2023年 洋楽ベスト・アルバム

「2023年 洋楽ベスト・アルバム」

 

2023年は圧倒的に女性アーティストの年だった。特に前半はほとんど女性ばっか聴いていたんじゃないか。別に僕が女性好きということではなく、世の傾向が全くそうだったということです、はい。その最先端にいるのは間違いなく、フィービー・ブリジャーズ、ジュリアン・ベイカー、ルーシー・ダッカスによるユニット、ボーイジーニアス。勿論音楽も素晴らしいが、特筆すべきは3人の佇まい。そこには性別や国境を超えた新しい世代による新しい美しさがありました。そしてそれを多くの人々が支持している。よい方に向かっているとは言えない世界ではあるけど、彼女たちの音楽には希望を感じました。ということで、2023年の個人的なベスト・アルバムはボーイジーニアスの『The Record』です。やっぱり後で振り返った時に2023年の象徴として残るのはこのアルバムだと思います。

 

2023年によく聴いた女性アーティストを振り返ってみると、久しぶりのパラモアの会心作に始まって、ブロンドシェルやウェンズデーといったインディー・ロック勢があり、先ずそこで勢いを感じました。ロックじゃないけどソウルフルなジェシー・ウェアもカッコよかった。後半に入ってもジャパニーズ・ハウスが期待通りだったし、ミツキもいいのを出しました。日本で印象深かったのはカネコアヤノ。オアシスばりの轟音ギターで、ライブにも行きましたけどエモーショナルでとても記憶に残るものでした。そうそう、羊文学もついにブレイクしましたね。というところで年末、各種媒体の年間ベストを眺めていると、知らぬ間にコリーヌ・ベイリー・レイに新譜が出ていたじゃないか、オリビア・ロドリゴもパラモアみたいなロックをやってるじゃないか、なになに、アナ・フランゴ・エレトリコ?誰だそれ、めっちゃええやないか、と今慌てて聴いているところです。

 

そういう後から知ったのも含め、2023年は女性アーティストが多かったわけですが、嬉しいのはその多くがギターを抱えたロック音楽だということ。ただ、ロックと言うのは世の中に対する異議申し立てと言う側面もある。それだけ女性が言いたいことを言えるようになってきたとも言えるし、ジェンダーレスなんて言ってもまだまだ理不尽なことは山ほどあるってこと。いずれにしてもめちゃくちゃカッコいい女性のロックがどんどん出てきている。ロックにおいても男とか女とかはもう関係ない。

 

あと2023年の個人的ベスト・トラック。これは年初に聴いたインヘイラーの『When I Have Her on My Mind』がずっと印象深く残っていたのですが、後半に入ってザ・ビューの嬉しい復活があって、そこからの『Woman of the Year』、これにしようと思います。曲といいボーカルといい、ずっと持っている強みと今になって出せる深み、これらが両立した素晴らしい曲でした。ミュージック・ビデオも素晴らしかったです。

 

あと個人的なトピックとしてコーネリアスのことも書いておきます。高校生の頃はよくフリッパーズ・ギターを聴いていましたが、ソロになってからはあまり聴いたことがなかった。そこに例のオリンピック騒動。かつて大好きだった音楽家が本当にそうだったのかというところが僕の中で結びつかなかった。そしていろいろと調べてある程度納得がいった、そういう中で再活動後のアルバムが出た、それがとてもよいアルバムだった。という流れで過去作も沢山聴いてライブにも行きました。それは本当に心に残るものでした。彼の活動はこれからも見ていきたいと思います。

 

ちなみにSpotifyによると、2023年に僕が最も聞いた曲はボーイジーニアスの『$20』。ていうか再生ランキングの上位ほとんどがボーイジーニアス『The Record』からの曲だったので、客観的に見ても僕の2023年ベスト・アルバムはこれだということです。一番聴いたアーティストはさっき書いた理由でもってコーネリアス。ウィルコはなんだかんだで3位に。やっぱ僕はウィルコ好きなんだな。

2022年 洋楽ベスト・アルバム

 

コロナ禍に縮こまっていた2年を過ごし、本格的に動き始めた2022年。創作期間がたっぷり取れたのか、良い作品が幾つも生まれた。とりわけ困難な一年となった2022年ではあるが、不思議と社会的な出来事を直接的に表現する作品は少なかったように思う。むしろ音楽として単に良いものを作りたい、みんなそこにフォーカスしていたのではないか。それぞれが自身のストロングポイント、或いは以前より新しく取り組みたいと思っていたことに本腰を入れ突き詰めていく。平常心に戻った作家が初期衝動に戻っていった1年なのかもしれない。
 
