ポエトリー:
『小話』
君の小話
今日は何故か小走り
君のご機嫌
妙なご加減
斜めになって一休み
いくつになっても変わらない
2015年7月
ポエトリー:
『小話』
君の小話
今日は何故か小走り
君のご機嫌
妙なご加減
斜めになって一休み
いくつになっても変わらない
2015年7月
ポエトリー:
『あの人ことを知りたければ』
韓国人の事を知りたければ
韓国人の詩を読めばいい
アメリカ人の事を知りたければ
アメリカ人の詩を読めばいい
中国人の事を知りたければ
中国人の詩を読めばいい
ただそれだけのこと
気まぐれや気取りは詩になっても
嘘は詩にならないから
だから君も
誰か気になる人がいれば
その人の詩に耳を傾けてみて
きっとどこかに顔を出しているから
もちろん君の詩も公開しなくちゃね
2015年1月
ポエトリー:
『オレトレース』
胸に三センチ 奥の弾丸抜き出す
駆け出す 勾配ものともせず
矢のように 駆け抜ける
かつて老人たちが見た夢 いた景色
遠のいてフラッシュバック
高速コーナー 斜めに入って
落ち着いた態度で索引
目を引くような娘 目の前の群れ
弾丸目で追いかけ しかしすぐに息粗く
頭の中渦巻く 何もかも一緒くた
最終コーナー先んじて 一歩先行く
君は抜け出た弾丸
弾丸はかろうじて 数歩詰め寄る
運命の糸 足絡ませ
手繰り寄せ タグを付け
胸の奥三センチの弾丸
今日も抜き出す
2017年7月
ポエトリー:
『いい言葉を聞きたい』
いい言葉を聞きたい
出来れば琥珀に乗せて
夕方、
うつらうつらの調べに乗せて
もしくは君の声
喉の奥、
3センチに詰まった君の声
あるいは旅に出て、
リラックス
2泊3日で帰ってきた声
穏やかな午後
いい言葉を聞きたい
いっそのこと
君の声を借りたい
2017年7月
ポエトリー:
『ポテトサラダ』
エアコンから君の噂話
温度を下げて聞こえなくしてしまおう
キッチンに戻って食べかけのポテトサラダ
君の得意技
マヨネーズが少しばかり多い
君はキッチンに立った
現代音楽の巨匠みたいに
味はともかく、
うるさかった
鍋を二個以上使うのが苦手だった
君の得意な料理がポテトサラダで
僕の得意な料理が麻婆豆腐というのも
君が気に入らないことの一つだったけど
そういうところがいいと言う僕をまた
君は気に入らなかったのも事実
努力すべきことではないと知りながら努力をし続けた僕たちに見切りをつけ君は
世界の事を少しだけ知り得た猫みたいに大きく背伸び
律儀に話し合いをして僕たちの夏は終わった
僕がこうして
ポテトサラダを作るのは
君を懐かしんでいるからではなく
マヨネーズが少しばかり多くなってしまうのも君のせいじゃない
けれど僕の作るポテトサラダが微妙に上手くいかなくなったのは
きっと全部君のせいだ
2017年7月
ポエトリー:
『引き出しはゼロになる』
本当のことを知りたい君 夜更かしがやめられない
全部0にして朝を迎えるつもり しかし朝の光が気持ちを拡散
1からやり直し 本当と嘘を折りこみ
引き出しの奥 遠く耳鳴り
黒いTシャツから覗く 軽く尻込み
人を好きになって自分を知る 0にはなれない
この気持ち積上げて 時空の壁を蹴り上げる
地球の自転を越え ついでに月の公転も越え
何周も何周も素早く ダイナミックに何周も
ところでふと 始まりはいつだか終わりはいつだか
朝はどこだか夜はどこだか また1からやり直し
引き出しは結局 全部0になる
2017年7月
ポエトリー:
『自由を愛し お喋りを愛す』
テレビの語学講座を観るのが好きです
特にどこの国というわけではありません
学ぶためではありません
ただ観ているだけです
外国の文化、風習、言語、そういったものをなんとなく観ているだけです
ヨーロッパの国々からニュースが届きます
近頃は爆弾が破裂した
そんなニュースが届きます
大通りで
フットボール会場で
コンサート・ホールで
それは無差別の起きます
ヨーロッパは今、生と死が背中合わせのようです
欧州の人たちは食事を大切にします
カフェを大切にします
お昼休みは家に帰って過ごす
何時間も過ごす
うらやましい限りです
イメージはやはりオープン・カフェ
家であっても出先であっても
地中海で採れた食物と太陽の日差しを浴びて外で過ごす
そんなイメージです
そんな憩いの場にも死は突然訪れます
それでも彼らは外にいることをやめません
