ポエトリー:
「きみよりの」
きみが何に急ぐのかぼくにはわからないけど
ぼくは手間どるのが結構すき
きみの手柄はぼくもうれしいけど
余るようならひとに分けてあげてほしい
きみとぼくがうまく合わされば今よりのんきになってしあわせになる
でものんきはぼくの性質だからぼくよりのしあわせということになる
ぼくとしては
ぼくよりもきみの方が少しだけしあわせになってほしいから
きみよりのしあわせがいいと思う
でもそれすら
ぼくよりのしあわせかもしれないけど
2025年1月
ポエトリー:
「きみよりの」
きみが何に急ぐのかぼくにはわからないけど
ぼくは手間どるのが結構すき
きみの手柄はぼくもうれしいけど
余るようならひとに分けてあげてほしい
きみとぼくがうまく合わされば今よりのんきになってしあわせになる
でものんきはぼくの性質だからぼくよりのしあわせということになる
ぼくとしては
ぼくよりもきみの方が少しだけしあわせになってほしいから
きみよりのしあわせがいいと思う
でもそれすら
ぼくよりのしあわせかもしれないけど
2025年1月
ポエトリー:
「ペグ」
よく晴れた日
飛ばされそうでペグを打つ
隣人は片方の靴下をもう脱いで駆け出していた
路面は暖簾のように緩やかで
どこからもようこそと言われているようだった
わたしたちの水銀灯は熱を帯びていた
これから何をしようと責任は取る必要のない朝
二重にした袋からも汁が漏れそうな気がして
振り返るたび路面は揺れる
一方向しかないベクトルの
業務用でしかない喧騒を
我が事として捉えることができるのは
将来の夢が固まったひとだけだと聞いた
「ほんなら誰もおれへんやん」
振り返るとそこに影がいた
影もろとも飛ばされないようにペグを打つ
とてもよく晴れた日
2024年12月
ポエトリー:
「片目でものが見えるのは」
片目でものが見えるのは
海が見える丘にいるからで
眼下に広がる白波の
向こうに富士が見えていた
わたしたちの住む街にゃ
俄に人が増え始め
通りを隔てたお向かいの
ひとに会うのもひと苦労
伝えに聞いたところでは
俄に増えた人たちの
口の端のぼる事柄は
向こうに富士など見えはせぬ
おかしなことを言うものだ
わたしたちの住む街にゃ
そんなひとなどひとりもおらぬ
向こうに富士がきちんと覗く
どれどれ様子をうかがうと
俄に増えた人たちは
両眼をしっかり見る癖を
長い旅路で付けたらしい
ほれほれ皆さん聞きなされ
向こうに富士を見たいなら
ここは海の見える丘
片目でものを見ることです
心配せずともこの街に
ひと月ばかりおりゃあええ
そしたら眼下に広がる白波の
向こうに富士が見えてくる
ここは海が見える丘
片目ぐらいがちょうどええ
片目が世界を映してくれる
2024年10月