ということで来年以降は一転、シリアスな作品も増えていくのかもしれないが、とにかく今は新しい人も名うての古株もそれぞれが腕を振るった極上のベリーベストに身を委ねたい。というところで真っ先に名前を挙げたいのがアークティック・モンキーズ。随分と風変わりだった前作の延長線上に見事な歌のアルバムを用意してくれた。アレックス・ターナー歌謡ショーのような新作は時間が経つごとに魅力が増す不思議な味わい。さてはまたもやこれで何年も持たすつもりか(笑)
 
もう一方の英国の雄、The1975は逆にこれまであった実験的要素は皆無のカードが全部表にひっくり返ったみたいなポップ・チューンの連打。レディオヘッドならぬザ・スマイルもカッコいいギター・ロックを聴かせてくれたし、どこの年間ベストにも名前は挙がらないが、同じくベテランのステレオフォニックスも近年まれにみるカッコいいロック・アルバムだった。有名どころ以外にもウェット・レッグを筆頭に個性的な若手もどんどん出てくるし、英国ロックは更にいい感じだった。
 
あと2022年は日本に関わりのあるアーティストが躍進した年としても記憶される。ミツキとJojiは共に全米チャート5位。リナ・サワヤマは全英チャート3位。移住した時期は違うけれど、日本で生まれ日本語をネイティブに話し、叩き上げでここまで来た彼彼女たちの快挙は日本であまりにも知られなさすぎ。欧米でちょっと有名、ではなくマジで聴かれています。己の才覚でここまでのし上がった彼彼女たちは素直にカッコいい。
 
さて、僕の2022年ベスト・アルバムは何だったか。世間的には海外ではビヨンセとケンドリック・ラマーとハリー・スタイルズ、国内では宇多田ヒカルと藤井風といったところだろうが、僕はあくまでもロックが聴きたい。というところで見れば、ビッグ・シーフと優河の一騎打ちだ。追いかけるのはアークティックとThe1975。ビーバドゥービーや羊文学も結構聴いたぞ!
 
僕は基本的に英国インディ・ロックが好きだ。一方でどうやら米国インディ・フォークも好きらしい。ウィルコしかりビッグ・シーフしかりボン・イヴェールしかり、振り返ってみると自然と体がそうなっていた。いや、分かるようで分からないリリックが好きなのかもしれない。そういう流れでまさか日本人アーティストでそれを体現する人がいたなんて知らなかった。魔法バンドと共に作り出したそこにある雨風と時折差し込む光としてのサウンド。そこにあるゆらぎを言葉にしようとするトライアル。2022年、僕のベスト・アルバムは優河の『言葉のない夜に』にしたい。
 
今年は大変なことが起きたなぁではなく、大変なことが起きるのが普通になりつつある現在。僕たちは新たな混乱の戸口に立っているのかもしれない。とすれば本番はこれから。遠い昔の出来事だったあらゆる物事が僕たちの出来事になる前夜。これまで音楽や映画や文学を通して社会や歴史を学んできたように、これからもどなたかも分からぬふわふわとした言説ではなく、顔の見える作家たちの屹立する個の声を聞いていきたい。
 
ちなみに僕の2022年ベスト・トラックはウィルコの『Hearts Hard To Find』。ついでに言うと2022年にSpotifyで最も聴いたアーティストもウィルコでした。あと、佐野元春の『今、何処』も間違いなく2022年を代表する作品ではありますが、ここでは選外にしています。十代の時からのファンなもので、客観的な判断はできませぬ。ていうか洋楽ベスト・アルバムって割には邦楽への言及が多くなったな(笑)。

2021年 洋楽ベスト・アルバム

「2021年 洋楽ベスト・アルバム」
 
 
2020年がコロナに萎縮した年だったとすれば、2021年は様子見をしながら少しずつ動き始めた1年ということになるだろう。とはいえ、今年も海外からミュージシャンを呼ぶことは出来ず、洋楽ライブはほぼ無し。この状況に慣れたと言えばそうかもしれないが、それはそれで内向き思考が促進されるようで、やはり僕としては生きる上で「外に出る」気持ちは保ち続けたい。2022年は洋楽ライブが復活するのだろうか。
 
