百獣の王

ポエトリー:

『百獣の王』

 

お前の洞窟は

風邪をひいたライオン

髪の毛はクシャミをして

逆立っている

オレは今

怠惰という感情を

お前のそのなだらかな曲線に向けて

ゆっくりと

充てがう

 

百から一を取り出して

ちぎっては投げ

投げては一定の間隔で

十分に休みを取り

十二分に睡眠を摂り

暗いうちから働き出した農夫のように

麦わらを傾げながら

リンドウの実をひとちぎり

お前の白いシーツに押し付けて

満足している

 

さぁ今日もいい天気だなどと

新しい文字を見つけ

さも誇らしげに

人に話したくってしょうがない気持ちになる朝

いつだってこの感じ

やめられない

 

 

リヤカーを引いたお前の背中みたいな

ガタイのいい四角を

三角の肩でかしぐのには

無理がある

無理があるけれども

言ってみても始まらない生活の咎を

全部台無しにしてしまえるだけの

重量が何処にあるのですか?

 

土踏まずの辺りにうっすら

炙り出す塊

重くなって

ボロボロと崩れていく

 

オレが百から一を取って投げつけた怠惰の葉一枚が

日照りの隙間にハラハラと

身を落ち着かせる

慰めて雨がところどころ

心が沁み渡り

タテガミはクシャクシャでホコリにまみれたまま

王は口を開けて待っている

 

2017年10月