夕方はまだ隣の国

ポエトリー:

 

『夕方はまだ隣の国』

 

ぼんのくぼからぷよぷよと入って向こう側へ抜けていった
そのまま飛行機雲のレールに乗って何処かへ消えてしまいそうだった
その日の午後は爪がふやけたり無くなったりして大変だった
夕焼けはまだ隣の国に長居しているように思えた
ざっくりとした長さの夕方は夏に向かって拵えられていてスイカの種はまだ種のままだった

遠くで救急車の色が焼けていた
理科室の実験のように静かだった
明日の朝は爽やかなTシャツが似合うはず
けれどまだ洗濯に出しているはず
白い立方体は白い立方体のまま数字が書き込まれるのを待っている
家では夕食の支度が整えられていて
ざらざらの舌はオゾン層が合成した水溶液の透明な部分だけを吸い取り始めていた

冷たい人形が耳元で囁く
分かっているつもり
明日は来ないつもり
知ってるよ、僕がうっかりしてもまだ夕方だからね

閉じたり開いたりして理科の実験室から君が溢れてくる
僕は思わず手で押さえていた
思い出をたくさん玄関に並べてみても
夕方はまだ隣の国
人が青と言う色の青さがまだ残っていて
空は逆さまのソーダ水のまま、泡を吹いている

 

2018年3月

Tranquility Base Hotel & Casino/Arctic Monkeys 感想レビュー

洋楽レビュー:

『Tranquility Base Hotel & Casino』(2018)Arctic Monkeys
(トランクイリティ・ベース・ホテル・アンド・カジノ/アークティック・モンキーズ)

よい音楽を聴くと語りたくなるというか、それが一筋縄ではいかない音楽であれば尚のこと自分なりの視点、私はこういう風に思うんですっ、てのを語りたくなる。例えて言うと、レディオヘッドなんて正にそんな感じ。このアークティック・モンキーズの新作もそんな語りたくなる作品で、もしグラミーに「語りたくなるアルバム賞」なんてのがあれば、間違いなくノミネートされるのではないでしょうか。

トランクイリティ・ベースというのはアポロ11号の月着陸船が着陸した場所である月面の“静かの海=トランクイリティ・ベース”のことで、このアルバムはその名前を冠した‘ここではない何処か’にある架空のホテルでの群像劇。もうこれだけで語りたくなる度満載ですな(笑)。

タイトルに「カジノ&ホテル」と付いているようにやっぱ只のホテルではないんですね~。ある種、ギャンブル依存症とでもいうような、或いはドラッグを思わせる現実と幻想のはざまを行き来する、正気とジョージ・オーウェルの『1984』(もしくは歌詞に「頭蓋骨に直接パーティーを接続している」とあるように映画『マトリックス』)を思わせるディストピア、かえってその心地よさに足を踏み入れる、いや正気に戻る、そのような不穏な世界へ行き来する様、その境界線上を漂う世界とでもいうようなアルバム、ていうか、もうこうやって書いてるだけでトリップしそうです(笑)。

つまり今回のロック音楽の仕様とはそれこそ宇宙的にかけ離れたゴージャスでサントラめいたサウンド、あちこちでこんなのロックじゃねぇなどと言われたりもしているそうですが(そうですが、って周りに洋楽談義出来る人がいないので、あくまでのネット上での話です…)、これはその設定に則ったサウンドであり、ありうべくして鳴らされたサウンドなのでございます!

このアルバムでのアレックス・ターナーのボーカルは演劇的だ。一部ポエトリー・リーディングを思わせるものもあって、正直とっつきにくいです(笑)。しかも演劇ですから粘っこいです。吉本新喜劇でいうところの末成由美並みの粘っこさでございます。ただまあこれが逆に言うと異様にメロディが立っているとも言える訳で、非常にメロウ!人体と同期したようなメロディとでもいうか、恐らくそう感じるのはそれが言葉、或いはフレーズ、或いは物語自体に元々備わったメロディだからということで、つまりは言葉に内包されたメロディを引き出してゆく、素直に身を委ねていくことが、今回のギターではなくピアノのみで行われたアレックスのソングライティングだったのではないでしょうか。これはもう作曲とは言わないかも。ある意味ボブ・ディラン的といいますか、完全に言葉に憑依してますね(←言葉とメロディが同期しているという意味で)。