今年は国内のミュージシャンを聴こうキャンペーンを個人的に発動していたのだが、終わってみればたった5枚のみ。ただ、僕が20代の頃に聴いていたくるりやグレイプバインが今もめちゃくちゃカッコいいというのを知れたし、羊文学という新しい才能を知れたので、このプチキャンペーンも意味はあったのかもしれない。2022年も意識的に国内ミュージシャンを聴こう。
 
洋楽の方に目を向ければ、今年は初めて聴く人たちが多い年だった。つまり新しい才能が沢山いたということだが、中でもロックが多種多様で楽しかった。所謂UKサウス・ロンドンもそうだが、2021年はやはりマネスキン。最初はパロディかと思わせつつもアークティックっぽさもあれば高速ラップもふんだんに、完全に今の時代にこそ現れた新種のような輝き。外見はハデハデだが中身は柱なみの揺るぎなさで、まるで宇随天元のようだなと思いつつ、2022年は生マネスキンを体験したい。
 
さて2021年の個人的ベスト・アルバムはどうしようかなと、僕がアルバムを聴くたびに付けていた点数を振り返ってみると、10点満点はテイラーさんの『Evermore』(2020年末だったので2021年としてカウント)、くるり『天才の愛』、ウルフ・アリス『BlueWeekend』、リトル・シムズ『Sometimes I Might Be Introvert』、折坂悠太『心理』の5枚。ていうか5枚もある。ただ今振り返ってみると、ウルフ・アリス、折坂悠太、リトル・シムズがベスト3か。ていうかこの3枚から一つは選べねぇ。。。
 
というわけにもいかないので無理くり選択。1か月後には気持ちが変わっているかもしれないが、とりあえず個人的2021年のベスト・アルバムはこれでいきます。脳内評議会の結果は、、、
 
 ドゥルルルルル。。。。。、ドンッ!はいっ、ウルフ・アリスさんの『Blue Weekend』です!
 そして特別賞として折坂悠太さんの『心理』。
 ベスト・トラックはリトル・シムズさんの『Little Q, Pt. 2』になりました~。
 
ちゅうか、3枚とも選んでるや~ん!
 
ま、それぐらい甲乙つけがたいということで。ただウルフ・アリスは初期のピークとして、勿論これからキャリアを重ねる中でまた別のピークは迎えるとは思うのですが、20代でのこのピークを記録しておきたいと、この作品はそういう気持ちにさせる特別感があったと思います。あと折坂悠太はまだ底が知れないというか、まだまだピークは先にあるんじゃないかという気はしている。でまぁリトル・シムズはサウンド、ラップ、リリック、どれをとっても最高なんですが、やっぱ2021年はロックを選びたいなと。ま、そういうことで完全に今の気分で選びました。
 
中国で発生したウィルスがその後の1年をあんな風にするとは思ってもみなかったし、今の状況も去年の今頃からは想像できていない。オミクロンなどというアメコミに出てきそうなキャラクターの名前も1年後にはどう響いているのか全くもって分からない。相変わらずマッチョな価値観に引きずられがちな世の中ではあるが、やりたいこと、やりたくたいことにしっかり線引きし、図らずもコロナ禍で顧みられることになった個をこれからも大切に出来ればよい。窮屈な世界はまだまだ続くが、私はいいですと少しは開き直って言える世の中になってきたのかもしれない。
 
とは言いつつ、アートに対してはこれまで以上にオープンに。Life is short 、人に構わず好きなことに邁進していければ。逆に言えば、それが異なる視点を持った他者との交流に繋がるのだから。

2020年 洋楽ベストアルバム

洋楽レビュー:

『2020年 洋楽ベストアルバム』

 

コロナ禍に見舞われた2020年はライブにも行けず寂しい思いをしたのだが、こんな状況でも音楽は沢山生まれていて、逆にこの機を利用しこれまでと違った音楽を届けてくれるアーティストもいた。昔と違って、圧倒的な作品というのは生まれにくくはなっているのかもしれないが、その分全体のレベルは高く、つまりデビューアルバムであろうがベテランの作品であろうが横一線で評価されるサブスク時代で、ていうか2020年はBTSはじめ韓国勢が海外のチャートを賑わしたり、音楽においてはますますボーダレス化が進み、日本のアーティストだって普通にチャンスがあるという非常に進歩的に世界になっている。勿論それはmetoo であったりBLM というところで顕著で、アーティストというのは’炭鉱のカナリア’なんて言葉もあるが、まさに文化が僕たちをリードしていくというのを実感する年でもあった。

