ポエトリー:
『嗚咽』
はしゃいだ記憶もとうに
凍土壁を掻い潜り海洋へ溶けだしていった
人から見れば
ずぶ濡れの記憶に何年も片足を浸したまんま
バランスを欠いた状態になっているのだろう
どこへ行っても逆らえないまま
まるで従来の高さには戻れず
結局、頼りない船に乗るしかない
改めてと折り合いをつけ
不自由なままシャツの釦を留める
あのさ、
言葉でないものを言葉で説明出来ないのだよ
日本人らしさとどう向き合ってゆけばよいのか
草ぼうぼうの空き地に根こそぎ沸いた日本人としてどう漕ぎ出せばよいのか
あのさ、
言葉でないものを言葉に出せないのだよ
言葉は嗚咽するしかなかった
君はそれにずっと耐えていたんだね
2019年1月