丸善にて

ポエトリー: 

『丸善にて』

 

岡崎でゴッホを見た後、河原町の今はBALの地下にある丸善で、僕は詩集コーナーと文芸誌コーナーを行ったり来たりしながら、ここは詩集が沢山あるからいいなぁ、大阪にもこんな本屋がないかなぁなどと、ウィリアム・カーロス・ウィリアムズの詩集とレクスロスの詩集のどちらかを何度か手に取り、下の方にあるイェイツにも目を落とし、パラパラとこれは無理だななんて、また文芸誌コーナーというかその類いの新刊が山積みになっているレジの近くに行って、ユリイカの今月の作品として掲載された僕の名前をもう一度確認し、隣にいるお姉さんにこれは僕ですと言いたくなる気持ちを少しだけ堪えて、というかそんなでもないけど、とりあえずもう一度確認してから詩集コーナーに戻り、やはりウィリアム・カーロス・ウィリアムズの詩集とレクスロスの詩集とを迷いつつ、昔、というか前に僕が京都に住んでいた時の丸善の、あのエスカレーターが好きだったなとか、横切る彼女のガラス越しに写る姿が美しかったなとか、もういい加減そんなことは卒業して今はここに至るのかオレはとか、そんなどうでもいいことを考えながら、どっちかといえばウィリアム・カーロス・ウィリアムズかなと思いつつも、急に帰り道に京阪モールでケーキを買って帰るんだっけと思いだし、早く帰らなくちゃといそいそとしだしたこともあってその日はレジには向かわずに、それでもユリイカに載ったと知ったのがここの丸善で良かったな、昔の丸善じゃないにしてもやっぱ丸善だったというのはなかなかいい気分だなと、何かの物語になぞらえて、僕は新しくなった丸善を後にした。

 

2018年2月

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