Walls/Kings of Leon 感想レビュー

洋楽レビュー:

『Walls』(2016)Kings of Leon
(ウォールズ/キングス・オブ・レオン)

 

思い起こせば、このアルバムが家に届いたのは2016年の年末の押し迫った頃。早速ミニコンポに放り込んで聴いてみたら、笑ってしまった。なんだよ今ごろって。それはまるっきりいい意味で、つまりそろそろ今年のベストはどれにしようかなんて思っているところにこんなキレのいい奴来ちゃったよっていう。そうそうキレがいいんだよなあ。と、調べてみたら2003年デビューで今回が7枚目ということでもう結構なキャリア。それでこれだけ瑞々しい作品を出せるんだから大したもんだ。

そういや前のアルバムは個人的に年間ベストに挙げたぐらいの気に入りようだったんだけど、実はそのアルバムが僕にとっての初キングス・オブ・レオンで、今思えば随分勢い余ってベストにしちゃった感が無きにしも非ずなんだけど、でも近頃じゃ聞かなくなった外連味のいいロック・アルバムだったのは事実で、僕にとってはとても新鮮だったんだな。で一応初めてだったからそういう感覚を得たと思っていたわけなんだけど、今回の新しいアルバムもまた同じように外連味よくて、ああやっぱこの人達はこういう人達なんだなあ、と。

ただ今回は長く一緒にやってきたプロデューサーから離れ、新しい人と組んだとのこと。ということで随分と新しい気持ちが入ったアルバムになっていて、なるほど、このフレッシュさはそういうところからも来ているのかもしれない。ついでに言うと無理しちゃってるアルバム・ジャケットがちょっと恥ずかしいぞ、おい。

取り立ててどうということもないんだけど、この4ピースでガッと行ってしまえる強みはやっぱ特別な何かを持っているということ。ピアノとかストリングスで盛ること無しに一気に聴かせてしまう力技。でもガレージとかパンクの強引さとは違うスムーズな触感。一方でザラザラとしたロック特有のいたたまれなさというのが滲み出てくる。そこにはいいメロディを書くソングライティングとケイレブの喉に何か詰まったようでいて、よく届く声の力が大きい。どこか抜けたような親近感もいい。

前半のキャッチーな曲だけでなく後半のややテンポを落とした曲も聴き耳をそらさないのは流石。兄弟バンドならではの継ぎ目の無さもあるのだろうけど、取り立ててどうということの無いこの4ピースが出すサウンドには何故か説得力がある。欧米各国で1位を獲得したのがその証し。

 

Tracklist:
1. Waste A Moment
2. Reverend
3. Around The World
4. Find Me
5. Over
6. Muchacho
7. Conversation Piece
8. Eyes On You
9. Wild
10. WALLS

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