Chasing Yesterday/Noel Gallagher’s High Flying Birds 感想レビュー

洋楽レビュー:

『Chasing Yesterday』(2015) Noel Gallagher’s High Flying Birds
(チェイシング・イエスタデイ/ノエル・ギャラガーズ・ハイ・フライング・バーズ)

 

僕にとっていいアルバムは後半がいいアルバムである。その点、ノエルのソロ第二弾は十八番のロック・バラード、#5『ザ・ダイイング・オブ・ザ・ライト』から俄然よくなってくる。そこまでは軽い手鳴らし、いよいよこっからが本編とばかりにグイグイやってくる。重い足枷から解き放たれた自由な感じがしてとてもいい。この人が好きなようにやると、こんな凄いことになっちゃうんだ。

表現も多彩でいろんなパターンを見せてくれるし、曲間のつなぎもオアシス時代みたいな遊びがあって、ニヤっとしてしまう。重厚なのが続いた後の9曲目に一番カッコイイのがスカッと入る解放感がまた最高だ。

僕の中ではノエルのボーカルは相変わらず地味な感じなんだけど、それでもこれだけいいというのは単純に曲がいいということ。曲がいいからこりゃ別に上手くもない普通の4人組のバンドでやってもそれはそれでよさそうとも思ってしまうが(それって最初の頃のオアシスやん)、今回はノエルのサウンド・デザインの素晴らしさがいい曲を更に高い所へ引っ張り上げている(意外だけどオアシス時代を含めて初のセルフ・プロデュース!)。#6なんてその典型で、インスト部の長い下手すりゃ退屈なものになってしまうんだけど、こういうのもカッコイイ曲に仕上げてしまう。単にいい曲を書くってだけの人ではないのだ。

ある一定の水準以上の曲を20年前と変わらず書き続けられる凄み。長くやってると似たような曲になってしまうんだろうけど、似たような曲に感じさせないこの鮮度の損なわなさは何なんだ。久しぶりに本気を出したノエルのソングライティングはやっぱり圧倒的だったっていう身も蓋もない結論。今も昔もノエルが歌ものロックの世界基準だ。

ボーナス・ディスクもカッコイイ。ホント、どうなってるんだこの人は。

 

1. リヴァーマン
2. イン・ザ・ヒート・オブ・ザ・モーメント
3. ザ・ガール・ウィズ・エックスレイ・アイズ
4. ロック・オール・ザ・ドアーズ
5. ザ・ダイイング・オブ・ザ・ライト
6. ザ・ライト・スタッフ
7. ホワイル・ザ・ソング・リメインズ・ザ・セイム
8. ザ・メキシカン
9. ユー・ノウ・ウィ・キャント・ゴー・バック
10. バラード・オブ・ザ・マイティ・アイ

(ボーナス・ディスク)
11. ドゥ・ザ・ダメージ
12. レヴォリューション・ソング
13. フリーキー・ティース
14. イン・ザ・ヒート・オブ・ザ・モーメント (リミックス)
15. リーヴ・マイ・ギター・アローン

ボートラをちゃんと分けてるところが〇

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