子供たちのヒーロー
愛の形
ポエトリー:
ふと「愛の形」というフレーズが浮かびまして、英語で言うと「Shape of Love」ですね。洋楽にそんなタイトルの曲がありそうだなと検索したんですけど、ありませんでした。邦楽にはありました。懐かしの Every Little Thlng です。あと初めて聞く名前ですけど、DISH っていうグループにもあるようですね。
もっと大きなくくり、「Shape of ~」で見ていくと真っ先に出てくるのがエド・シーランの「Shape of You」。再生回数50億!笑いますね。あとパッと思いつくのはスティングの「Shape of My Heart」。映画「レオン」の主題歌として有名ですね。映画と言えば「Shape of Water」。とても素晴らしい映画でした。
「~の形」、他にも色々ありそうです。つまり目に見えないものにも形があるということ。『聲の形』という映画がありましたけど、声や文字、あるいは手話としての言葉だけじゃなく、体の動き、あるいは心の動きにも形はある。きっとそれは人それぞれが持っている個性にも繋がるものなんだと思います。
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『愛の形』
なんとはなしに 出会っていた
なんとはなしに 話していた
二人は同じ映画をみていた
やがて笑い転げた
僅かなすき間にすべり込む
二人の間にしのびよる
ふれあいのときを大切にしよう
限りある命
愛の形
なんとはなしに 時がたっていた
なんとはなしに かげっていた
疲れていた 虹のような階段は
思いの外 前へは進めずに
君のこと 君のことだけに
いつしかなって なってしまった
僅かなすき間にすべり込む
二人の間ににじりよる
大きな黒い塊が
不確かな命
愛の形
それともこれは何の形?
眠れぬ夜には
大きく帆を上げて
ゆっくりと漕ぎ出そう
高鳴る胸の荒波を
僅かなすき間にすべり込む
二人の間にしのびよる
ふれあいのときを大切にしよう
限りある命
僅かなすき間にすべり込む
時が経つのもものともせずに
大切な想いをここにとどめよう
命ある限り
愛の形
眠れぬ夜にそっと…
二人の間にそっと…
2020年10月
The Ascension / Sufjan Stevens 感想レビュー
女性アーティストを応援するゾ!!
赤い公園『NOW ON AIR』
赤い公園『NOW ON AIR』
赤い公園を知ったのは『NOW ON AIR』です。もう6年前になるんですね。久しぶりに聴いたんですけど、相変わらず素晴らしい!ホント素敵な曲です。
下に貼り付けたライブ映像を見てもらえば分かるんですけど、ボーカルの佐藤千明さん、皆の耳目を集める天性のフロント・ウーマンです。残念なことに脱退してしまったんですけど、ホント素晴らしいボーカリストです。
サウンドも抜群にカッコいいです。勢いでバーッということではなく、ちゃんとテクニカルな部分が垣間見える。ベースやドラム、キーボード、それぞれに聴かせどころがあって、演奏を聴いているだけでも幸せな気分になれます。
なかでも印象的なのはギターですね。カッコいいフレーズがたくさん出てきます。ギター・リフって難しいですよね、変に個性出そうしてもダサくなるし、シンプル過ぎても耳に残らない。そこのさじ加減はもうセンスですね、この曲ではそういうシンプルでカッコいいフレーズがたくさん出てきます。2番が終わってラスサビへ向かうところのギター・ソロといったらもうカッコよすぎっ!
この曲を書いてるのはそのギターを弾いている津野米咲さんです。赤い公園全般の曲を書いているソングライターですね。サウンド・デザインも津野さんでしょうか。僕はあまり詳しくないのでその辺りはよく知りませんが、これだけの曲を書く人ですから、大部分でタクトを振るっていたのではないかと想像します。
『NOW ON AIR』
(作詞作曲 津野米咲)
日々の泡につまづきやすい
あの頃 毎日のように
ハガキにメッセージ
書き溜めていた
新しいものに流されやすい
この頃 ついうっかり
あなたの事を
忘れかけていた
今も私には
才能も趣味もないから
せめて せめて
Please Don’t Stop The Music Baby!!
