『聖徳太子と法隆寺』in奈良国立博物館 感想

アート・シーン:
 
『聖徳太子と法隆寺』in奈良国立博物館
 
 
先日のEテレ「日曜美術館」で本展覧会の特集が放送されまして、開催しているのは知っていたのですが、6月20日までの開催ということでもうあまり時間がない、行ける日に行っておこうと、関西地方は大雨の日だったのですが、朝一の9:30から行って参りました。
 
「聖徳太子と法隆寺」ですから、奈良時代のものが沢山あって、奈良時代、7~8世紀のものが沢山展示されているわけです。もう1,400年前のものですよ。しかも保存状態が素晴らしいんです。これは「日曜美術館」でも言及されていたのですが、法隆寺はちゃんと保存目的に管理していた、つまりあの時代ですでに美術品であるという認識があったということなんですね。今の美術館と同じ役割を担っていた。これは凄いことです。文化に対する位置づけが相当高かった証拠ですよね。でその中心に聖徳太子がいた。このことからも聖徳太子がいかに進歩的な人だったかというのが見て取れるのではないでしょうか。
 
その聖徳太子直筆の「法華義疏」、法華経の注釈書らしいですけど、これが展示されていて、なんと間近に見ることができます。さっき言ったように保存状態がいいから、しっかり読めます!もちろん、解読はできないですけど(笑)。それにしてもあの聖徳太子の直筆ですよ、しかもちょっと丸みを帯びた親近感ある字体なんです。学者然とした感じではなく、生活感のある字体。こういうの見ると身近に感じますよね、太子さんの実像が浮かび上がってくるというか、まさしくロマンです。
 
あと見どころは何と言っても仏像ですね、その辺も沢山見れて仏像好きにはたまりません。特に飛鳥時代のいわゆる「アルカイックスマイル」と「アーモンド形の眼」の仏像、僕は鎌倉期の情報量の多いものより、シンプルなこの時代の仏像が割と好きなのでホントもう惚れ惚れするというか、溜息を何度ついたことか、もう美しいの一言ですね。
 
あと仏像って決して写実ではないんですけど、今にも動き出しそうなリアルさがあって、つまり創造物とはそっくりそのまま作ればリアルになるということではない、フィクションのリアリティということなんですが、その写実ではないけどリアルっていう相反するものが行ったり来たりと目の前で転換されるダイナミズム、もう最高です。何と言っても間近に見れますから。
 
今回はちょっと風変わりな塑像もありまして、「羅漢座像」というものなんですが、お釈迦さまの死を悼む様子を描いた座像でして、これが現代のフィギュアのようなリアル造形なんです。で、おぉこれはすげぇなんて隣に目をやると、横にも同じく悲嘆にくれる別の表情の塑像がある、更に横を見ると、みたいな感じで要するに連作なんですね。これにはちょっと笑ってしまいました。ここも大事な見どころです(笑)。
 
奈良国立博物館には仏像館もあって、この特別展の半券があれば入館できます。仏像館と言うぐらいですから仏像盛りだくさんで、更に今は5m以上もある金剛力士像2体が堂々と展示されていますから、ここも是非足を運びたいところですね。金剛力士像のみ撮影OKですので、みんなバシャバシャ撮ってました(笑)。
 
それにしても、何十体とある仏像にどれ一つとして同じものはない。当たり前のことですけど、ちゃんとそれぞれに顔立ちが違って造作が違って、個性が異なる。仏像なんてみんな同じやん、と思われるかもしれませんがひとたびその魅力に取りつかれるとこれほどシンプルで奥深いものはありませんね。今度は法隆寺に行って、また違った環境で見てみたいと思いました。

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