Wonderful Wonderful/The Killers 感想レビュー

洋楽レビュー:

『Wonderful Wonderful』(2017)The Killers
(ワンダフル・ワンダフル/ザ・キラーズ)

 

キラーズの新作が出ました。前作から5年。5年ですよあーた。ブランドンのソロがあったにせよ結構空きましたねぇ~。それでも全英全米共にチャート№1になっちゃうんですから大したもんです。ていうかファンの皆さん、よう待ってたねぇ。あんたはエライッ!

しかし今回は1位も納得の出来栄え。今までのキラーズと新しいキラーズの両方がいい塩梅に混ざ合わさって、5年ぶりとはいえ昔の名前でやってます、ではなくちゃんとバージョン・アップしているところが嬉しいです。そんでもってアルバムに先駆けて公開されたのが新機軸サウンドの『ザ・マン』とキラーズ・サウンド全開の『ラン・フォー・カバー』の2曲っていう礼儀正しさ。相変わらずラスベガス出身のくせに真面目な人たちですなぁ。

その『ザ・マン』。もろ80年代イケイケのディスコ・ナンバーでコーラスはABA。ブランドンさん、ファルセット連発でフィーバーしとります。あと、オープニングの『ワンダフル・ワンダフル』とか9曲目の『ザ・コーリング』といったひねった曲も今までと趣が違っていいアクセント。歌詞の方もかつてなくシリアスになっております。あと所々にゴスペル風味が掛け合わさっていて、キラーズが元々持っている壮大さに厳かな雰囲気が加わったというか。例えば静かな#7『サム・カインド・ラブ』は今までに無かったアプローチ。コールド・プレイかと思いました。

逆にド定番なのが#5『ラン・フォー・カバー』。これはやられます。疾走感たっぷりのもろキラーズ・ナンバーで、ここに来てこの瑞々しさはたまりまへん。#2『ラット』、#4『ライフ・トゥ・カム』といったスロー・ナンバーも安定感ばっちりのキラーズ節。特にニューウェイブ感満載の#8『アウト・オブ・マイ・マインド』は思わず「よっ、待ってました!」と言いたくなるみんな大好き80年代風シンセ・サウンド。ていうかやっぱええ曲書きよんなぁ。

まぁここまではっきりとした目の配りようも嬉しいと言えば嬉しいんだけど、そこまで生真面目にやらんでも、という気がしないでもない。そういえばブランドンはインタビューで「前のアルバムから気付いたらもうこんなに経ってる。そろそろキラーズとしてのアルバムを作らないと!」みたいな感じで始まったと話している。そーなんだよなぁ、すごくいいアルバムなんだけどなんか座りの悪い感じがするのはそこなんだよなぁ。しかもちゃんと4人で作ったみたいだけど、アルバム・ジャケットに写ってるの3人や~ん。ツアーに出んのんボーカルのブランドンとドラムのロニーだけらしいや~ん。

ということでなんか頑張ってキラーズとしてのアルバムを作った感がしないでもなくて、やっぱその一枚岩というかバンドとしてガッと来る感じに私は物足りなさを感じてしまうのです。いやいーんです、いーアルバムなんですよ。でもなんか自由度が狭まってきたような気もするので、次はファンの事は気にせずに思いっ切り自分たちのやりたいようにやって欲しいっす!

曲良しボーカル良しサウンド良し。キラーズ・サウンド全開でホントに最高!でもやっぱちょっともどかしい、そんなアルバムでございます!

 

1. Wonderful Wonderful
2. The Man
3. Rut
4. Life to Come
5. Run For Cover
6. Tyson vs. Douglas
7. Some Kind of Love
8. Out of My Mind
9. The Calling
10. Have All The Songs Been Written?

(ボーナス・トラック)
11. Money on Straight
12. The Man (Jacques Lu Cont Remix)
13. The Man (Duke Dumont Remix)

One thought on “Wonderful Wonderful/The Killers 感想レビュー”

  1. わたしもキラーズの大ファンです!彼らへの愛を感じるレビューですね…ステキっす。The Manでの新境地開拓はわたしも見事だと思いました!ちょっと無理してる感があるというのはたしかにそう言われてみればそうかも…鋭い!

    これからもレビュー続けてくださいね。
    応援しています!

Leave a Reply

Your email address will not be published. Required fields are marked *

日本語が含まれない投稿は無視されますのでご注意ください。(スパム対策)