Drunk Tank Pink / Shame 洋楽レビュー

洋楽レビュー:
 
『Drunk Tank Pink』(2021年)Shame
(ドランク・タンク・ピンク/シェイム)
 
 
昨年あたりからUK、特にサウス・ロンドンが活況づいているとの記事が散見されるようになり、僕もどれどれとチェックはしていたのだけど、あまりピンとは来ず、ところが今年に入ってもその熱は収まるどころか更に大きなムーブメントになっていると。でその大きなトピックとして、シェイムなるバンドが2ndアルバムを出したと言う。それがもっぱら評判がいいので、じゃあと聴いてみたら、なんやめっちゃカッコエエやん。ということで、ここんとこ毎朝の通勤ではこれを聴いていました。朝から激しいなオレは(笑)。
 
ボーカルとツイン・ギターにベースとドラムの5人編成ですね。全員20才そこそこ、見た目も尖がっててイイ感じです。ことに激しいライブが売りだとのこと。なのでイケイケかと思いきや、音楽は全くもって丁寧。プロデュースがアークティック・モンキーズを手掛けたジェイムス・フォードだそうですけど、彼の手腕も大きいのかな。でもかと言って角が取れたということではなく、シェイム独特のやさぐれ感、ダークな感じはしっかり残っている。曲自体がそれを内包しているからか。
 
てことで一応ポスト・パンクということですが、メロディは人懐っこいです。曲調もイケイケ一辺倒では全然なく、中には転調もあったりトーンが変わったりと凝った作り。でも印象としてはシンプルに聴こえるっていう。ていうかギターがいちいちカッコイイ!それにどの曲もつかみのイントロが最高!躍動感のある#6『Snow Day』や#9『6/1』でのドラムとギターのコンビネーション、磁石のようにへばりつくベースはめちゃくちゃカッコイイぞ。このバンドを評するに色々あると思いますが、ま、単純にカッコイイ。そういうことだと思います。
 
あとボーカルの声がジョー・ストラマーに似てますね。あんまりそういう指摘はないみたいですが。だからさっき言った手の込んだアレンジを加えてくるという点ではクラッシュに近いかも。クラッシュみたいに今後アルバムを重ねるごとに新しい音楽的な実験をしていくんじゃないかなと。ということで、一つの道を究めていくというより、いろんなことを吸収して表現の可動域を広げていきたい、そういう傾向のバンドなのかもしれません。

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