ポエトリー:
「III」
かなしみひかる星の空
まばたきひとつで落ちてくる
しずくを涙と取り替えて
あせふくしぐさも様になる
こよいだれかが郵便に
たくしたことばが川面に浮かび
ながれつくのはあの子の家の
はるかのきしたかなしみもうで
それとはしらずにぼんやりと
あのこは遠い求めに軽く応じて
かわらぬ声を手繰らせながら
はんどくらっぷ夜をつらぬく
よくあさひろがるかなしみが
なみ打ち際で行きつもどりつ
こころの糊代ズレはそのまま
なにもかわっちゃいないんです
とおい求めにゆられておきて
あちらこちらに変わらぬものが
みしらぬ誰かの招きに応え
けさはぐっすり休んでいます
こよいだれかが公園に
なくしたことばが川面にうかび
ながれつくのはあの子の家の
はんどくらっぷ手にやどる
それはわたしのそれともだれの
2020年8月