ポエトリー:
「瞬間の荒野」
身体を左右にひらき
空気の流れる音や
光の反れる粒を
感覚的に捉えられたとき
瞬間の荒野は
間もなく現れる
わたしたちの持っている
伝達や連絡手段を後ろ手にして
彷徨うことをよしとする
あの瞬間の荒野が現れると知り
わたしの心は
すっかり晴れた
何故ならそれは
もう人に憚ることなく
自由に抽斗を開けたり閉めたりできることや
靴を揃えて仕舞わなくてもいいことを
意味していたから
誰も知らない始まり
諦めかけていたことや
言ってはならないことが平らになる
あの一瞬の振り出しを
わたしはきっと捉えられる
瞬間の荒野
2026年6月