そんな中コロナ禍というのを逆手にとったテイラー・スウィフトのまさかの2作連続リリースは音楽界にとって非常に心強いものだったろうし、彼女に限らず2020年は女性陣の活躍が大いに目立った。フィオナ・アップル、フィービー・ブリジャーズ、ビッグ・シーフのエイドレアン・レンカー等々、みんな流行り廃りや商業ベースから一歩離れたシンガーソングライターたち。僕は元々ウィルコとかボン・イヴェールとかUSインディ・フォークが好きだっていうのもあるけど、女性においても個人の声が世界の声につながるようなシンガーが好きなんだと改めて実感した。そう見ると、どメジャーからそれをやってのけたテイラー・スウィフトは異端とも言える。

その中でハイムというのはオルタナティブな存在であっても、インディ感はないし、テイラーほどメジャーでもない。どちらにも足を突っ込めそうで突っ込まない独自のスタンスが今回出たアルバムで更に確固たるものになった気はする。自然体(本人たちはそうではないかもしれないが)でここまで意見を申しつつ、一方でポップで一方で辛辣、このアルバムで一気に海外でもあまり例のない女性ロッカーとしてのヘッドライナーになってもおかしくないと思いつつ、そうなるとやはりコンサートが軒並みキャンセルとなったコロナ禍は残念極まりない。ていうか彼女たちはそんなもの求めてないか。

この1年、自粛自粛で出歩かなかったせいか、もうお正月かと1年の速さを実感しつつも、ストロークスの新作が出たのが4月かと思えば、それもえらく遠くに感じる。やはり年は取ったのだ。そして僕たちは目に見えない傷を沢山負った。という自覚がないことを自覚しつつ、今年も音楽に随分とよい気分にさせてもらった。聴きたいけど聴けてない2020年の音楽はまだまだある。嬉しいことです。

 

 極私的2020年ベスト・アルバム 『Women in Music Pt. III 』 Haim

 極私的2020年ベスト・トラック 『人間だった 』 羊文学

2019年 洋楽ベスト・アルバム

洋楽レビュー:

『2019年 洋楽ベスト・アルバム』

 

2019年も色々な音楽を聴きました。大した数ではないけれど、その年のベスト・アルバムを考えるのも楽しみの一つなので、今回も選んでみました。

買い物リストを眺めていると2019年はずっと聴き続けている人たちが多くだいぶ落ち着いた印象。とはいえ、ビリー・アイリッシュやビッグ・シーフや折坂悠太といった新しい音楽も聴いていて、それがまた理解できないというのではなく、ちゃんと心にに響いてきているし、僕の感受性もまだまだ捨てたもんじゃないなと我ながら思ったりもしています。

さて僕の2019年ベストアルバムですが、もうこれは何回か聴いた時点で今年はこれだろうと半ば決めておりました。世間のベスト・アルバム選にはほぼ載ってこないのですが、久しぶりにグッときたというか、ボスらしい直接的なメッセージは無いのですが、ていうかボスの場合むしろこちらだろうというような名も無い人たちのストーリー。僕もこういうのが分かる大人になりました(笑)。てことで2019年の私的ベスト・アルバムはブルース・スプリングスティーンの『ウェスタン・スターズ』です。

ホントに映画を観ているようでしたね、このアルバムは。登場人物はアメリカ人だし年食った人たちだし、全く自分とはかけ離れた世界ではあるんだけど、それでも目の前に景色が立ちあがって、深い皺を刻んだ人たちの人生が胸に迫ってくる。それこそ名も無いひとつひとつの小さな星たちの一瞬の輝きのようなアルバムでしたね。米国ではスプリングスティーンがこのアルバムを全編フルオーケストラで歌う映画が公開されたそうですが、是非日本でも公開してほしいです。

次点はヴァンパイア・ウィークエンドの『ファーザーズ・オブ・ザ・ブライド』。このアルバムもよく聴きました。彼らから全てを引き受けるようなこれほど開けっぴろげなアルバムが出てくるとは思いませんでした。どうも頭のいいインテリみたいなイメージがあったのですが、もうそんなところにはいないんですね彼らは。持ち味である明るさは損なわれずに、けれど苦味もちゃんとある。且つ大通りを胸張って歩く。そんなアルバムだと思います。

あと、なんじゃかんじゃ言って僕はやっぱりウィルコが好きですね。今回の『オード・トゥ・ジョイ』も素晴らしかったです。絶望を歌うビリー・アイリッシュにティーンネイジャーが希望を見出すように、僕たち大人は分かり合えなさを歌うウィルコに歓喜の歌を見出す。ちょっと気取った言い方ですけど、そんなアルバムではないでしょうか。

