夕暮れ

ポエトリー:

「夕暮れ」

 

夕暮れに眠る存在が
わたしたちの今日を明るくする

それは頬をなでる平たい手
収穫の時の流れる汗
ショーウインドウのドレス

母親の自慢の百日紅がこちらを向いて咲いている
あの日、戯れに腰掛けようとした少年のわたしは
触れることさえできずに
眺めているだけだった

問題があった方に手をかざしても
それはなかったことにはできないし
ただ物質的に日差しを遮るだけ

それでも
分け隔てなく手を伸ばし
凍りついたものは溶けて
緩みきったものは固まる
そんなふうにして
今日も夕飯の支度

知ったり知らなかったりするものが
入れ替わり立ち代わり現れては
夕暮れに眠る存在が
わたしたちの今日を明るくする

 

2025年7月

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