リアム・ギャラガー)

 

いや、いいんじゃないですかこのソロ2枚目。いい具合に肩の力が抜けてリアムの声がスゥーッと入ってくる。まぁここに至るまで紆余曲折があったわけで、ソロ1作目の手探りな緊張感もいいですが、ここでようやくリアムも本来の調子を取り戻したってことでしょうか。

肩の力が抜けてホントいい声なんですよ。若き日のあの行ったらんかいボーカルではなく、年相応の声といいますか、いやでも妙に瑞々しいんです。このイノセント感はなんなんですかね?

てことで改めて『Definitely Maybe』と『Morning Glory 』のさわりを聴いてみたんですけど、やっぱ当然ながら若い(笑)。だから声質が全然違う。けど今回の声はそん時とはまた違った意味で若く聞こえるんですね。我々は一時期のあの声が伸びなくなったリアムを知っていますから、これは余計にね、リフレッシュして新しい声を手に入れたなと。ちょっとおおっ!となりますね。

てことで今回のリアムさんは歌うことに徹してます。前回は8曲もあった自作曲は今回は無しです。この辺の潔さ。リアムのソングライティングもそんなに悪くないのですが、もうちょっとトライしてみようとかそういった半端な欲が一切ない!俺は歌うからもういいと(笑)。流石、はっきりしてる!

ではっきりしてるのはソングライターチームも同じでもう方向性が一貫している。前回に引き続きグレッグ・カースティンとアンドリュー・ワイアットの2名を筆頭に多くの制作陣が名を連ねているんですが、皆いい曲を書くことに注力している。少々ベタでも兎に角いい曲を。はっきり言って他のミュージシャンには出せないような、ビートルズ丸出しのキャッチーな曲だって沢山あります(笑)。一部、「リアム、ビートルズを歌う」になってます(笑)。でもいーんです。いーんですというか、言い換えるとそういうあからさまな曲を歌ってもリアムの曲になってしまうぐらい今のリアムの声は絶好調なんです。

ここまで来るともうリアムさん、シナトラですね。なんでも自分のものにしてしまう伝説のシンガーです。つーことでこのアルバムは別名「リアム、ビートルズを歌う」、もしくは「リアム、シナトラになる」でどうでしょうか(笑)。

まぁそれぐらいですね、制作陣も惜しみなくよいメロディを注ぎ込んでいる。その意図がよ~く分かるのがどの曲もアウトロ、めっちゃ短い!リアムの歌が終わったら、スッと引いちゃう。もうちょっと余韻があってもいいなと思うような曲でも歌が終わるとバッサリいっちゃいます(笑)。ここまではっきりしてると逆に気持ちいい!

それにしてもリアムがこんな普通の素晴らしい歌のアルバムを出してくるとは思わなかったですね。でもって唯一無二の声の持ち主ながらここに来て、相反する誰の所有物でもない普遍的な声になっている。やっぱそこですよね、このアルバムは。

音楽的に新しい訳でもないし、批評家たちからは相変わらず評価されないけだろうけど、色んな音楽ジャンルがごちゃ混ぜになって益々細分化されていく時代に、ただいい歌をいい声が歌うっていう。そういう埃をかぶった価値観を図らずも改めてここで提示した。ちょっとおおげさかもしれないですけどね、そういう意味では新しくないけど新しいと言える、新鮮な空気を運んでくれるアルバムだと言えるんじゃないでしょうか。

 

Tracklist:
1. Shockwave
2. One of Us
3. Once
4. Now That I’ve Found You
5. Halo
6. Why Me? Why Not.
7. Be Still
8. Alright Now
9. Meadow
10. The River
11. Gone

(Deluxe edition bonus tracks)
12. Invisible Sun
13. Misunderstood
14. Glimmer

 

Leave a Reply

Your email address will not be published. Required fields are marked *

日本語が含まれない投稿は無視されますのでご注意ください。(スパム対策)