Different Creatures/Circa Waves 感想レビュー

洋楽レビュー:

『Different Creatures』(2017) Circa Waves
(ディファレント・クリーチャーズ/サーカ・ウェーヴス)


このバンドの特徴は何と言ってもソングライティング。とりわけその親しみやすいメロディにあると言ってよい。2年ぶりにリリースされた本作は、屈託のないギター・バンドから幾分ハードになっているものの、要はメロディ。彼らの場合はどれだけ風を切れるかにかかっている。
 
その意味で言えば、まあ悪くない。なんて偉そうに言ってはなんだけど、折角のメロディという最大の武器が、ハードなサウンドに引っ張られている感が無きにしも非ず。証拠に1stの延長線上にあるボーナス・トラックがやっぱ気持ちよかったりするのだが、これは好みの問題か。
 
ライナー・ノーツにはアークティック・モンキーズのセカンドに似たハード志向なんて書かれてあったけど、僕がイメージしたのはアッシュの『メルトダウン』。どちらもメロディ勝負のギター・バンドだけど実はメタル好きで、自分たちの好みを素直に出してみましたって感じ。で、面白いのはアッシュが結構振り切っちゃってるのに対し、サーカ・ウェーヴスはそこまで振り切れてないってとこ。恐らく彼らはどうも極端なことがしにくいタイプというか、そういう体質のようで、穿った見方をすれば、十代の時から脚光を浴びたアッシュと20代後半になってやっと世に出たサーカ・ウェーヴスとの違いかも。やっぱ売れなきゃどうにもなんねぇ、みたいな。もっと思い切ってやって欲しかった気もするけど、そういう体なんだろうねぇ。
 
ただまあその生真面目さというか職人気質的なところが彼らの良いところとも言えるし、その上でスピード感は損なわず、風を切っていく疾走感は流石。理屈よりも感覚が少し勝ってるところがいい。この辺の気質というか、理屈と感覚のバランス感はフォスター・ザ・ピープルに近いものがある。
 
今回のサウンドが継続的なものか次はまた違ったものになるのかは分からないが、どっちにしてもキエランのソングライティングが錆びない限り、この鮮度は保たれるだろう。そうそう、どうあってもスピード感が出ちゃうキエランの声も肝。これは天性のモノだ。
 
 1. WAKE UP
 2. FIRE THAT BURNS
 3. GOODBYE
 4. OUT ON MY OWN
 5. DIFFERENT CREATURES
 6. CRYING SHAME
 7. LOVE’S RUN OUT
 8. STUCK
 9. A NIGHT ON THE BROKEN TILES
★10. WITHOUT YOU
☆11. OLD FRIENDS
☆12. TRAVEL SICK (JAPAN BONUS TRACK)
 
 #10~#12が三者三様でいい。ソングライティング力が光る。

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