自由を愛し お喋りを愛す

ポエトリー:

『自由を愛し お喋りを愛す』

テレビの語学講座を観るのが好きです
特にどこの国というわけではありません
学ぶためではありません
ただ観ているだけです
外国の文化、風習、言語、そういったものをなんとなく観ているだけです

ヨーロッパの国々からニュースが届きます
近頃は爆弾が破裂した
そんなニュースが届きます
大通りで
フットボール会場で
コンサート・ホールで
それは無差別の起きます
ヨーロッパは今、生と死が背中合わせのようです

欧州の人たちは食事を大切にします
カフェを大切にします
お昼休みは家に帰って過ごす
何時間も過ごす
うらやましい限りです

イメージはやはりオープン・カフェ
家であっても出先であっても
地中海で採れた食物と太陽の日差しを浴びて外で過ごす
そんなイメージです

そんな憩いの場にも死は突然訪れます
それでも彼らは外にいることをやめません
彼らにとって何より大切なことは
自由でいる事なのです

ちなみに僕の国では自由さより公平さより経済が優先されます

2017年6月、
フランスのバンド、フェニックスの新しいアルバムが届きました
彼らの音楽はいつもヨーロッパ的だけど今回は特にヨーロッパ的です
タイトルは『Ti Amo』といいます
イタリア語で「愛している」という意味だそうです

ほぼ全編、レストランやカフェのイメージです
大勢の人たちで賑やかなオープン・カフェ
昼も夜も恋人たちは思い思いにお喋りを楽しみます
『Lovelife』なんてタイトルの曲もあります

それがきっと彼らのアティチュードなのだと思います
困難に立ち向かう彼らのアティチュードなのだと思います
ヨーロッパの人たちは今日も外でお喋りをします
お喋りと自由を愛し、愛を語るのが大好きな彼らの日常は今日も続くのです

 

2017年6月

君は世界の端っこをつかまえた

ポエトリー:

『君は世界の端っこをつかまえた』

 

世界の端っこをつかまえて

君は「見て!ねぇ、これ」

僕が思ったことは

きれいな手

 

アルコールで消毒して

南イタリアの男みたいにエスコート

そしたらほら

すみっこに新しい朝

何処にデビューするつもり?

 

それで思い出した

君が言ったこと

耳をふさいでないと見えないものは

大した事じゃないって

 

君の声

月の満ち欠け

二人を隔てているもの

早く地平線に沈めばいい

 

僕は祝福するよ

君の門出

困ったことがあったら言って

なんなら今日のうちにでも

明日になったら忘れてしまうから

僕は忘れっぽいから

 

石畳の上で

噴水の傍で

観光客に紛れて

二人を隔てているもの

遠く地平線へ

 

君は世界の端っこをつかまえて

空の便

果てしなく南の空

 

2017年7月

In Rainbows/Radiohead 感想レビュー

洋楽レビュー:
『In Rainbows』 (2007) Radiohead
(イン・レインボウズ/レディオヘッド)
 
レディオヘッドを聴いている時の感覚は他では得られない。楽しいわけでもないし、癒されるわけでもない。ただ聴いていると気分がいい。きっと彼らの音楽には押しつけがましい主義主張がないからだろう。いや、主義主張がないわけじゃない。押しつけがましくないというだけ。
 
珍しくメロディ主体の曲が多い。かといって歌ものと言えるかどうか。もうボーカルはボーカルでなくていいのだろう。ただの楽器か。明確な意思か。どちらにしても声と楽器が共鳴していることは間違いない。曲ひとつひとつについても同じだ。恐ろしく完成度の高い曲はそれひとつで完結している。緩やかに結び付けられているだけだ。
 
今回の曲は統一感がある。同じ美意識に則っている。詞はシンプルなものが多い。後半に向けてスッと畳み掛けていく展開の曲が多い。突き詰めてそうなったのか、自然とそうなったのか。この時の彼らの美意識とはつまりこんな感じだったのか。バッキンガム宮殿の衛兵交代式とか、日本で言う横綱の土俵入りとかそんなような様式美。レディオヘッドにもこんな時期があるんだな。押しつけがましくないぶん余計うっとりしてしまう。ただそれを鵜呑みにしていいのかどうか。
 
レディオヘッドを聴いていると気分がいいが、このアルバムは特に気分がいい。彼らの様式美が僕にはしっくりくる。メフィストの甘いメロディだ。
 
 
 1. 15 ステップ
☆2. ボディスナッチャーズ
 3. ヌード
 4. ウィアード・フィッシズ/アルペッジ
 5. オール・アイ・ニード
 6. ファウスト・アープ
☆7. レコナー
 8. ハウス・オブ・カーズ
★9. ジグソー・フォーリング・イントゥ・プレイス
 10. ヴィデオテープ