ポエトリー:
「ないじゃない」
枕と並んで そこに眠るのは何
朝起きたら いなくなってるなんて
そんなの ずるいじゃない
数多くの謎を ひとつ捨て ふたつ捨て
軽くなった腰に手を当てて
ひとつ浮かんで ふたつ浮かんだものを
退屈しのぎに 枕と並んだ わけじゃない
それなのに 朝起きたら いなくなってるなんて
そんなの ずるいじゃない
あなたを 気まぐれに 選んだわけ
ないじゃない
2020年12月
ポエトリー:
「ないじゃない」
枕と並んで そこに眠るのは何
朝起きたら いなくなってるなんて
そんなの ずるいじゃない
数多くの謎を ひとつ捨て ふたつ捨て
軽くなった腰に手を当てて
ひとつ浮かんで ふたつ浮かんだものを
退屈しのぎに 枕と並んだ わけじゃない
それなのに 朝起きたら いなくなってるなんて
そんなの ずるいじゃない
あなたを 気まぐれに 選んだわけ
ないじゃない
2020年12月
ポエトリー:
『目覚め』
意外なほど ほっそりとした魂は
人々の隙間を縫って ツユクサの中に現れた
初めて見る生活の 一部になれた
それがまだ朝だってこと 誰も知らない
鳥たちのごきげんよう 僕だけの優越
生きるってこんなふうだったんだ
垣間見た
朝起きたら夢だった
それでも 新しい朝
悪い気は しなかった
2020年12月
ポエトリー:
『体は声』
体は声
限りある命だ
無駄に話したりしたい
いついかなるときも
私たちが立つポジション
近代の波打ち際
打ち寄せている
転がるワクチン
四角い定規を当てながら
寸法を測る仕事
時をかせいでいる
時間をほどいている
体を寄せる
過度に離したりはしないよう
いついかなるときも
あなたが運命の人ならば
静かに眠っている間にでもなら…
体を無造作に動かして
無駄に話したりしたい
あなたの方から手を伸ばしてほしいなんて
太古の眠りから目覚めたばかりの
私たちが待っていた体は声
いついかなるときも
あなたを呼びかける
2020年10月
ポエトリー:
『住処』
いつか生涯となった言葉の数々が
しっくりと体に沿ったダミーとなって横たわる
ニューヨークに一番近いところで寝そべる
丸くなったダミー
住処にサヨナラ
朝日は今日も静か
2020年12月
自転車で 荷物を落とした
振り返ると 人が手招く
自転車を止めると わたしは小さな丸になり
自転車の脇を 跳ねていった
毬になったわたしは 道を右に折れ
迷うことなく 皆の憩いの場 公園へ向かう
サッカーに興ずる子どもらが 毬を蹴り返し
誰に蹴り返したのかと 先を見やれば
手招く人がわたしを拾い上げ 小脇に抱えた
あなたはだれですかと尋ねると
わたしはあなたですと答え
毬のわたしは自転車のカゴへ
二人は仲良くお家へ帰った
家へ着くと 毬はおもちゃ箱
わたしは2階へ上がり 家族と夕飯の支度を始めた
誠に粗忽ながら 自転車から落ちたのは一体何だったのか
わたしは もはやなにがなんだか分からなくなっていた
2020年11月
ポエトリー:
「存在」
錐のように埋め込まれた確かな存在を一から探したい
2020年11月
ポエトリー:
ふと「愛の形」というフレーズが浮かびまして、英語で言うと「Shape of Love」ですね。洋楽にそんなタイトルの曲がありそうだなと検索したんですけど、ありませんでした。邦楽にはありました。懐かしの Every Little Thlng です。あと初めて聞く名前ですけど、DISH っていうグループにもあるようですね。
もっと大きなくくり、「Shape of ~」で見ていくと真っ先に出てくるのがエド・シーランの「Shape of You」。再生回数50億!笑いますね。あとパッと思いつくのはスティングの「Shape of My Heart」。映画「レオン」の主題歌として有名ですね。映画と言えば「Shape of Water」。とても素晴らしい映画でした。
「~の形」、他にも色々ありそうです。つまり目に見えないものにも形があるということ。『聲の形』という映画がありましたけど、声や文字、あるいは手話としての言葉だけじゃなく、体の動き、あるいは心の動きにも形はある。きっとそれは人それぞれが持っている個性にも繋がるものなんだと思います。
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『愛の形』
なんとはなしに 出会っていた
なんとはなしに 話していた
二人は同じ映画をみていた
やがて笑い転げた
僅かなすき間にすべり込む
二人の間にしのびよる
ふれあいのときを大切にしよう
限りある命
愛の形
なんとはなしに 時がたっていた
なんとはなしに かげっていた
疲れていた 虹のような階段は
思いの外 前へは進めずに
君のこと 君のことだけに
いつしかなって なってしまった
僅かなすき間にすべり込む
二人の間ににじりよる
大きな黒い塊が
不確かな命
愛の形
それともこれは何の形?
眠れぬ夜には
大きく帆を上げて
ゆっくりと漕ぎ出そう
高鳴る胸の荒波を
僅かなすき間にすべり込む
二人の間にしのびよる
ふれあいのときを大切にしよう
限りある命
僅かなすき間にすべり込む
時が経つのもものともせずに
大切な想いをここにとどめよう
命ある限り
愛の形
眠れぬ夜にそっと…
二人の間にそっと…
2020年10月
ポエトリー:
「やらかした」
受話器を離した
手のひらから
3秒前の記録が
零れる
坂道を転がり
アスファルトに馴染み
長雨と混じり
曖昧なまま僕のもの
いつの日からか
かりそめに転がり
内ポケットの
固定化された思い出
それを大事に
本物であるかのように
抱きしめる
本物の傷の
痛み
2020年9月
ポエトリー:
「林立」
軽く石畳に線を引いて
足を揃えた
林立する掌に白粉を塗った日
それでも新しく生まれてくるものに
何と応えよう
四つ角に
四季折々の自己嫌悪
あぁ手に負えない、けど秋には
飢えたポテト
チップスになってバリバリと
身近なものから順番に
月見の形に頬張って
だったらあなた、
翌朝早くに列車に乗ってお出掛けを
夕暮れの
ザクザクと拍を打つ落ち葉は
深呼吸の呼に窮して
二酸化炭素欠乏症
もうすぐ、ザアザアと夜がふる
洗い流す
夕立でもないのに何故?
音楽は
向こう側の
新緑の地域には行けなかった
音楽は
手すりを握れなかった
私たちは林立していた
お茶を沸かして立っていた
2020年9月
ポエトリー:
「III」
かなしみひかる星の空
まばたきひとつで落ちてくる
しずくを涙と取り替えて
あせふくしぐさも様になる
こよいだれかが郵便に
たくしたことばが川面に浮かび
ながれつくのはあの子の家の
はるかのきしたかなしみもうで
それとはしらずにぼんやりと
あのこは遠い求めに軽く応じて
かわらぬ声を手繰らせながら
はんどくらっぷ夜をつらぬく
よくあさひろがるかなしみが
なみ打ち際で行きつもどりつ
こころの糊代ズレはそのまま
なにもかわっちゃいないんです
とおい求めにゆられておきて
あちらこちらに変わらぬものが
みしらぬ誰かの招きに応え
けさはぐっすり休んでいます
こよいだれかが公園に
なくしたことばが川面にうかび
ながれつくのはあの子の家の
はんどくらっぷ手にやどる
それはわたしのそれともだれの
2020年8月