Born to the end

ポエトリー:

「Born to the end」

 

Born to the end and reality
Born to the end and not guilty
Born to the end and toddle about
Born to the end and walk around

Born alone and it was nice to be friends with you
Born alone and I wish I was with you
Born alone and I should have prayed to star
Since I was born , become a person like no other

 

最後まで生まれて / 現実
最後まで生まれて / 無実
最後まで生まれて / よちよち歩く
最後まで生まれて / あちこち歩く

ひとりで生まれて / 君と友達でよかった
ひとりで生まれて / あなたといればよかった
ひとりで生まれて / 星に祈ればよかった
生まれたときから / 誰にも似ていない人になる

 

2022年8月

優しさ

ポエトリー:
 
「優しさ」
 
 
どしゃ降りの中
立ち直ろうとする君に
雨傘は頼りなく
今度ばかりは
足の先までびっしょりです 
 
それでも思いの外
体は軽く
今なら離れた駅まで
走ってゆけそうですが 
 
その前に
つまらぬ風邪など引かぬよう
濡れた体を温める
タオルを一枚くださいな 
 
今なら
とびきり元気なあの人に似た
頼りがない優しさを
受け入れられそうです
 
 
2022年10月

星座

ポエトリー:
 
「星座」
 
 
冬の寒さにも
開けっ広げなあなたの魂
新しい星座のようなあなたの問いが
今宵の空に浮かんでいます 
 
窓ガラスは濡れていて
さしたる望みもないままに
したたる夜露が
今日の終わりを告げている 
 
明日になればひと巡り
朝日が昇ると言うけれど
巡らぬ日々もあるのです 
 
証拠にご覧、今宵の夜空
あなたの星座は居座って
いまにも名前が付きそうです
 
 
 
2022年10月

秋の気配

ポエトリー:
 
秋の気配」
 
 
 
好き勝手に物を言うあなたの言葉が
じゃがいも掘りのようにズケズケと現れては
そういやあれはなんだったっけと
言葉の夏が遠ざかる 
 
昨日食べた夕飯の
苦味や嫉み
洗いざらいお皿に並べて
ひとつひとつを吟味してみれば
それらはかつて済ませた言葉
あなたにもほら、聞き覚えあるでしょ 
 
あの時は確か
思い思いに言葉つらなり
テーブルの端からまっ逆さま
落ちた先で拾いもせず
 
心配しないで
なんて言わばハノウイタセリフ
分解して、
どうせのことなら5か国語ぐらいに刻んで
その余剰は箱にしまえば 
 
片付ける準備はできたんですよね
窓の外からそんな声が聞こえてきて
とにかくもう秋の気配
僕は財布の中がすっかり空っぽになったこと
今ごろになってようやく気付いた
 
 
2022年11月

バター

ポエトリー:

「バター」

まっすぐに溶けだしているバターは
指のすきまを流れ右関節へ
いつかのわたしを呼びおこす

よりよく動くのか
すさまじく伸びちぢみする現代で
身体はそれに呼応する
わたしの意志のあるやなしや

いま言えること
子どものときの
車に乗り降りするときのあの気持ち
ちゃんと心のなかで整理して
忘れていない

お行儀よくおすわりして見事だね
そんなこと言われても
あれはホント、
ただおすわりしていただけなのです。

朝食の溶けだしたバターが白いお皿におちていく
うまく身体になじむまで
もうあと幾らかのときを待ち
いつかのわたしよ、
いいから早くもどっておいで

 

2022年10月

優しさがない

ポエトリー:

「優しさがない」

ないの優しさが
 と虚しさが頬をつたう
  それはいつのことだっけ

幾らで買ったのか
 問いかけることもせず
  とるに足らない言い訳

ただ足元を見ると
 捨てた言葉が掃くほど溢れ
  今はまた別の方角から風に吹かれ

無い物ねだりと知りながら
 白身の粘り気が苦手で
  ちゃんと火を通さないと駄目だった

喉を通るものだけを食べなさい
 昔の母みなそう言ったが
  今は涙が止まらないんです

休日

ポエトリー:

「休日」

am7:30
 あどけない朝の態度がとても優しい
 心の隙間に潜んでいるものたちの声が聞こえます
 その言葉のひとつやふたつ
 耳たぶに貼り付けて今日は過ごしましょう
 それで困るくらいなら
 今日はおそらく駄目でしょう
 朝から真夏日でクラクラになります
 暑い日のお化粧は体に堪えます

am8:30
 午後からのキャンセル
 致し方ない?それとも人格との戦い?
 もともと気にしてないって言ってあげるわたしは天才
 でも十日も雨が降らないと食べ物が心配
 今はただひたすらあなたを患っていて
 そうだとしても食べ物は心配
 別腹ですから

  am10:00
   いつかの
   耐えきれなかった時間がまた現れる
   今度も
   自分が嫌になるなら黙っているのがよいでしょう
   今度会うときは花束を添えてあなたに届けようと思う
   困らない勇気、あなたはまぁまぁあると思う
 
 am11:30
   今日はいい感じで午後を迎えられそうです
   でも心臓破りの坂は体に悪いから今日はやめておきます
   今は簡単に蛇口をひねって喉を潤すぐらいの気持ち
   いろいろありますが、
   それぐらいの元気はあるようです

ではまた

ポエトリー:

「ではまた」

 

わたしたちの
額に流れる汗
いつもより濃い目のコーヒー

通りに面したカフェで
わたしたちは互いの困難や苛立ちを語り合い
時には大げさに笑いあった

これまでの暮らしがわたしたちに与えたものは
初めから無かったものを無理やりぶら下げるようにして
雨傘や
時には進軍ラッパをかき鳴らし
人々がこうと決めた目的地まで
一目散、声を競ったんだ

見返りに求めたものは何だったのか
見知らぬまま胸ポケットの裏返し
朝昼晩、過不足ない食事を摂り
時折無駄をした痕跡
体のあちこちに歪む意思

もう二度と
交わることはないと知りながら
今日は昨日のこと
明日は今日のこと

わたしたちの
額に流れる汗
いつもより濃い目のコーヒー

無事に過ごせばいいじゃん
通りに面したカフェで
わたしたちは今日も
大げさに笑いあった

 

2022年8月

肌色からベージュへ

ポエトリー:

「肌色からベージュへ」

肌色からベージュへ
わたしたちはひとつの物語に仕舞われることを拒否した

 炎は木からしか生まれない
 その喋り方だと絶えず歯形が付くよ

いつかは思い浮かべる
まぶたの上

わたしたちは選択した
そして時折互いの名前を呼んだ
思い巡らせた後の幾つかで
わたしたちは合致した

人は死んだあと
どれだけそこにいるのか
今はもういないのか
夜明けまでにもいないのか

肌色からベージュへ
まだ誰も起きていない朝の
一番鳥は泣く

 

2022年4月

待つのです

ポエトリー:

「待つのです」

苦しみが
どこにも寄りかかれず足元おぼろ
暗闇の中
あちらこちらへふらついています

今夜ばかりは
春夏物が溢れかえ
しばし心は行方知れず
早くも気持ちが萎えそうです

それでは季節は跨げぬと
こんな夜中に表に出ては
心と体を夜風にさらし
僅かばかりの頭の整理

僕らの知ってる心の声は
もう少し力があればと願うから
つとめて明るい風をよそおいながら
明日の日の出を待つのです

 

2022年6月