2019年 洋楽ベスト・アルバム

洋楽レビュー:

『2019年 洋楽ベスト・アルバム』

 

2019年も色々な音楽を聴きました。大した数ではないけれど、その年のベスト・アルバムを考えるのも楽しみの一つなので、今回も選んでみました。

買い物リストを眺めていると2019年はずっと聴き続けている人たちが多くだいぶ落ち着いた印象。とはいえ、ビリー・アイリッシュやビッグ・シーフや折坂悠太といった新しい音楽も聴いていて、それがまた理解できないというのではなく、ちゃんと心にに響いてきているし、僕の感受性もまだまだ捨てたもんじゃないなと我ながら思ったりもしています。

さて僕の2019年ベストアルバムですが、もうこれは何回か聴いた時点で今年はこれだろうと半ば決めておりました。世間のベスト・アルバム選にはほぼ載ってこないのですが、久しぶりにグッときたというか、ボスらしい直接的なメッセージは無いのですが、ていうかボスの場合むしろこちらだろうというような名も無い人たちのストーリー。僕もこういうのが分かる大人になりました(笑)。てことで2019年の私的ベスト・アルバムはブルース・スプリングスティーンの『ウェスタン・スターズ』です。

ホントに映画を観ているようでしたね、このアルバムは。登場人物はアメリカ人だし年食った人たちだし、全く自分とはかけ離れた世界ではあるんだけど、それでも目の前に景色が立ちあがって、深い皺を刻んだ人たちの人生が胸に迫ってくる。それこそ名も無いひとつひとつの小さな星たちの一瞬の輝きのようなアルバムでしたね。米国ではスプリングスティーンがこのアルバムを全編フルオーケストラで歌う映画が公開されたそうですが、是非日本でも公開してほしいです。

次点はヴァンパイア・ウィークエンドの『ファーザーズ・オブ・ザ・ブライド』。このアルバムもよく聴きました。彼らから全てを引き受けるようなこれほど開けっぴろげなアルバムが出てくるとは思いませんでした。どうも頭のいいインテリみたいなイメージがあったのですが、もうそんなところにはいないんですね彼らは。持ち味である明るさは損なわれずに、けれど苦味もちゃんとある。且つ大通りを胸張って歩く。そんなアルバムだと思います。

あと、なんじゃかんじゃ言って僕はやっぱりウィルコが好きですね。今回の『オード・トゥ・ジョイ』も素晴らしかったです。絶望を歌うビリー・アイリッシュにティーンネイジャーが希望を見出すように、僕たち大人は分かり合えなさを歌うウィルコに歓喜の歌を見出す。ちょっと気取った言い方ですけど、そんなアルバムではないでしょうか。

おまけのベスト・トラックはビリー・アイリッシュの『アイ・ラブ・ユー』にしようかなと。別に流行に流されている訳ではありません(笑)。世間的には他の曲かもしれませんが、僕はこの歌で聴こえる「う~うう~うう~」が大好きです。人工的でありながら人間的で、ひんやりとしているけど温かい。こんな「う~うう~うう~」を聴いたのはトム・ヨーク以来かもしれない。

てことでビリー・アイリッシュにしかけましたが、大事な人を忘れていました。ザ・ジャパニーズ・ハウスです。あまり馴染みのない名前だと思いますけど、英国のインディー・バンドです。あのThe1975所属のレーベル、ダーティ・ヒットのニューカマーと言えば何となく雰囲気分かってもらえるでしょうか?毎年ベスト・トラックは単純にその年に一番聴いた曲にしているのですが、そういや聴いた回数は彼女らの『サムシング・ハズ・トゥ・チェンジ』が断トツだったなと(笑)。なので2019年の僕のベスト・トラックはザ・ジャパニーズ・ハウスの『サムシング・ハズ・トゥ・チェンジ』となりました。

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