おまけのベスト・トラックはビリー・アイリッシュの『アイ・ラブ・ユー』にしようかなと。別に流行に流されている訳ではありません(笑)。世間的には他の曲かもしれませんが、僕はこの歌で聴こえる「う~うう~うう~」が大好きです。人工的でありながら人間的で、ひんやりとしているけど温かい。こんな「う~うう~うう~」を聴いたのはトム・ヨーク以来かもしれない。

てことでビリー・アイリッシュにしかけましたが、大事な人を忘れていました。ザ・ジャパニーズ・ハウスです。あまり馴染みのない名前だと思いますけど、英国のインディー・バンドです。あのThe1975所属のレーベル、ダーティ・ヒットのニューカマーと言えば何となく雰囲気分かってもらえるでしょうか?毎年ベスト・トラックは単純にその年に一番聴いた曲にしているのですが、そういや聴いた回数は彼女らの『サムシング・ハズ・トゥ・チェンジ』が断トツだったなと(笑)。なので2019年の僕のベスト・トラックはザ・ジャパニーズ・ハウスの『サムシング・ハズ・トゥ・チェンジ』となりました。

2018年 洋楽ベスト・アルバム

 

『2018年 洋楽ベスト・アルバム』

 

年末恒例の各メディアのベスト・アルバム選。年も明けてほぼ出揃った感じでしょうか。こういうの、眺めてるだけでも楽しいですよね。2018年の傾向としては、2017年のケンドリック・ラマー『Damn』のようなこれが今年の1枚だ、みたいな作品が無くて、そういう意味では各メディアそれぞれの個性が出て、逆に面白い年間ベスト・アルバム選になっているんじゃないでしょうか。でしょうかって言っておきながら知らん作品ばかりなんやけどね。

僕個人で言えば、2018年はYouTubeをかなり利用しました。タダでアルバム聴くなんざ不届き者っー!!(笑)。ていうかチャンス・ザ・ラッパーがフィジカル盤出さんからや~。てことで、あれっ?YouTubeでアルバム結構聴けるんやってことに気付いて、ついついこれ買うか迷うな~ってのをYouTubeで済ましてしまう1年となってしまいました。ま、懐事情もございますから(笑)。今後はほどほどに致します…。

で2018年の僕のベスト・アルバムはなんだっけかなと考えてみると、先ず年明けのスーパーオーガニズム。気の抜けたようなサウンドもいいし、オロノさんの声もいいし、なんつっても曲がいい。これからどう変容していくのか分からないけど、彼女たちの先には未来しか見えません。それとアークティック・モンキーズ。サウンドとしてはロックじゃないかもしれないけど、このわけの分からなさを納得させる腕力は流石と言うか、ロック・バンドも負けちゃいねぇぞっていう爽快感がありましたね。

あと世間的なベスト選には引っ掛かって来ないかもしれませんが、ボン・イヴェール好きとしてはビッグ・レッド・マシンのアルバムが2018年の世の中の気分とマッチしていてすっごく良かったです。同じく変化球だとルイス・コールも。この人の才能にはぶったまげました。それと個人的に大好きなクークスの新作もキャリア史上ベストなんじゃないかっていうぐらいメロディが映えるいいアルバムでした。

でこの中から今年のベストはどれかな~なんて考えてたら、最後にドカンと来ました。The1975です。12月に出たばっかなので、どうしてもテンションが上がり気味になってしまいますが、このサウンドとリリックは時代を象徴するアルバムなんじゃないかと。日常の些細な出来事こそが真実であり、その15編の小さな物語がThe1975という端末に収束されていくという手腕は見事と言うしかない。

正直、このバンドがここまで来るとは思っていませんでした。『OKコンピューター』によってレディオヘッドが幾つかあるいいバンドのうちの一つからオンリーワンの存在になったように、The1975も今回のアルバムで唯一無二の存在になったような気がします。

てことで、2018年、僕のベスト・アルバムはThe1975の『A Brief Inquiry Into Online Relationships(ネット上の人間関係についての簡単な調査)』に決定です!!次点でアークティック・モンキーズ『Tranquility Base Hotel & Casino』とザ・クークス『Let’s Go Sunshine』。一応新譜は聴くたび毎に点数を付けておりまして、2018年に満点を付けたのはこの3作品でした。やっぱオレ、UK好きやな…。

