洋楽レビュー:
『Waiting for the Dawn』(2013)The Mowgli’s
(ウェイティング・フォー・ザ・ドーン/ザ・モーグリス)
8人編成の大所帯バンド。過去にEP盤はリリースしていたみたいだけど、これが初のフル・アルバム。作詞作曲は全員、ボーカルも全員、楽器も特に取り決めがないような感じで、とにかくバンド始めようぜ!てな勢いが満載だ。
ほとんどの曲を全員で歌っていることもあってとにかく賑やか。クレジットを見ると、バンジョーやらフィドルなんて文字も。マムフォード・アンド・サンズとまではいかないが、アコースティックなサウンドでジャカジャカ攻めてくる。そうかと思うと、ギター・ポップな曲があったり、シンセが絡んできたり、はたまたカントリー調になったり、ほんとゴチャゴ混ぜ。でもこういうゴチャゴチャ感は結構好き。
歌詞も至ってシンプル。難しい顔してないで顔を上げて行こうてな具合。なんてったってオープニング・チューンが『San Francisco』ていうくらいだから、その陽気さというのは窺い知れる。その楽天性は未熟さ、或いは若さゆえという人もいるかもしれないが、そんなことは元より承知。彼らのそれは分別めかした連中への陽気なカウンター。つまりそれがロックンロールということだ。
『Slowly,Slowly』みたいな疾走系から『Emily』みたいなかわいい系もあって結構楽しめる。女性ボーカルが一人混じっているのもいいアクセント。疾走系ナンバーが結構あって、それをみんなで合唱するなんてのはあまり聞いたことが無いのでとても新鮮。若さに任せてアクセルが徐々に上がってゆくこの感じはファーストならでは。こういうのって年取ると、やろうと思っても出来ないんだよなあ。
とにかく明るくって楽しくって、暑い夏にはもってこいの作品。演奏もアレンジも申し分なく、このまま身も蓋もないまま突き進んでほしい。サマソニあたりに来てくんないかな。
1. San Francisco
2. Slowly, Slowly
3. Waiting for the Dawn
4. Love Is Easy
5. Clean Light
6. Time
7. Emily
8. The Great Divide
9. Say It, Just Say It
10. Leave It Up to Me
11. Carry Your Will
12. Hi, Hey There, Hello
13. We Are Free