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Big Red Machine/Big Red Machine 感想レビュー
洋楽レビュー:
『Big Red Machine』(2018)Big Red Machine
(ビッグ・レッド・マシーン/ビッグ・レッド・マシーン)
ビッグ・レッド・マシーンとはボン・イヴェールことジャスティン・ヴァーノンとザ・ナショナルのアーロン・デスナーによるコラボ・プロジェクト。ボーカルがジャスティン・ヴァーノンなので、聴けば、あぁボン・イヴェールだということで、僕はあの静謐な狂気とでも言うような世界が好きなので迷わず購入した。ザ・ナショナルのことはアーロン・デスナーのことも含めて知らない。
ソングライティングは共同で行っているようだが、恐らく歌詞はジャスティン・ヴァーノン。ていうかあんなヘンテコな歌詞は彼にしか書けないだろう。サウンド的にもほぼボン・イヴェールの延長線上にあると考えていい。その点、僕はザ・ナショナルのことは知らないので詳しくは聴き分けられない。でも1曲目の電子音にはちょっと身構えた。『KID A』やんって(笑)。
でもそれは最初だけ。参加ミュージシャンは50名!ほどいるらしいからいろんな音が聴こえてくる。ストリングスもあるからそれぐらいの人数にはなるのかもしれないが、それにしても多い!っていうかボン・イヴェールもそうだなと思いつつ、このいろんな音がチクチクと聴こえてくるのはやっぱ病みつきになる。体の中の手薄なところをいちいち突いてくる感じが心地よいのは僕もヘンテコなのか。
ボン・イヴェールの時もそうだけど、沢山のミュージシャンがいて、沢山の音が奏でられて、その上コンピュータ音もあって、にもかかわらず賑やかな感じがしないというのは不思議。つまりはお行儀がいいということか。けれど全体として飛び込んでくる印象は狂気。イメージも都会の喧騒と言うより、緑豊かな、或いは湖があってっていう景色が広がるんだけど、そこからはみ出るような、いや、はみ出さずにはいられないという狂気がある。それでもやっぱり行儀の良さを感じてしまうのは、周りに迷惑を掛けたくないというごく普通の感情と他者へのいたわり。しかしそのちゃんとした人の狂気は、我々が持っているごく普通の狂気とも言える。だからこそ我々の体の中の無防備なところをチクチクと突いてくるが心地よいのだ。つまり僕たちは人である以上ヘンテコなのだ。という僕たちのごく当たり前の狂気をごく当たり前に表したアルバム。
それにしてもなんでビッグ・レッド・マシンて名だ?シンシナティ・レッズとは関係あるのだろうか?
Track List:
1. Deep Green
2. Gratitude
3. Lyla
4. Air Stryp
5. Hymnostic
6. Forest Green
7. Omdb
8. People Lullaby
9. I Won’t Run From It
10. Melt