それに対してバンドはどうしていくか?バンドもまた、素直にアレックスの紡いだ物語の進行に沿ってそれに見合う音を当てていく。もう派手なリフで曲全体をリードしていく必要は無くって、それこそ演劇の第1幕、第2幕とでもいうように物語に光と影を当てる。このアルバムのサントラめいた余韻は恐らくそういうことではないかなと。

しかしそれは単に曲に柔順という意味ではなく、時に荒々しく、時にはみ出そうとする演奏はバンド・メンバーそれぞれが独立した詩人であり、それぞれがそれぞれの思うところを朗読しているからこそ。音の壁(=ウォール・オブ・サウンド)。言ってみれば、スペース・ポエトリー・カフェ。ここにあるのは紛れてしまわない自立したサウンドなのです。ボーカルは物語り、バンドも物語る。もうそこに境界線はないのです!

架空のホテルで繰り広げられる群像劇は最後の11幕、『The Ultracheese』で‘いつもの場所’に戻る。そこは古きよきアメリカ。しかし命のともしびはもう残りわずかだ。主人公は壁にかかった友人の写真を見上げる。しかしそこに映っているのは果たして友人の姿なのか或いは…。ひぇ~、これ完全にSFや~ん。

アレックス・ターナーはかつて「ロックンロールは死なない」と発言した。2018年にもなって、ロックンロール音楽を前に押しやろうとするバンドがいる。こんなに嬉しいことはない。レディオヘッドがそうであったように、この訳の分からない音楽は圧倒的にスケールがデカく、圧倒的に正しい!!

 

1. Star Treatment
2. One Point Perspective
3. American Sports
4. Tranquility Base Hotel & Casino
5. Golden Trunks
6. Four Out Of Five
7. The World’s First Ever Monster Truck Front Flip
8. Science Fiction
9. She Looks Like Fun
10.Batphone
11.The Ultracheese

彼女は最低

ポエトリー:

 

『彼女は最低』

 

ひどい女が

オレの残り福を巻き上げる

ひどい女

がオレのまごころを消費する

彼女はいつも一足跳びで

オレの返事も待ちやしない

切符を買うのも待ちやしない

例えば

あらすじなんかはすっ飛ばして

エンドロール

すら聞かないで席を立つ

例えば

丁寧にしつらえた物語

ひとつ、ふたつ、みっつ

強引に読み解く

インド、日本、サンパウロ

辺りをうろつく視線に合わせ

1ページ、2ページ、3ページ

破って読んだでハイお終い

オレは知らない駅で待ちぼうけ

それは正しいか

か来た道戻るか

映写機の音はカタカタとして遥かな記憶を辿る

旅、共に回転し

道端の石コロにも目星付けたところ

彼女はいつも勝利する

薄い羽で舞い

象の鼻で笑い

ヒョウのように快速

オレはダビデなまま

歪なポーズで突っ立っている

ぶっ壊したい

彼女は最低

早く自由になりたい

 

2017年11月

『The Covers』 NHK BSプレミアム 2018.5.22 放送(ゲスト:エレファントカシマシ) 感想

TV Program:

『The Covers』 NHK BSプレミアム 2018.5.22 放送(ゲスト:エレファントカシマシ) 感想

 

NHK BSプレミアムにて月1回放送されているこの番組。番組H.Pを見ると2018年4月からリニューアルされたようで、MCの一人も仲里依紗から池田エライザへバトンタッチされております。どうでもいいですけどエライザさん、またえらい色気ですなぁ…。仲里依紗さんも夜な感じが出ていましたが、更にラウンジ感強まったような(笑)。リリー・フランキー、ナイスです。

さて、今回のゲストはエレファント・カシマシ。エレカシは僕が大学生の時にブレイクしたバンドで、何度かカラオケで歌った記憶がある。しかしこれが難しいのなんの。宮本浩次の声は男っぽい太い声をしているから、気軽に歌えると思ったら大間違いっ。実はキーがかなり高いのです!

