Cousin / Wilco 感想レビュー

洋楽レビュー:

『Cousin』(2023年)Wilco

(カズン/ウィルコ)

 

このところウィルコは多作だ。2022年に2枚組の『Cruel Country』があったし、ジェフ・トウィーディーはソロでも活動している。パンデミックがあって戦争があってというところが影響しているのだろうか。だとしたらあまりよいきっかけではないような気はするが、とりあえず沢山聴けるのは嬉しい。でもこのアルバムは少しシリアス。

前作『Cruel Country』はいわゆるオルタナ・カントリーに回帰したようなアルバム。ダブル・アルバムだったので曲数も沢山あったが、バラエティーに富んでいたので退屈することはなかったし、勿論沈みこんだ印象は全くなかった。今回は音を歪ませたりして、久しぶりにこれも本来の持ち味である不思議なサウンドのウィルコに戻っているが、どうも快活というわけにはいかない。外部のプロデューサーを迎えているので、きっと凝り固まったサウンドをほぐしてまた変なこと、新しいことをやりたかったのだろう。このキャリアでそれをするのはとてもカッコいい。

でも正直言って今回のタッグは今一つのような気はする。やっぱり閉塞感を感じてしまうんだなぁ。一言で言うと暗い。これはアルバムの出来不出来ではなくて僕の好みなんだろうけど、なんか重苦しいなと。最終曲の『Meant to Be』でようやく開放感を感じるものの全体の印象としてはやっぱイマイチかな。ウィルコならではのユーモアというか親密感が今回はちょっと薄いかなと。

と言ってもあくまでも僕の印象です、世間の評判はいいみたいだから。とか言いながら、これはCDでも買っているし、僕の2023年のSpotifyのよく聴いたランキングにも入っている。なんだかんだ言いながら聴いていたってことか。

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