彼らにとって何より大切なことは
自由でいる事なのです
ちなみに僕の国では自由さより公平さより経済が優先されます
2017年6月、
フランスのバンド、フェニックスの新しいアルバムが届きました
彼らの音楽はいつもヨーロッパ的だけど今回は特にヨーロッパ的です
タイトルは『Ti Amo』といいます
イタリア語で「愛している」という意味だそうです
ほぼ全編、レストランやカフェのイメージです
大勢の人たちで賑やかなオープン・カフェ
昼も夜も恋人たちは思い思いにお喋りを楽しみます
『Lovelife』なんてタイトルの曲もあります
それがきっと彼らのアティチュードなのだと思います
困難に立ち向かう彼らのアティチュードなのだと思います
ヨーロッパの人たちは今日も外でお喋りをします
お喋りと自由を愛し、愛を語るのが大好きな彼らの日常は今日も続くのです
2017年6月
ポエトリー:
『星の王子さま』
「大切なものは目には見えないんだよ」っていうけれど
「僕にはちゃんと見えてるぞ」って返した人は
きっとたくさんいるぞ
2012年6月
ポエトリー:
『君は世界の端っこをつかまえた』
世界の端っこをつかまえて
君は「見て!ねぇ、これ」
僕が思ったことは
きれいな手
アルコールで消毒して
南イタリアの男みたいにエスコート
そしたらほら
すみっこに新しい朝
何処にデビューするつもり?
それで思い出した
君が言ったこと
耳をふさいでないと見えないものは
大した事じゃないって
君の声
月の満ち欠け
二人を隔てているもの
早く地平線に沈めばいい
僕は祝福するよ
君の門出
困ったことがあったら言って
なんなら今日のうちにでも
明日になったら忘れてしまうから
僕は忘れっぽいから
石畳の上で
噴水の傍で
観光客に紛れて
二人を隔てているもの
遠く地平線へ
君は世界の端っこをつかまえて
空の便
果てしなく南の空
2017年7月
ポエトリー:
『さよならソレイユ』
あいつは町一番の娘に手を出した
僕たちはみんなあいつの勇気を讃えた
その娘は何処からともなく現れた
親の仕事の関係だとか前の学校で事を起こしたとか
でも僕たちはどれも信用していなかった
本当のことは誰も知らなかったが
そんなことがなくても娘は神秘的だった
けれど僕たちはすぐに打ち解けた
僕たちと言ってもそれは‘僕たち’のことで僕のことではなかったが
僕たちの輪の中に彼女がいた
それは僕を満足させていた
僕は一度だけ彼女と二人きりで言葉を交わしたことがある
暑い日に偶然、町に一軒しかない郵便屋で
彼女は僕に尋ねた
「‘さん’がいいのかな‘様’がいいのかな」
僕は自分でそれは相手によるんじゃないかと言ってすぐに慌てた
宛先を詮索しているように思われる、そしてその狼狽ぶりを悟られるって
けれど彼女は何も気付かないふりをして
「相手は大人だからやっぱ‘様’はいるよね」と答えてくれた
いや違うんだ、
僕は君が誰に手紙を送るのかを詮索するっていういやらしい気持ちが働いたわけじゃないんだ
けれど次に僕がしたことと言えば自分がやるべき動作、
つまり自分の手紙に封をするってことだけに集中したいと、ただそれだけで
僕たち二人にはそんなようなことしか起きなかった
彼女はそんなようなことには慣れていた
あいつはそういうところが無かった
聞きたいことはずけずけと聞いた
顔が赤くなるようなことまで平気で聞いた
後で知ったことだけど彼女も言いたいことを言う人だ
僕たちはみんなあいつの勇気を讃えたが
あいつは無造作に言った
「俺は彼女が好きなんだよ」
あいつと娘は僕たちの輪から徐々に離れた
二人はよく似合っていた
僕たちの輪の中に二人がいなくても何も変わらなかった
ある日あいつが一人で戻ってきてもどうってことはないだろう
けれどあいつが一人で戻ってくる前に
娘は町からいなくなった
結局、あいつを除いて僕たちには何ひとつ分からなかった
僕が知っていることはひとつだけ
今年の夏の一番暑い日に彼女が大人に手紙を出した
それだけだ
僕が郵便屋へ行くのは自分が書いた書き物を雑誌社へ送るため
このことはまだ誰にも言ってないけど多分彼女はそれを知っても驚かないだろう
彼女はきっとはそういう人だ
僕は今日も郵便屋へ行く
自分が書いた書き物を出すためだけじゃなく
さようなら!瞬きをして一瞬で何処かへ行った僕のソレイユ
僕はやっぱり 君のことが好きなんだ
2017年6月