レディオ
冴えない今日に飛ばせ
日本中の耳に
他愛もないヒットチャートを
めくるめくニュースを
この先もずっと
聴いていたいの
どんな人からも愛されやすい
あの子は 毎日のように
幸せそうな
写真上げている
当の私には
夢も希望も遠いから
どうか どうか
Please Don’t Stop The Music Baby!!
レディオ
冴えない今日に飛ばせ
日本中の耳に
ぱっとしないヒットチャートも
重たいニュースも
瞳を閉じて
聞いていられるの
レディオ
居なくならないでね
今夜も東京の街のど真ん中
ひとりぼっちで
NOW ON AIR
レディオ
冴えない今日に飛ばせ
日本中の耳に
窮屈なヒットチャートも
悪くないけど
レディオ
冴えない今日に飛ばせ
日本中の耳に
異論のないグッドチョイスな
いなたいビートを
いつもありがと
この先もずっと
二人の電波
たぐり寄せて
やっぱり僕たちには音楽が必要です。音楽には僕たちの傷んだ心をそっと押し上げる力がある。今、この曲を聴いて改めてそう思いました。
この素晴らしい歌詞を歌う最高の声と最高の演奏を多くの人に聴いてもらいたいです。なんてことない日々を過ごす私たちをそっと癒し、やさしく鼓舞する。ゴキゲンなビートで明日を肯定する素晴らしい曲です。
コロナ禍にあって大変な日々が続きます。もう誰もいなくなってしまわぬように、ひとりぼっちの部屋にこの歌が届けばいいなと切に願います。
SWEET 16 / 佐野元春 感想レビュー
エモい
その他雑感:
「エモい」
昨夜テレビでやっていた『鬼滅の刃~兄妹の絆~』を見まして、まぁ初めて鬼滅の刃を見たんですけど、すごく面白かったです。今朝、用事でドンキホーテに寄ったのですが、思わずグッズを買いそうになりました(笑)。来週は続きをするということなのでめっちゃ楽しみです。
見ていて一番に思ったのは、流行りの言葉で言うところの’エモい’というやつですね。感情の発露が生々しく描写されています。鬼にもその背後には悲しいドラマがあって、というのは見ていてシンドイです(笑)。家族の関係、敵との関係、仲間との関係、そのいちいちに激しいドラマがあって見ているこちらの感情を揺さぶる、そういうアニメだなと思いました。
テレビで有名人がこのアニメについて熱く語っている場面を見たことがありますが、見る人を熱くさせる要素がふんだんにあるように思います。僕は音楽が好きだからそっちの方面で考えてみると、音楽にも感情を波打たせるサウンドがあります。いわゆる’四つ打ち’というやつですね。
2、3年前だか邦楽には猫も杓子も四つ打ちという時期がありました。あれもやっぱり聴き手の感情を刺激するんですね。僕は音楽でも映像でも感情で煽られたくないというのがあって、それは僕個人の性格として割りとそっちへ引っ張られやすいというのを自覚しているからなんですね。音楽であろうとなんであろうと創造物に対してその本質以外のところで自分自身の評価を左右されたくない。そう思っています。僕がたまにこうやって文章を書くのはそういう部分も大きいです。
けれど考えるのは面倒臭いんですね。だから評価を感情に委ねた方がいい。その方が心地よいですしそれも分からなくはない。そしてそういう大げさな番組を見て感動して涙を流しても、その後は割りとあっけらかんとしている場合、これはいいんだと思います。言ってみればひとときの余暇、気の紛らわし、これはエンターテイメントが果たす大きな役割のひとつですから。
ただ気になるのはそこに、煽られた感情に引っ張られたまま日常が継続してしまうこと。例の半沢直樹もしかり、今の世の中、エモいが幅を効かせていますけど、ちょっとしたその積み重ねが少し心配になる気がしないでもない。
エモいと過剰さは隣り合わせです。物事の良し悪しをエモいに委ね過ぎないよう、少し引いてみることも必要かもしれません。エモいを余り体に詰め込みすぎないように、ですね。
