ポエトリー:
「流れり」
薄いピンクのあなたの頬にそっと手を当て
浅い眠りについた朝ならほら
まだここにあるさ
まごついた手
でシーツを鷲掴みす
みたいに形なす花弁は
次第に痩せ細り
指先に流れり
太陽からの眺めもまた
まごついたまま
己が手でひと掴みする隙間などなく
時はよしなに流れり
listening…
淀みなく
listening…
時間が来たよ
薄いピンクのあなたの頬を
コップ一杯の水に汲んで
静かな朝の
時計は流れり
2021年6月
ポエトリー:
「流れり」
薄いピンクのあなたの頬にそっと手を当て
浅い眠りについた朝ならほら
まだここにあるさ
まごついた手
でシーツを鷲掴みす
みたいに形なす花弁は
次第に痩せ細り
指先に流れり
太陽からの眺めもまた
まごついたまま
己が手でひと掴みする隙間などなく
時はよしなに流れり
listening…
淀みなく
listening…
時間が来たよ
薄いピンクのあなたの頬を
コップ一杯の水に汲んで
静かな朝の
時計は流れり
2021年6月
ポエトリー:
「食事の準備」
彼女の耳たぶは茹でたてのニョッキ
味もそっけもない
彼は塩を一掴み
伝票を見て火加減を見て
この道二十年のベテランシェフの如く
段取りよく事が運んだ暁には
彼女のご機嫌もクリームソースのように滑らか
心を静める緑のバジルを加えて
今宵二人、トマトとチーズのように仲良し
冷めないうちにフライパンはそっちのけ
我が家のメインディッシュは
アクアミネラルと新鮮なラディッシュを添えて
ガーベラの花と灯りはうんと小さく
2017年2月
ポエトリー:
「ランチタイム」
ランチタイム
君の右手は栄養源を口元に運ぶ
身から出た錆
つい先日の事を悔いる
脚を組み替える
同僚が話しかける
聞こえないふりはしないけど実はまるで聞いちゃいない
今、心の中で決めた事がある
明日から昼はひとりで過ごす
今夜の夕食は豪華にする
それぐらいの事ではどうにもならないけど
何もしないよりかはマシ
がっかりしたままでは終わらない
私はいい人ではない
2017年3月
ポエトリー:
「たった一日」
12月31日は12月31日というだけで12月31日の顔をする
1月1日は1月1日というだけで12月31日の事など何もなかったかのように
1月1日の顔をする
三月の時で言うと
卒業式の日は期待するほど何も起こらない
何も起こらないけれど何も起こらないことで日々は過ぎてゆくということを知る
好きな人と初めて過ごした時
その翌日は素晴らしい一日
よく耳にする幸せとはこういうものかと体中で知ることになる
近しい人いなくなった時
現実が重くのしかかる
当たり前のことを知る
現実の意味を知る
たった一日で
この魂が砕けてどこかへ行ってしまうかもしれない
頭をぶつけたり、腕を失ったり、体全体が爆発してしまうかもしれない
もちろんいい事だって
一億円が当たったりだとか
その時はどういう気分か想像つかないけど
僅か一日ですべてが変わって見える
そんな一日を生きていると何度か経験する
僅か一日ですべてが変わって見えるのではなくて本当に変わってしまうこともある
例えば今住んでいるところがなくなっちゃうとか
とにかく
すべての事は僅か一日で変わってしまう
これまでがそうだったように私たちのこれからもたった一日で変わるだろう
とはいえ
さっきまで12月31日の顔をしていた12月31日がたった一日で1月1日の顔になるのだから
別にどうってことない
どうってことないだろう
2017年1月
ポエトリー:
「パークタウン」
穏やかな秋晴れの日
運河沿いのパークタウン
風は何を運ぶでもなく
無口をつらぬく
久しぶりに
外の空気を吸い込む
振り返るいとまもなく
今日にうちに含まる明日
手すりの向こうには
やりたいこと、やり残したこと
通りゆく船が
雑に混ぜ返す
秋晴れの日
景色は何も変わらない
水面は静か
風は何も運ばず
運河沿いのパークタウン
2021年10月