てことで、エラカシが選んだ最初のカバー曲は山口百恵さんの「さよならの向う側」(1980年)。これを宮本さんは原曲のキーのまま歌います。そーなんです。僕が大学の頃のキーの高い男性ボーカリストといえばスピッツの草野マサムネ氏なんですが、実は宮本さんも負けず劣らず高いのです。てことで、どちらも間違いなくカラオケで玉砕します(笑)。

ともあれ、エレカシはカバーをする時は原曲のキーのまま歌うというのを大事にしているらしく、それは原曲の魅力を損ないたくないからということなんですが、そうは言ってもそんな芸当、なかなか出来るもんじゃあございません。しかも全然聴き苦しくないんですから、大したもんです。そういやマサムネ氏も女性ボーカル曲を原曲キーのままで歌うらしいですから、いや~、二人とも流石でんな~。

しかしこの曲はいいです。宮本さんも当時の日本歌謡曲のレベルは凄い凄いと連発していましたが(笑)、確かに凄い!まず言葉。平易な言葉しか使用していないのに凄く奥行きがあるというか、聴き手にもたらす情感の幅が限りなく広いのです。でもってメロディもそれ自体に起承転結があって、だからアレンジで殊更ドラマチックに盛り上げなくても自然な情感が立ちあがってくるのです。宮本さんも言ってましたが、やっぱ視点が俯瞰なんですね~。入れ込み過ぎないというか、これを山口百恵さんがしっとり歌うわけですから、そうそうここも思い入れたっぷり歌い上げるのではなくて、誰かの物語として歌ってるんですね。だからこそ聴き手に伝わる情感が増幅される訳です。やっぱ俯瞰ですよ皆さん。いや~、勉強になりますな~。百恵さんも宇崎竜童さん(作曲)も阿木燿子さん(作詞)もスゴイッ!

2曲目はサザン・オール・スターズの「いとしのエリー」(1979年)。これを歌う宮本さんも良かったです。ですがこれはもう桑田圭祐のあの歌唱がやっぱありまして、やっぱあれはあれなんですねぇ(笑)。まぁどういうことかと言うと、「いとしのエリー」のメロディにはあの歌い方というか独特のリズム感が内包されてあって、それはもう真似できないわけです。以前この番組でRCサクセションのカバーがあった時も出演者が一様に苦労していましたが、あれと一緒ですね(笑)。RCのメロディにも清志郎のリズムが内包されている訳です。

でまぁそれはエレカシ=宮本浩次も一緒なわけで、番組では逆に若いミュージシャンがエレカシの曲をカバーするコーナーもあったりするわけですが、これもそういう訳で、いーんですけどね、なかなかそれっぽく歌えないというか、そういう意味では宮本さんが歌う「さよならの向う側」は良かったですねぇ。僕が百恵さんのことをよく知らないというのもあると思うんですが、なんかエレカシの元々の歌にあったような気さえするとってもいい演奏でした。

去年はエレカシの30周年だったそうで、31年目の新しい曲「Easy Go」も披露されました。これがまたお見事でした。31年目にして荒々しいというか、宮本さんはシンガーというよりやっぱシャウタ―ってイメージなんですが、この曲でも歌うというよりもうやたらめったら叫んでいて、それが彼らの今の意思表示というか、まだまだやってくぜっていう、その現役感が最高でした。

それにしても宮本さんのフロントマンとしての存在感は抜群ですね。あーいうパフォーマンスが出来るロック・ミュージシャンってのはもうあんまりいないですもんねぇ。でやっぱり声が抜群にデカい。失礼ながらもう結構な年齢だと思うのですが、経時変化していかないってのは驚きです。あれだけ叫んで喉を酷使していながらですから、これは実はかなり凄いことだと思います!

それに改めて、ソングライターとしても素晴らしい。いい事を歌おうっていうのではなくて正直な言葉というか、それも奇を衒った言葉使いではないし、それにメロディはふくよかで情緒がある。だからこの番組で若い世代がエレカシをカバーしたようにより幅広い世代へ伝わるんですね。「さよならの向う側」がエレカシの歌みたいに感じたのもきっとそういう日本の歌謡曲の良い部分をエレカシも持っているからなんだと思います。未だに若い層から支持されている理由はそういうことなんじゃないでしょうか。僕は彼らのことをあんまりよく分かっていなかったですが、この番組で何だかそれが分かるような気がしました。この番組を観て良かったです。凄いぞ、エレカシ!

