ポエトリー:
「ペグ」
よく晴れた日
飛ばされそうでペグを打つ
隣人は片方の靴下をもう脱いで駆け出していた
路面は暖簾のように緩やかで
どこからもようこそと言われているようだった
わたしたちの水銀灯は熱を帯びていた
これから何をしようと責任は取る必要のない朝
二重にした袋からも汁が漏れそうな気がして
振り返るたび路面は揺れる
一方向しかないベクトルの
業務用でしかない喧騒を
我が事として捉えることができるのは
将来の夢が固まったひとだけだと聞いた
「ほんなら誰もおれへんやん」
振り返るとそこに影がいた
影もろとも飛ばされないようにペグを打つ
とてもよく晴れた日
2024年12月