漫画『BEASTERS』(ビースターズ)感想

ブック・レビュー:
 
『BEASTERS』(ビースターズ)板垣巴留 感想
 
 
友達から借りた漫画『Beasters』を読み終えた。途中まで気づかなかったけど、作者は女性。てことで女性キャラの描き方が最高でした。女性特有の硬軟両面がごく自然に同居している感じはなかなか男には描けないでしょう。チャンピオンという主に少年もしくは青年が読む媒体で、この複雑な女心が連載をされていたのかと思うと、読者諸氏はなかなかよい知見を得たのではないでしょうか。
 
あと男の狡さですよね。確かに女性から見たらこういう男っぽさってウザイだろうなっていう部分が見事に表現されていました。自分自身を省みてそう思います(笑)。
 
読む前はほのぼのとした作風かなと思っていたのですが、いやいやかなり重たくシリアスな展開。なのであまり入り込んで読んじゃうとシンドイので、間をあけて、免疫を付けながら読むのが私にはちょうどよかったです。
 
途中から、選ばれしビースターが腕力自慢(ていうか脚力自慢)なん?とか、バトル・シーン増えてきたんちゃう?とか、結局強いものが正義!みたいな流れに進みつつあって、勿論それはそういう方向へ一旦振っといて、だとは思ったんですけど、じゃあこの先どうなるんだというのはまったく想像がつかなかったです。最終的にはバトル漫画のように決着がついて万端解決めでたしめでたしということではなくて、一旦区切りは付いたけど、誰がいい悪いではなく、まだまだ現在進行形ですって終わり方になった。これがとても良かったです。
 
あと最後まで読んで感じたのは、大きなテーマとして多様性があったのかなと。更には多様性とも繋がってくるんだけど他者を通じて自分を知るっていうのかな。人は合わせ鏡のように、相手に映る己を見て自分を知っていくんだということですよね。プラス、様々な出会いの中で人に影響を受けながら、今ある自分ではない新たな自分を作っていくっていう。それは好きな人そうじゃない人、温度差は多岐にわたるんだけど、他者との関わり合いの中で人は自分を見出していくんだよっていう物語だったのかなという気はします。自分一人で分かった気になって、私はこうなんだからこれでいい!と思い込むのは気を付けようねって。
 
だからこそ物語はこれで終わりじゃなくて、まだまだ続くっていう余韻があるのだと思います。私たち自身も現在進行形ですしね。

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