洋楽レビュー:
『Be Here Now 』(1997)Oasis
(ビィ・ヒア・ナウ/オアシス)
オアシスがデビューしたのは1994年で、全世界で2,300枚以上売れたと言われる『モーニング・グローリー』は1995年。で、この『ビィ・ヒア・ナウ』が1997年つうことで僕はどんぴしゃの世代なんだけど、全然聴いてなかったんだよなあ。僕は当時、1960年代とか70年代とかの古い音楽ばっか聴いてて、リアルタイムで流れてるやつには全然興味なくって、だから当時のブリット・ポップ・ブームは全くの蚊帳の外。今思えば随分勿体ないことをしたなんて思うんだけど、仮に当時の僕がこの「僕らの音楽」全開のオアシスを聴いてたら一体どうだったんだろうかとも思う。どっちにしても素通りしてたのかもしんないけど、でも今こうやって聴いてるとオアシスは例外、こりゃ夢中にならざるをえんでしょ、ってな特別なパワーを感じてしまう。
この『ビィ・ヒア・ナウ』が出た当時はオアシス絶頂期の頃で、そりゃ勿論リリース時は熱狂的に受入られたんだけど、時間が経つにつれそれまでのシンプルなロックンロールからかけ離れた重厚なサウンドにあちこちで賛否両論があったみたい。当のノエル自身も後からあんまりのような発言をしちゃったりということで、このアルバムは幾分残念な作品として知られている。
とは言っても僕からすりゃ全然カッコよくて全然残念なアルバムではなくて、だいぶ後の最後のアルバムから比べれば、そりゃあもう本気度が全然違うし、曲もいいし、リアムもガンガン歌ってるし、流石にちょっとそない繰り返さんでもええやろとか、そないアウトロ引っ張らんでもええやろとか、要するに世間の評判通りの「どんなけ長いねんっ!」てな突っ込みは入れ放題なんだけど、この力入りまくりの巨大なエネルギーに比べたらそんなことは些細なことで、普通に考えりゃこりゃめっちゃかっこええアルバムなのだ。
なんでも1作目から3作目までの曲はデビュー前にほぼ書き上げていたらしく、要するにノエルがそっからこれは1st用、これは2nd用てな具合に配分してたということで、そう考えりゃこのアルバムのやたら大げさでギター被せまくりのサウンドは、ノエルにしてみりゃ想定内ということかもしれない。ただ勢い余ってやり過ぎちゃった感はあったかもしれないが、1stからの異様な上昇カーブを考えたら、こうならざるを得んでしょってことで、この調子に乗り具合もオアシスらしくていいんじゃないだろか。
となると徐々に下降線を辿ってくこの後のアルバムもそれはそれで興味深いんだけど、今はただリアムのやったらんかいボーカルに酔いしれておこう。脂乗りまくりのリアムの声はやたらかっこいいぞ。2016年に出たリマスターのデラックス盤はノエルによるデモ音源(全曲!)が売りのようで、これはこれで完成してるやん、ていう程の出来らしいが、俺はそんなものいらない。リアムの声がなけりゃただのいい曲。
1. D’You Know What I Mean?
2. My Big Mouth
3. Magic Pie
4. Stand By Me
5. I Hope, I Think, I Know
6. The Girl In The Dirty Shirt
7. Fade In-Out
8. Don’t Go Away
9. Be Here Now
10. All Around The World
11. It’s Gettin’ Better (Man!!)
12. All Around The World (Reprise)
#1に#4に#5に#8に#10に#11に、、、
なんだかんだ言って名曲目白押しっ!