先日アップした『TIME OUT!』でこのブログでの佐野のアルバム・
TIME OUT! / 佐野元春 感想レビュー
タペストリー
ポエトリー:
「タペストリー」
しあわせ折れる
ふしあわせ 綴れおり
タペストリー 仕舞い込んで
しわは褪せ 踊る
瞼の上 大げさな太陽
染み込んでは 一度に吐き出す
ぐらいのまね してみるんだお前
吐かなかったろ ゆうべ
めぐり合わせ ていうものがこの世にあるなら
次第に遠ざかる太陽 次に現れるの
いつになるん
たるんだ瞼 一度に吐き出してみるんだ
間違っても 思い通りにならない
珍しい生き物飼って
それで手痺れる
写実な実験を課す
生え際から もらい泣きする輩
もらいなさい
適度にもらいなさい
小細工や小癪な真似通して
うろ覚えの手、握る
徹頭徹尾 私たちが選んだ人生の荒縄
ほどく手指抗うほど伸びやかな
強く引き締めた手綱
マグネットコーティングされた機体を
白熱する有機体を
混ざれ 混ざるな
生ぬるいかんしゃく玉を
はじけ はじけるな
十年くらい前の気持ち ここに集めて
おかわりする気持ち たしなめてください
第一発見者になる能力 ささやかな憂鬱
位置情報で確かめてください
今はどこだか分からぬまま塞ぎ込んで
ふしあわせ 指折り数えました
タペストリー 全部折り
ミリ単位で
つなぎ留める
2021年4月
The Shadow I Remember / Cloud Nothings 感想レビュー
ジョギング
ポエトリー:
「ジョギング」
裏側まで走る洗濯の群れ
白いシーツ雲に流れ
軽く走り込んで、去る
みたいな
うわべだけ
上手だね
「それジョギング?」
鷹揚に
すべりこむ
2021年4月
共感
ポエトリー:
「共感」
君によせた共感の
ほんの一ミリでもちゃんと伝わっていればいいのに
君の傾きを少しでも思い止まらせることができたらいいのに
なんて
夜の無責任
はな紙みたい
2021年3月
くるりと現在の日本のロック・シーンと今年のフェス
輪廻
ポエトリー:
「輪廻」
支えられる輪廻
ふた口めをスプーンにすくう
ぼくに出来ること
きみへの目覚め
少しおどかしてほしい
可愛らしいまつ毛におどる
台風のようなひとみ
渦の真ん中には一点
支えられる輪廻
向かわせてほしい
川は流れず吹きこぼれる
スプーンに三口めをすくう
音がして君のうちへ入る
2021年1月
When You See Yourself / Kings of Leon 感想レビュー
線
ポエトリー:
『線』
会いたくなると 凍えるの 吹きだまり 水色の 当てもない交差点 見上げれば ほら みんなが知っている水色 空 それなのに 頑なに こらえる心と体が一致する 夕刻まで待てないと あなたも一緒でしょ 一瞬で 夕闇にうっとりする人 もがき苦しむほど 場違いなはらわた 煮えくり返り おまえのせいだ おまえのせいだ とせっつく 軽く口止めする 輩 柔な瞳につっかえて 今晩のおかずは スーパーに立ち寄る秘密 冗談でいいから コロッケひとつ おまけしてください 真面目に話しかけると スーパーの店員の笑顔を鳴らし それでも雲の形は 変わらない もしくは変われない 水溜まり それを写す鏡 水色の空を見下ろし 派手に歪んだ似姿が ぼんやりと海の彼方へ あなたの方へ 帰りたい 帰りたいのと呟く 私の色は かまわないで足踏み 見上げれば 当てもない交差点 苦手な骨格が現れる 私の線がそこにある
2021年2月