邦楽レビュー:
『Reflactions』(2026年)Cornelius
僕がコーネリアスを再び聴くようになったのは2023年からで、再びと言っても聴いていたのは『ファースト・クエスチョン・アワード』までなので、なんだソロ1作目だけじゃないかと言われるとそれまでなのだが、2023年に思うところがありおもむろに再び聴きだし、なので慌ててブックオフなどで旧譜を漁ったりしていて今もそれは続いている。
ただ2作目の『69/96』がなかなか手に入らなくて、そんなことを娘に話していたら「メルカリやとあるんちゃう」と言われ、娘のスマホで検索すると難なく手に入った。スゴイなメルカリは。そしてありがとう娘よ。ということでつい1カ月ほど前から改めて『69/96』を聴いている。ちなみに以前はSpotifyにはないので、Youtubeで聴いていました。
前置きが長くなったが、そういう流れで今作『Reflactions』を聴き始めた。最初の感想はコーネリアスにしては騒がしくガチャガチャしている、なんか『69/96』みたいだなというもの。つい最近『69/96』を聴いたせいか。
『Reflactions』は思わず身体が揺れてしまうほどリズム感に溢れていて、ファンクの要素もあるし踊れるコーネリアス。いつも以上にギターを弾きまくるのも嬉しい、どこまでが生演奏かは分からないけど。いずれにしても家族のいるリビングで聴いていると遠慮してしまうほどのラウド。部屋に一人で心置きなく聴くのがいい。
ダンサブルでバンド感があるから肉体的ではあるのだろうけど、ただなんとなく気色悪さというか嘘っぽさもありつつ、なんなんだこの異物感はと思っていたらふとデヴィッド・クローネンバーグを思い出した。このところチャーリーXCXの新作を気に入って聴いていたし(その新作にデヴィッド・クローネンバーグがスポークンワーズで参加)、昨日WOWOWのテレビ欄で『グライムズ・オブ・ザ・フューチャー』を見つけたからその印象のせいかもしれない。
今作に伴うコーネリアスのインタビュー記事によると、大きなトピックとして本格的に創作にAIを導入しだしたということ。プロンプトを何度も繰り返して、出てきたのもを分解したりくっつけたり、またそれをAIに投げ返したり、あるいは自分で演奏して再現してみたりってことだろうか。わからんけど。とにかく新しいおもちゃを手にして楽しんでいるコーネリアス、の絵が浮かぶ。てことはサンプリングしまくって今や再発出来ない『69/96』と同じっちゃあ同じか。思わず『69/96』みたいやなと思ったのは僕の気のせいではなかったということで。
もちろんAIには沢山の水が必要だとか、バカみたいに電気を食うとかの環境問題、または倫理的な問題もある。つまりこのトライアルが次回でも引き継がれるかどうかは分からない。後で振り返ると、まだAIがシリアスになる前の記録、ということになるのかもしれないが、まだ無邪気に遊んでしまえる今はそんな貴重なひと時、と踏まえたうえでコーネリアスは遊んでいるのかもしれない。
カッティングギターもふんだんにダンサブルなソングライティング。そしてショーン・レノンをはじめ旧知の友人たちにボーカルや作詞をお願いしたりといつになく外向きなコーネリアス。そのままいけば陽性なアルバムかと思いつつ、そこに非人間的な要素を組み込ませ、デヴィッド・クローネンバーグを想起させる不穏さも。この奇妙な感覚を僕は持て余している。
ところで‘Reflections‘ではなく、‘Reflactions‘と表記するのはなんでだ?