Sound and Color/Alabama Shakes 感想レビュー

洋楽レビュー:

『Sound and Color』(2015)Alabama Shakes
(サウンド・アンド・カラー/アラバマ・シェイクス)

 

デビュー作だった前作は古く良きアメリカ、場末の酒場が似合いそうなヴィンテージ・ロック。僕もそういうのは好きだし、彼らはこれからも変わらずそんな渋い音楽をやってくんだろうなって勝手に思っていたけど、それはとんだ見込み違いだった。変わらないどころか物凄い進化を遂げてしまっている。それも何がどうというより全部まるっと進化しちゃってて、2枚目でこんなになっちゃうなんて全然想像できなかった。ヴィンテージはヴィンテージでも最新鋭、ハイブリット感満載のスーパー・ヴィンテージ・ロック・アルバムだ。

とりあえずギターの音がすんごくて、ビンビンと弦の振動が伝わってきそうな臨場感。それでいて音はクリアーで聴きやすいし、要するに分かる人にだけ分かりゃいいというのではなく、誰が聴いてもこりゃ凄いやって音になってる。僕んとこのミニ・コンポでこれだから、いいオーディオだとどんなことになるのやら。くうぅ~、立派なオーディオで聴きてぇ~。

ドラムとベースもよくて、何がいいって手数はうんと少ないのにここぞの時にはグイグイッとたまらんフレーズを持ってくる。こういう感じはちょっと初めて。で、さらに記名性を高めているのがキーボードとビブラフォン。1曲目からビブラフォンで始まっちゃうし、こりゃなんか雰囲気違うぞ感が満載。1曲目だけじゃなく、全編に渡ってキーボードとビブラフォンがいいアクセントになっていて、最後の曲のキーボードなんてホント最高である。

さらにもう一つ忘れてならないのが、ストリングスだ。でもよくあるそれっぽい大げさなやつじゃなくて、なんかギターとかキーボードとか他の楽器と同じ扱いで、でもこれがギターです、これがストリングスですってわけじゃなく、最初からそこにあったみたいな馴染みのよさ。#7『Guess Who』なんてこれしかないという感じですんごいことになってる。名曲です!

名曲といやぁさっき言った1曲目『Sound & Color』だってビブラフォンで静かに始まったかと思いきや後半は宇宙ぽく広がっちゃうし、2曲目の『Don’t Wanna Fight』はブリタニーさんの祈るようなボーカルが素晴らしくて、4曲目『Future People』もボーカルとバンドの掛け合いがめちゃくちゃカッコイイ!ほんでもって続く5曲目『Gimme All Your Love』も後半に凄い山場が待ってるし、アルバム後半にもさっきの『Guess Who』を始め、『The Greatest』に『Shoegaze』に『Miss You』に『Gemini』にエレピぴろろ~ん♫の『Over My Head』に(って全部やん!)名曲盛りだくさんで、いや、大げさじゃなくてホントに全編すごいっす!

で、最後にこれは絶対触れておきたいブリタニーさんのボーカル。前作もジャニス・ジョプリンみたいで凄かった。勿論それだけでも凄いのに今回はしっとりとなっちゃたり、裏声使っちゃったり、シャウト一辺倒だったのがこんなに変わるかってぐらい表現の幅を広げている。ほんと素敵なボーカリストになったもんだ。

とにかく最初に言ったように全部がまるっと凄いことになっててびっくり。さらに凄いのはこれが全米チャートで№1になったってこと。そりゃこんだけ凄いアルバムだから、評価されるのは分かるけど、だからと言って全米№1になるかって話。アラバマ・シェイクスも凄いけど、これをちゃんと聴き分けるアメリカのリスナーも同じように凄い。ちなみに僕の個人的な2015年ベスト・アルバムはこれですっ!

 

1. Sound & Color
2. Don’t Wanna Fight
3. Dunes
4. Future People
5. Gimme All Your Love
6. This Feeling
7. Guess Who
8. The Greatest
9. Shoegaze
10. Miss You
11. Gemini
12. Over My Head

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