So Long, See You Tomorrow/Bombay Bicycle Club 感想レビュー

洋楽レビュー:

『So Long, See You Tomorrow』(2014)Bombay Bicycle Club
(ソー・ロング・シー・ユー・トゥモロゥ/ボンベイ・バイシクル・クラブ)

 

英国出身の4人組。デビュー・アルバムから少しずつチャートを上げ、このアルバムではついに全英№1を獲得したそうだ。繊細なアレンジやその風貌と相まって、イメージとしちゃ文系ロック・バンドといった感じかな。

本作に取り掛かる前に、メイン・ソングライターであるジャック・ステッドマンは海外を旅したそうで、本作にはそのことが色濃く影響しているとのこと。日本やトルコにも訪れたらしく、オリエンタルな要素もちらほら。バンド名からして「ボンベイ~」っていうくらいだし、オリエンタルと言っても中国とか香港ではなく東南アジアやインド、トルコといったイメージ。アルバムのアート・ワークも東洋的だ。但し東洋趣味にありがちな変な神秘主義はないし、メロディ主体のさわやかな英国ロック。流れるようなメロディは大河を漂うようで、聴いている方も一緒に旅をしているような気分になる。そんな移動を感じさせるアルバムだ。

このバンドを特徴づけているのが女性ボーカル。ゲスト扱いのようだけど、いつも参加しているようなので準メンバーといったところかな。#6『ルナ』なんて、彼女なしでは成立しえない楽曲だ。ただでさえ流麗なメロディが際立ち、一段も二段も表現の幅が広がっている。ジャックとの相性も抜群だ。バンドの演奏も的確だし、飛び抜けた何かでアピールするというのではなく、コーラスも含めたあくまでもアンサンブル主体。なるべく目立たないように歌うボーカリストらしからぬジャック・ステッドマンも含めたバンド全体のムードが心地よい。

楽曲自体の魅力もいいのだけど、そこにメロウなフレーズのリフレインが被さって更なる相乗効果。ちょっと切ない胸キュンフレーズが抜群である。それでいてハードな部分もポップな部分も過剰にならないし情緒にも流れてしまわないまま、オリエンタルなフレーズと共に全体のバランスとして飛び込んでくる。好感度の高いアルバムだ。

アルバム・ジャケットは人が一人で歩き続ける姿を輪廻をモチーフに描かれている。そしてカバーを開けると、CDの盤面に同じイラストが。しかしそこに描かれているのは二人のシルエットだ。人は一人だという認識と、それでも人は誰かと共にいるという理解。そのことをほのかなイメージに乗せて歌う彼らのスタイルはとてもリアルなものだ。

派手さはないけど、真っ直ぐで地に足の着いたアルバム。あまり知られてはいないけど多くの人に是非聴いてもらいたい。そんなアルバムだ。

 

1. Overdone
2. It’s Alright Now
3. Carry Me
4. Home By Now
5. Whenever, Wherever
6. Luna
7. Eyes Off You
8. Feel
9. Come To
10. So Long, See You Tomorrow

アークティック・モンキーズの『トランクイリティ・ベース・ホテル・アンド・カジノ』が素晴らしい

その他雑感:

アークティック・モンキーズの新作、『トランクイリティ・ベース・ホテル・アンド・カジノ』が素晴らしい。最初聴いた時はこりゃまた厄介なのが来たぞ、しょーがねぇなという感じだったんだけど、何回か聴いてるとこれは凄い作品だなと。もうしばらく聴いてからちゃんとレビューを書くつもりですが、とりあえず今の感想を。

この作品、あまりにも一般的なロックンロールのフォーマットから離れているから賛否両論のようだけど、理屈は抜きにしてカッコいいんだからそれで済ませてしまえばいいんじゃないだろうか。

ヴィンテージSFというか古いんだか新しいんだか分からないサウンドと、これまた近未来小説か歴史小説かとでも言うような相反する要素を詰め込んだブッ飛んだ歌詞。これがとんでもなく素晴らしい。

この訳の分からなさを正しいと思わせる説得力はどこから来ているのか。こういう訳の分からないラジカルな音楽が王道を行くロック・バンドから出て来たのが嬉しい。

サマソニに来る Pale Waves がよい

サマーソニック:

サマソニに来る Pale Waves がよい

 

ちょっと気が早いが、サマソニで来る知らないバンドに目を通しとこうかな~ってことで色々聴いていたら、スゴイのにぶち当たった。UKの新人バンド、Pale Waves(ペイル・ウェイブス) である。最初に聴いたのが『Television Romance』って曲でこれがスゴイのなんのって。何がスゴイかってまんまThe1975や~ん。てことで最初聴いた時は思わず笑ってしまいました(笑)。

