After Laughter/Paramore 感想レビュー

洋楽レビュー:
 
『After Laughter』 (2017)  Paramore
(アフター・ラフター/パラモア)
 
 
パラモア、4年ぶり、5枚目のアルバム。前作が全米1位になって、シングルがグラミー獲ってってことで順風満帆かと思いきや、なんか大変なことが起きてたみたい。なんと金銭が絡むメンバーの脱退劇があったようで、ボーカルでソングライターのヘイリーさん、かつてないほど落ち込んだご様子。歌詞を読んでると、ネガティブな言葉が出てくる出てくる。PV観てても渋いエモ姉さんだったのが、メンバー揃ってパステルカラーの衣装着ちゃってるし、もうヤケクソかえ?なによりなんじゃこのサウンドは、全然エモくないやん!
 
とうことで驚くことなかれ、今回はシンセ・ポップ感満載です。いや~ん、やめてぇ~!全然エモくな~い、ドラムがドゥルンドゥルン言ってな~い、とお嘆きのあなた。確かにパラモアの魅力はエモ・パンクと称されるハードでタイトな演奏にヘイリーの大谷翔平ばりの剛速球ボーカル。それがテイラー・スウィフトみたいなシンセ・ポップになっちゃってるんだからがっくりするのもそりゃあ分かりますよ。私だって最初はそおだったんですから。しかし心配することなかれ。何度もよ~く聴いてると、なかなかいいじゃないですか。勝気なヘイリー姉さんのエモい歌詞とフレンドリーなメロディ、パラモアの真骨頂は結局そこなんです!
 
先ず1曲目、タイトルからして『ハード・タイムス』ですから、こりゃ今回の自己紹介みたいなもんですな。しかしヘイリーさん、ハード・タイムスだからと言ってへこたれません。早速2曲目『ローズ・カラード・ボーイ』で出てきますねぇ、エモい歌詞が。
 
  ~ 私は笑いたくない時には笑わない ~
 
これですよあーた。戦う女はそうこなくっちゃ。ちなみにRose-Colored Boyってのは楽天的な男って意味らしいです。こっちが落ち込んでる時にあんたみたいな楽天家には付き合ってらんねぇってことなんですが、それでもちょっとうらやましいなんて気持ちも垣間見えたりして。付け加えて言うとヘイリーさん、それでも頑張りますなんていたいけな言葉は吐きません。落ち込む時は徹底的に落ち込む。だから笑いたくない時は笑わねぇ。そんな感じですかね。バカ姉さんです(笑)
 
3曲目『トールド・ユー・ソー』のフックはこれ。
 
  ~ 「だから言ったのに」って言いたくない。だけどみんな「だから言ったのに」って言いたがる ~
 
これですよ、これ。これが畳み掛けるドラムと印象的なギター・リフに乗って何度も叩き込まれるんだからシビレルぜっ。ちなみに原文は、『I hate to say I told you so / They love to say they told me』。I hate ってのがいいね。こらあ名言やわ。あー、オレもオカンに「あんた、だから言うたやん」ってよう言われたなぁ。ちょっと違うか…。
 
続く4曲目は『フォーギヴネス』。最後のコーラス、『許すことと忘れることは違う』ってのはいいフレーズやね。男はドキッとしちゃいます。5曲目は『フェイク・ハッピー』。結局みんな作り物の幸せを楽しんでいるだけでしょ、っていうどんだけダウナーな曲やねん!って感じですが、ここでヘイリーさんは宣言します。
 
  ~ 私は自分の口より大きく口紅を引く ~
 
どうです、これ?私は男だからよく分かりませんが、それでもなんかよく分かるような気がします。ちょっと私、このフレーズにグッときちゃいましたね。でこの曲、中盤に パラッ、パラッ、パッ、パッっていうコーラスが入るんですが、これが起承転結の転に当たる感じでまたいいんです。
 
続いて6曲目。これもちょっと切ないです。『夢を持ってるならしっかりグリップして / 誰かに持ってかれちゃダメ / 夢見ることは自由だけど、失うものがどれだけあるか私には分からなかった』。フックでそんなようなことが歌われます。26才の女子がそんなこと歌うんですね。切ないです。でもとても美しい曲です。
 
さあここで来ますよ、極上のポップ・チューンが。パラモアの魅力は色々あるんですが、最大のものはやっぱキャッチーなメロディ。そういう意味では7曲目の『プール』がこのアルバム随一ではないでしょうか。サビの背後で鳴るリフがまた水中にいるみたいでいい感じ。歌詞はこんな感じです。『私は今、水の中 / 肺には空気が無い / けれどしっかり目を開いている / 私はあきらめている / あなたはつかまえることのできない波 / けど私は生きてる限り何度でも飛び込むわ』。
 
次いで8曲目『グラッジズ』。皆さん、お待たせしました、ドラムがドゥルンドゥルン言ってますよ!ここに来てこれまでのパラモアを彷彿させるタイトでパンクな曲だ。サビでは、『we just pick up, pick up and start again / ‘Cause we can’t keep holding on to grudges』とリリックが跳ねてます。サビ前に一旦ブレイクして、フッー!と合いの手が入るところがまた最高!個人的にはこの6~8曲目辺りがこのアルバムのハイライトかな。
 
そして真ん中で絡めとられたと歌う9曲目と変則的なメロディの10曲目と続き、11曲目はゲスト・ボーカルによるリーディング。ここは正直かったるいかな。そしてラストにグッとくるいい曲で終わります。『テル・ミー・ハウ』。息も絶え絶え、『あなたをどう感じたらいいの?』ってここでも切ないです。最後に前向きになるってのはお決まりかもしれませんが、そういう事もなく混沌としたままアウトロのリーディングへ。切ないトラックに消え入りそうな声で『私は霧の中で踊っている』と囁くリーディング。ヘイリーさん、最後まで落ち込みっぱなし。ホント、正直な方です。
 
ただまあこんだけ暗い歌詞にもかかわらず、うっとおしくならないのは僕が英語を解さないからというわけでもなさそうで、やっぱそこはヘイリーの声の力強さ、彼女も含めたバンド全体にポジティブな意思の力があるからではないかなと。この最初は面食らうカラフルなサウンドでさえ彼らのへこたれない意志表示だとすれば、それはハナから否定できるものではなく、かえって彼らの真骨頂、前へグイグイ突き進む持ち前のエモーショナルなロック魂ではないでしょうか。
 
とにかく、サウンドに色んな変遷があるにせよ、彼らには力強いメロディと聴き手に最短距離で届くヘイリーの声があればそれでいい。確かに今までとは毛色が違うけど、今回のアルバムもいいですぜダンナ。エモくない、って聞かないのは勿体ないっ!
 
 
 
 1. Hard Times
  2. Rose-Colored Boy
  3. Told You So
  4. Forgiveness
  5. Fake Happy
☆6. 26
★7. Pool
☆8. Grudges
  9. Caught In The Middle
 10. Idle Worship
 11. No Friend

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