Guts / Olivia Rodrigo 感想レビュー

洋楽レビュー:

『Guts』(2023年)Olivia Rodrigo
(ガッツ/オリヴィア・ロドリゴ)

 

評判がいいのは知っていた。でも二十歳の女の子ですから、聴くこともないかなと思っていたのですが、各媒体による2023年のベスト・アルバムに出てくるわ出てくるわで、日本の『ロッキンオン』誌ではなんと1位。ということで、じゃあちょっと聴いてみるかと。で、ビックリしました。タイトルどおりガッツ溢れる作品で、昔のパラモアを彷彿させるエモいロック・アルバムでした。

基本的に彼女のファン層は多くがティーンエイジャーなのだと思うのですが、評価も高く年配にも好まれているというのは、僕もそうですけど90年代を思わせるオルタナティブ・ロックですね、アラフィフ世代にとっては親しみのあるガッツリとしたロック音楽が基盤にあるからです。若い世代にとっては新鮮なのだろうし、それに彼女が世に出た『Driver’s License』のようないわゆるサッド・ガールな曲もちゃんと入っていますから、単調にはならずちゃんと強弱のついた、年間ベストに選ばれるのも分かる、ポップでありつつ彼女の哲学が詰まったいいアルバムだと思います。

驚くのはソングライティングをダニエル・ニグロって人と二人だけで行っている点。ビリー・アイリッシュの兄妹コンビじゃないですが、彼女自身にもその能力があるっていうことですからどんだけ凄いねんという話です。特にリリックですよね。勿論恋バナがメインになるのですが、同世代だけでなく幅広く支持されるということは、ただ単にそれだけではとどまらない何かがあるということ。

この辺は彼女が愛するテイラー・スウィフトにも通じますが、’私の話’が’皆の話’になってしまう歌詞の奥行、恋バナに収まらない普遍性でしょうね。いい年をした僕でもこの歌詞にはグッときます。パラモアのヘイリー・ウィリアムスやテイラーなどの系譜に連なる、新しい世代を代表する語り手でもあります。

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