ただ何回も聴いてるとこれが良くって、この曲はズバリThe1975がプロデュースしてるってことだからそういう雰囲気にはなってるけど、この曲自体が魅力的なフックがあってホント良く出来ているのだ。他にも色々『The Tide』とか『Heavenly』とかどれもThe1975のお株を奪うキャッチーさ。誰が書いてんのか分からんけど、このメロディは癖になるぞ。ゴス系メイクの女の子の透明感ある声もポイントやね。まだEP盤しかリリースしてないみたいで、しかもLP!だそうです。

Pale Waves が来るのがノエルの日、大阪で言うと2日目だ。ちょっと行けるかどうか怪しくなってきたけど、恐らくマウンテン・ステージの初っ端、Pale Waves とこちらはガレージなDream Wife(ドリーム・ワイフ)と続くUK新人バンドは見ものだ!

前途ある若者の未来を奪っちゃいけない

その他雑感:

 

悪質タックル問題で、当事者の大学生が記者会見を開いた。なんで学生が一人で会見しなくちゃならないんだ、大学は、周りの大人は何をやってるんだ、ということに尽きるんだけど、この学生が思いの他ちゃんとしていて驚いたのは僕だけじゃあるまい。逆に言うと、これだけ精神的に落ち着いた聡明な学生が、あんな酷いことをしてしまったという事実が恐ろしい。人はいとも簡単に洗脳されてしまうのだ。

事実は消えないが、立派な会見だったと思う。事件を起こしてからこの日まで、彼がどういう日々を過ごしてきたのか。推して量るべきかなである。

アメフトに人生を賭けた青年に、「二度とアメフトをやることはない」、「その資格はない」と言わせてしまったのだ。オリンピックで沢山メダルを獲ることよりも、今しなくてはならないことは。答えは出ていると思う。

彼にはいばらの道が待ち受けているだろう。日大アメフト部だってどうなるか分からない。そこにいる部員の多くがアメフトをするために日大へ入り、アメフトに人生を賭けた青年達だとすると、勿論、彼らもつらいだろうが、その矛先は件の青年に向かうこともあるだろう。人生は長い。もう二度と彼や他の部員や被害に遭った関学生の未来を奪っちゃいけない。今度こそ、彼らを導いてあげられる大人や友人たちが周りにいてくれることを願ってやまない。

鳥谷選手、連続試合出場の件

野球のこと:

鳥谷選手、連続試合出場の件

 

僕は父の影響で子供の頃からタイガース・ファン。子供の頃はタイガースの成績に一喜一憂していたけど、ある程度年を重ねてからはあまり入れ込むことは無くなってきた。多分大人になって、批評的なものの見方が出来るようになってきたからだと思うんだけど、そういう意味でもチームそのものより、選手個人を応援する気持ちの方が年々強くなっているような気はする。藤浪ガンバレ!とか上本ガンバレ!とか(笑)。そういや2003年の優勝も2005年の優勝もそんなにしゃかりきになって見てないもんな~。ま、好きは好きなんだけどね。

てことで鳥谷の連続試合出場記録。あれはやっぱよくないよなぁ。鳥谷はこの10年以上、タイガースの主力として活躍し、去年は2000本安打も打っている。彼の魅力は何と言ってもしぶとい打撃。確かにタイトル争いに絡むような打率は残さないけど、相手投手に球数を投げさせ四球を奪い取っていくというスタイルは、メジャー・リーグでは大きく評価される能力。あちらではいくら打っても四球が少なく出塁率の低いバッターは例えホームランキングに輝いても評価されないのだ。てことで強打者でもないのにいつも最多四球を争う鳥谷は非常にチーム貢献度の高い選手なのだ(ちなみに現役選手の通算出塁率は内川や阿部といった強打者を抑えてなんと鳥谷が第1位!)。

その鳥谷があえいでいる。セカンドへのコンバートや半レギュラーのような扱いに苦労した影響もあるかもしれないが、ここまで打率は1割台。それでも連続試合出場を続けるために、9回の守備だけ、或いは試合の趨勢が決まった後の代打として毎試合出場している。これは時折顔を出す日本のプロ野球の内向きでネガティブな部分だと思う。

長年、鳥谷を応援してきた身として、彼の価値を貶めるような起用法は止めて欲しい。鳥谷はまだやれる。ことに貧打にあえぐタイガースでは貴重な戦力だ。一度休養をして、連続試合出場などという余計な足枷は解いて、心身ともにリフレッシュした状態で再びグラウンドに戻って来て欲しい。それが子供の頃からタイガース・ファンの僕の願いです。