『The Covers』 NHK BSプレミアム 2018.5.22 放送(ゲスト:エレファントカシマシ) 感想

TV Program:

『The Covers』 NHK BSプレミアム 2018.5.22 放送(ゲスト:エレファントカシマシ) 感想

 

NHK BSプレミアムにて月1回放送されているこの番組。番組H.Pを見ると2018年4月からリニューアルされたようで、MCの一人も仲里依紗から池田エライザへバトンタッチされております。どうでもいいですけどエライザさん、またえらい色気ですなぁ…。仲里依紗さんも夜な感じが出ていましたが、更にラウンジ感強まったような(笑)。リリー・フランキー、ナイスです。

さて、今回のゲストはエレファント・カシマシ。エレカシは僕が大学生の時にブレイクしたバンドで、何度かカラオケで歌った記憶がある。しかしこれが難しいのなんの。宮本浩次の声は男っぽい太い声をしているから、気軽に歌えると思ったら大間違いっ。実はキーがかなり高いのです!

てことで、エラカシが選んだ最初のカバー曲は山口百恵さんの「さよならの向う側」(1980年)。これを宮本さんは原曲のキーのまま歌います。そーなんです。僕が大学の頃のキーの高い男性ボーカリストといえばスピッツの草野マサムネ氏なんですが、実は宮本さんも負けず劣らず高いのです。てことで、どちらも間違いなくカラオケで玉砕します(笑)。

ともあれ、エレカシはカバーをする時は原曲のキーのまま歌うというのを大事にしているらしく、それは原曲の魅力を損ないたくないからということなんですが、そうは言ってもそんな芸当、なかなか出来るもんじゃあございません。しかも全然聴き苦しくないんですから、大したもんです。そういやマサムネ氏も女性ボーカル曲を原曲キーのままで歌うらしいですから、いや~、二人とも流石でんな~。

しかしこの曲はいいです。宮本さんも当時の日本歌謡曲のレベルは凄い凄いと連発していましたが(笑)、確かに凄い!まず言葉。平易な言葉しか使用していないのに凄く奥行きがあるというか、聴き手にもたらす情感の幅が限りなく広いのです。でもってメロディもそれ自体に起承転結があって、だからアレンジで殊更ドラマチックに盛り上げなくても自然な情感が立ちあがってくるのです。宮本さんも言ってましたが、やっぱ視点が俯瞰なんですね~。入れ込み過ぎないというか、これを山口百恵さんがしっとり歌うわけですから、そうそうここも思い入れたっぷり歌い上げるのではなくて、誰かの物語として歌ってるんですね。だからこそ聴き手に伝わる情感が増幅される訳です。やっぱ俯瞰ですよ皆さん。いや~、勉強になりますな~。百恵さんも宇崎竜童さん(作曲)も阿木燿子さん(作詞)もスゴイッ!

2曲目はサザン・オール・スターズの「いとしのエリー」(1979年)。これを歌う宮本さんも良かったです。ですがこれはもう桑田圭祐のあの歌唱がやっぱありまして、やっぱあれはあれなんですねぇ(笑)。まぁどういうことかと言うと、「いとしのエリー」のメロディにはあの歌い方というか独特のリズム感が内包されてあって、それはもう真似できないわけです。以前この番組でRCサクセションのカバーがあった時も出演者が一様に苦労していましたが、あれと一緒ですね(笑)。RCのメロディにも清志郎のリズムが内包されている訳です。

でまぁそれはエレカシ=宮本浩次も一緒なわけで、番組では逆に若いミュージシャンがエレカシの曲をカバーするコーナーもあったりするわけですが、これもそういう訳で、いーんですけどね、なかなかそれっぽく歌えないというか、そういう意味では宮本さんが歌う「さよならの向う側」は良かったですねぇ。僕が百恵さんのことをよく知らないというのもあると思うんですが、なんかエレカシの元々の歌にあったような気さえするとってもいい演奏でした。

去年はエレカシの30周年だったそうで、31年目の新しい曲「Easy Go」も披露されました。これがまたお見事でした。31年目にして荒々しいというか、宮本さんはシンガーというよりやっぱシャウタ―ってイメージなんですが、この曲でも歌うというよりもうやたらめったら叫んでいて、それが彼らの今の意思表示というか、まだまだやってくぜっていう、その現役感が最高でした。

それにしても宮本さんのフロントマンとしての存在感は抜群ですね。あーいうパフォーマンスが出来るロック・ミュージシャンってのはもうあんまりいないですもんねぇ。でやっぱり声が抜群にデカい。失礼ながらもう結構な年齢だと思うのですが、経時変化していかないってのは驚きです。あれだけ叫んで喉を酷使していながらですから、これは実はかなり凄いことだと思います!

それに改めて、ソングライターとしても素晴らしい。いい事を歌おうっていうのではなくて正直な言葉というか、それも奇を衒った言葉使いではないし、それにメロディはふくよかで情緒がある。だからこの番組で若い世代がエレカシをカバーしたようにより幅広い世代へ伝わるんですね。「さよならの向う側」がエレカシの歌みたいに感じたのもきっとそういう日本の歌謡曲の良い部分をエレカシも持っているからなんだと思います。未だに若い層から支持されている理由はそういうことなんじゃないでしょうか。僕は彼らのことをあんまりよく分かっていなかったですが、この番組で何だかそれが分かるような気がしました。この番組を観て良かったです。凄いぞ、エレカシ!

Leave a Reply

Your email address will not be published. Required fields are marked *

日本語が含まれない投稿は無視されますのでご注意ください。(スパム対策)