洋楽レビュー:
『Speak a Little Louder 』(2013)Diane Birch
(スピーク・ア・リトル・ラウダー/ダイアン・バーチ)
ダイアン・バーチ、待望のセカンド。ファーストからかれこれ4年。もう彼女の新しい歌は聴けないのかもしれないなんて思っていた。で聴いてびっくり。前作とは全く異なるスタイルに最初は戸惑ってしまったが、考えてみれば4年も経てば変わるのは当たり前。あの素晴らしいデビュー・アルバムより更にスケール・アップした力強い作品になっている。
ファーストではキャロル・キングを思わせるシンガー・ソングライター的風合いで、それを強力なR&B系バンドが支えるといった構図だったのだが、今作では打ち込みも使用し全体的にダイナミックになっている。ボーカル・スタイルもファーストには見られなかった激しさがあり、彼女の思いがより強くなっている印象だ。詩を見てみると、個人的なものからもっと大きなものへと視点が移っており、やはり音楽に対するスタンス自体が若干変容しているのかもしれない。そのせいで多少ダークな印象を受けるが、それもファーストに比べればという程度。詩へのアプローチや情熱を込めた歌い方などを含め、非常に力のこもった作品となっている。
ファーストの頃からいいメロディを書いていたが、今回は表現の幅が飛躍的に伸びている。共作が多いので、どこまでが彼女のアイデアなのかは分からないが、出し惜しみすることなく様々な表現のスタイルを披露し、それこそもう伸び伸びと曲を書いているような感じだ。そう、今回は彼女が好きな音楽を何の制約もなく好きなように表出している、そんな印象を受ける。勿論、ファーストのようなR&Bスタイルもそうなんだろうけど、今回はもっとラフというか、ティーンネイジャーの頃に親しんだ音楽をそのまま出しました、という感じなのかもしれない。だからなのかどうかは分からないが、今回は彼女の圧倒的なボーカルと相まって、曲の強さが目に付く。80年代風の味付けもたくさんあって、この人は本当はこっちが好きなんじゃないかと思わせる程。どちらにしても本当に音楽が好きなんだなあという想いがひしひしと伝わってくる。
作風が如何に変わろうとも彼女らしさは健在。#1『Speak A Little Louder』のアウトロのピアノのタッチを聴いてると思わず嬉しくなってしまう。でやっぱりボーカル。低音域から一気にファルセットまで駆け上がる様にはうっとりしてしまう。#5『Superstars』なんてホントに素晴らしい。どう転がっていこうがこの声がある限り僕はいつまでも聴き続けるだろう。
1. Speak A Little Louder
2. Lighthouse
3. All The Love You Got
4. Tell Me Tomorrow
5. Superstars
6. Pretty In Pain
7. Love And War
8. Frozen Over
9. Diamonds In The Dust
10. Unfkd
11. It Plays On
12. Walk the Rainbow To the End
13. Adelaide
14. Staring At You
15. Hold On a Little Longer
16. Truer Than Blue