Which Bitch?/The View 感想レビュー

洋楽レビュー:

『Which Bitch?』(2009)The View
(フィッチ・ビッチ/ザ・ビュー)

 

ザ・ビューの2nd。キャリアを重ねる毎に音楽性が広がるのはよくあることで、このバンドも例に漏れず引出しが増えていくんだけど、そうはいっても彼らの場合は相変わらずのロックンロールというか、身も蓋もなくジャカジャカすんのが好きだからしょうがないってところに落ち着いてしまうのがいい。しかし結局そういう馬鹿みたいなロックをいつまでも続けてって、飽きもせずちゃんと聴いてもらえるってのが一番難しかったりするわけで、多くのバンドがだんだん音楽性を変えていくのも実はただの初期衝動ではやってられなくなってくるってのが本心だったりもする。そんな中、いつまで経ってもジャジャ~ンってこうすんのが最高だろ?ってギターを鳴らしているのがザ・ビューだ。

この2ndは前作の最後の曲のパート2みたいな小品で始まって、#2『5 レベッカズ』で一気にスピードを上げる。もう滅茶苦茶カッコよくてブレーキかけてもつんのめって止まれない感満載のロック・チューンだ。中盤のブリッジからラス・サビへ向かうギター・ソロといったら、なんのこたあないリフだが、ハンパないカッコよさ。

ただ彼らの場合はやっぱり勢いだけってことではなく、音楽的基礎体力とでも言うような確かなソングライティングがあるわけで、それはストリングスを用いた#6『アンエクスペクテッド』とか、ホーン・セクションが賑やかな#9『ジミーズ・クレイジー・コンスピラシー』を聴いてりゃよく分かる。#10『カヴァーズ』なんて大人しいけど複雑な曲だ。ということで当然のことながら優れたソングライティングとそれをしっかりと支える音楽的なバックボーンがちゃんとあるってのがミソなんだろう。

彼らはこの後もジャカジャカしたロックンロールをやっていくんだけど、年月を重ねるとどうしても洗練されてくるというか余計な凸凹が無くなってくる。それはそれでいいんだけど、このアルバムはそうしたウェル・プロデュースされていない無駄な凸凹がまだまだあって、好きなことをひたすらやってるってところも魅力だ。

他愛のないロックンロールだけど、ガッとした手ごたえがあるから他愛なくなってしまわない、流れてってしまわない力強さがこのバンドにはあって、#10『ダブル・イエロー・ラインズ』なんて特に目新しいところが何もないよくあるポップ・ソングだけど、いちいちちゃんと決まってるんだからしょうがねぇなって感じ。#13『ギヴ・バック・ザ・サン』も長尺だけどホントに良く出来た曲で最後のシャウトなんて最高だ。ついでに言うと、ボーカルのカイル・ファルコナーのスコットランド訛りだかなんだが知らないけど、巻き舌で飛び跳ねちゃってる感も最高だ。

 

1. ティピカル・タイム2
2. 5レベッカズ
3. テンプテーション・ダイス
4. ワン・オフ・プリテンダー
5. ショック・ホラー
6. アンエクスペクテッド
7. グラス・スマッシュ
8. ディスタント・ダブロン
9. ジミーズ・クレイジー・コンスピラシー
10. カヴァーズ
11. ダブル・イエロー・ラインズ
12. リアライゼーション
13. ギヴ・バック・ザ・サン
14. ジェム・オブ・ア・バード

(日本盤ボーナストラック)
15. ダンディール
16. ミスター・メン・ブック
17. フォア・ユー

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