ポエトリー:
『予感』
昨夜用意していた服は朝になって気が変わった
時間もないのにクローゼットから出てこれない
朝のバスの時間、しっかり守ってほしい
雨の予感、五月、クレマチスの匂い
あの人が呉れた芥子粒ほどの期待を掌に載せて
生ぬるい息を吹きかければ一閃
飛び跳ねて草叢に消えていった生き物
あの人のもとへ抜け駆けする気ね
バスを降りて駅へ向かう広い歩道橋
耳元で歌うアル・グリーンと
優しいオルガンと新しい駅舎を背景に
しとしと歩く人々と私
あんなに晴れていたのに今はもう雨
アスファルトが濡れているよ
2016年5月