Imploding The Mirage / The Killers 感想レビュー
洋楽レビュー:
『Imploding The Mirage』 (2020年) The Killers
(インプローディング・ザ・ミラージュ/ザ・キラーズ)
キラーズももういいかなと思っていたんですけど、先行の2曲を聴いたらもう止まりませんでした。久しぶりに解放感があって、何かこうスパークしてる。もしかしたらこのアルバム、いいかもしれない、そんな期待感を感じましたね。
ここ最近のアルバムも悪くはなかったんですよ、これぞキラーズっていう曲もちゃんとあったし新しいことにも取り組んでいたし。でもちょっと窮屈な感じはあったんですね。ちゃんと新作を出し続けてくれてたんですけど、なんか頑張って無理してるのかな~と。
今回のアルバムもキラーズ全メンバー参加ではないです。だからというわけじゃないのでしょうけど、とにかく沢山の人とコラボしてて、さっき言った先行曲のひとつ「Dying Bread」なんてビックリしますよ、ブックレット見たらソングライティングになんと11人!!でもこれこそがブランドンの吹っ切れ具合を示してるんじゃないでしょうか。
プロデューサーは主にショーン・エバレットとジョナサン・ラド。目を引くのはジョナサン・ラドですよね。彼はフォクシジェンっていうバンドのメンバーで、他にもいろんなとこでプロデューサーとして活動してますけど、割りとマニアックというか芝居がかったサウンドを作る人で、でも最高にポップっていう。だから最初ジョナサン・ラドが来るキラーズの新作のプロデューサーと聞いた時は僕の中でうまく繋がらなかったんですけど、アルバム聴いてると徐々に明確になってきました。
要するにキラーズのいいとこをグイグイ突いてくるんですね。例えばブランドンが「ちょっとそれやり過ぎなんじゃないの?」って言ったら、「いやいや何言ってんすか、キラーズはこれでしょう」、「そ、そうか、そうだな」みたいな(笑)。良い意味でジョナサン・ラドの芝居っ気にブランドン、というかキラーズが再生していったというような印象を受けますね。
象徴的なのが表題曲の「Imploding The Mirage 」です。ブランドンの良さってあの伸びやかな声が真っ先に浮かびますけど、ドラマチックな歌い方も魅力ですよね、名曲「When We Were Young」とか。「Imploding The Mirage 」では「When ~」とは反対側にある押さえた芝居っ気というか、例えばサビの「~camouflage」、「~collage」と韻を踏むとこのイントネーションが下がるとこなんてバタ臭いんですけど不思議とカッコいい。いや~、ブランドン、吹っ切れてんなー。
ま、キラーズ史上最強のウキウキソングと言っていいこの曲でアルバムの最後を締めるっていうのが全てを象徴してるかな。ブランドン、「イェイェ~」ってコーラスするぐらいですから(笑)。それにしてもジョナサン・ラド、いい仕事してるなぁ~。
あとはこれをライブで聴きたいということですね。2、3年前に来日した時は台風で来日が遅れて大阪公演が中止になったんですよね。東京は武道館だったんですけど、聞くところによると結構空席が目立ったとか。世界最強クラスのヘッドライナーが日本ではあまり人気がないというのは信じがたいですけど、コロナが明けた日にゃ懲りずにもう一度来日して欲しいッス。次こそ大阪公演、待ってるぜ!
やらかした
ポエトリー:
「やらかした」
受話器を離した
手のひらから
3秒前の記録が
零れる
坂道を転がり
アスファルトに馴染み
長雨と混じり
曖昧なまま僕のもの
いつの日からか
かりそめに転がり
内ポケットの
固定化された思い出
それを大事に
本物であるかのように
抱きしめる
本物の傷の
痛み
2020年9月