おまけでベスト・トラックも。やっぱ2018年はこのバンドを外すわけにはいかんでしょう。てことで、スーパーオーガニズム『Everybody Wants To Be Famous』に決定です。「みんな有名になりたい」って歌詞を眉ひとつ動かさず歌うオロノさんがカッコええ。

※2019.2.1追記:
大事な人たちを忘れていました。ピーター・コットン・テールの『Forever Always』。フィーチャリング Chance The Rapper,Daniel Caesar,Rex Orange County, Madison Ryann Ward, Yebbaっていう沢山のミュージシャンが参加してますが、もの凄く幸せになれる曲です。この曲も僕のベスト・トラックですね。2曲になってしまいました(笑)。

2017年 洋楽ベスト・アルバム

洋楽レビュー:

『style of far east が選ぶ 2017年 洋楽ベスト・アルバム』

 

今年も多くのCDを購入した。と言っても新譜が月2枚程度だから趣味とすりゃかわいいもん。月2枚と言えど、買い物リストを見ると新旧の実力者がずらりと並んでいるので、我ながらかなりがっしりとした購入履歴になっていると思います。

さて毎年年末になると国内外の音楽誌でベスト・アルバムの発表があります。国内のロッキンオンとNMEジャパン、海外のローリングストーン誌にピッチフォークをさら~っと見たけど、僕の購入履歴にあったのは12枚。意外と高確率でした。ハイムがどこにも載っていなかったのは意外だったな。で軒並み高評価のロードは未購入。毎年ふ~ん、て感じで眺めているだけだけど結構楽しい。こういうの好きです。

僕にとって2017年の最大のニュースはやはりギャラガー兄弟が揃って新譜を出したこと。特にリアムがようやくソロを出し、それが僕たちの期待するリアム像そのものを体現するアルバムであるというこれ以上の無い復活の仕方で、しかもその復活したステージをサマーソニックで至近距離で見れた、そして期待に違わぬステージを見せてくれたっていうのは本当に特別な体験でした。

一方のノエルはそんなリアム騒ぎなんてどこ吹く風、オアシス時代をはるか遠くに追いやる素晴らしいアルバムを出した。これはこれで最高な出来事で、やっぱこうやって二人が二人のキャラクターに沿った新しい音楽を制約なしに思いっ切りやってくれることが僕たちにとっちゃ一番嬉しいのだ。

2017年は僕の好きなバンドが続々と新作を出してきて聴く方も大変だったんだけど、そのいずれもがホントに良く出来た作品ばかりで、かなり濃密な音楽体験となった。名前を挙げると、ケンドリック・ラマーにパラモア、フェニックス、ハイム、ファスター・ザ・ピープルなどなど。初めて聴いたThe XXやウルフ・アリス、フォクシジェン、ザ・ウォー・オン・ドラッグスも良かったし、年末にかけてのキラーズとベックも最高だったな。

そんな中、僕の個人的なベスト・アルバムは、フォスター・ザ・ピープルの『セイクレッド・ハーツ・クラブ』。ウルフ・アリスの『ヴィジョンズ・オヴ・ア・ライフ』とベックの『カラーズ』と迷ったんだけど、ウルフ・アリスはまだまだこれから先に凄いのを持ってきそうだし、ベックはもうそりゃこれぐらいやるでしょうよってことで、フォスター・ザ・ピープルに決めました。やっぱ今までのキャリアの総括というか、ここにきて一気にスパークした感じがするし、最近改めて聴いてみてもやっぱそのエネルギーの質量はハンパないなと。国内外の音楽誌のベスト・アルバム選にはあまり入っていなかったけど、僕は凄いアルバムだと思います。

あとおまけでベスト・トラックも。これはThe XXの『オン・ホールド』にします。年初に聴いたものはどうしても印象が薄れていくんだけど、今聴いてもやっぱりいい。こういう切ない感じに僕は弱いです。

ま、一応面白半分で選んでみたけど、どのアルバムもホントに素晴らしくて、この先も聞き続けていけるものばかり。最初にも言ったけど、2017年はがっしりとした重量感のあるアルバムが沢山あったなという印象を受けました。

ここ数年はあまりバタバタと買い漁ることも無くなってきたし、落ち着いた洋楽ライフになって来たと思います。この調子で2018年もいつものもの、新しいもの、平たい気持ちで素晴らしい音楽に出会いたいものです。

ということで、style of far east が選ぶ、2017年 洋楽ベスト・アルバムは、『Sacred Hearts Club』 Foster The People。2017年 洋楽ベスト・トラックは、『On Hold』 The XX に決定です!