アドルフ・ヴェルフリ展 二萬五千頁の王国 感想

アート・シーン:

『規則正しく自由に』
~アドルフ・ヴェルフリ 二萬五千頁の王国~兵庫県立美術館

 

奥行きがあるような無いような

平面的でないような立体的でないような

規則正しく自由な感じ

 

左右対称でないようで非対称でないようで

動的でないようで静的でないようで

あるようなではなくないような

規則正しさのコラージュ

その居心地の悪さ

 

でもそれは彼にとっての規則正しさ

タイトルを変えイメージを変えモチーフを変え執拗に描かれる

所々に明るさが垣間見える

譲れない規則正しさがあってでもそこから自由になる

その自由さにも規則正しさがある

 

彼の鼻の中とか耳の中とか毛穴とか目の奥から覗いた景色

まさしく揺りかごから墓場まで

彼の旅を覗いていく

 

決して平面的に描いている訳ではなく意図的に奥行きを効かせている場合もある

ペルシャ絨毯のようなそれでいて規則正しさからの自由

 

あちこちに書かれた音符は五線譜ではなく六線譜

不自由で自由な規則正しさの表れ

あちこちに書かれたポエトリーを読みたい

 

旅は晩年の葬送行進曲で終わりに向かう

目に付いた僅かなコラージュとことば、マントラ

ぐるぐると回ってマグマの奥深く己のマントルへ向かう

最後まで自己の物語を演出する

彼は絵を描いているといふ感覚があったのだろうか

 

2017年2月

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