夕方五時、過去から

ポエトリー:

『夕方五時、過去から』

 

風邪をこじらせた

みたいに咳き込んで

遮断機の音

微かに届く

耳障りな手紙

虚空を流れ

夕飯の流れ

五時の知らせ

持ち運びが未だ

ままならないクラリネット

 

あいにく今はまだ

向かってはいない

何がこの世で

大切なのかさえ

歯ぎしりする痛み

走り出す陽射し

君なしでまだ

やっていける

 

地響きみたいな声

この時期だけの蝉の声

非常ベル気取りで

今年の背中蹴り立てる

駅まで伸びていく道

本屋の前で泣いた記憶

今度ばかりは

見知らぬ記憶

 

真っ暗闇の中

陽射しが高く傾いた

頬杖ついた逆からの光

君はまるで丘の上

輝くヒマワリ

解けた糸がまた絡まるように

途切れた時がまた動き出す

 

今新たな動き

過去からの働き

低く伸びた影を踏んで

あと一歩

形振りほどく背格好まで

あと一歩足りない

 

2017年7月

君は心の声に優しく寄り添う

ポエトリー:

『君は心の声に優しく寄り添う』

 

軽い噂話が君の心を重くさせるだろう

短いすれ違いが君に長い夜をもたらすだろう

心がそばにいて欲しいと君にそっと囁くだろう

八月の雨はもうしばらくアスファルトを叩くだろう

 

君は長雨を理由に友達の誘いを断るだろう

時間が重たい石となって君の上にのしかかるだろう

悲しみは溢れて二階の窓を開け放つだろう

君の涙は誰もいない道端へこぼれ落ちるだろう

 

曖昧なままでいいんだよ

誰だってすべてを乗り越えてきたわけじゃないんだよ

そうやって僕たちは少しづつ生きてきたんだよ

 

時のシーツにくるまって

時間はいつしかおぼろげな過去になる

全ては混ぜ合わさってほどけてゆくだろう

 

2017年8月