感覚は道標 / くるり 感想レビュー

邦楽レビュー:

『感覚は道標』(2023年)くるり

 

くるり14作目のオリジナル・アルバムです。今回のメンバーはデビュー当時、要するにくるり結成時のメンバーだそうです。くるりはメンバーの出入りが結構あって、音楽的にも変わったことやってる人たちというイメージがあります。岸田繫の才能に任せてって感じですね。そんなくるりがデビューから25年経って元のメンバーに戻って作りあげたのが今回のアルバムだそうです。

さっきも言ったようにくるりは変態的な音楽をやっているイメージがあるんですけど、このアルバムはいたく真っすぐなロック・アルバムです。メンバーがメンバーだし原点回帰ってことでしょうか。とは言えそこはなかなかどうして一筋縄にはいきません。ずっとあれやこれやと色んな事に取り組んできた流れがあっての真っすぐなロック・アルバムですから、ものすごく聴きごたえがあります。積み上がってます。聴く人が聴けばこれもやっぱり変態的なんでしょうね(笑)。

でも不思議とすごく爽やか。デビュー・アルバムみたいに爽やかです。アルバム・ジャケットがなんじゃこれはという感じでオッサン3人が、ま、くるりのメンバーなんですけど(笑)、3人がただ座ってこっちを向いてるだけの写真なんですが、オッサンやのに不思議な爽やかさがある。アルバムを象徴するいいジャケットだと思います。なんか面白いアルバムです。

ピカソとか岡本太郎も実はちゃんとした絵を描けば凄いのを描くのだと思います。しかもめちゃくちゃ上手に描けるうえに、積み上げたものがあるから更に凄いことになる。言ってみればこのアルバムもそんな感じです。いろいろな取り組みをしてきたんだけど、初心に帰ってシンプルにバンドでジャムってみたら、初心だけでは絶対できないようなプラスアルファの凄いのができた。あと、岸田繫の持っているコマーシャルな部分が素直に出てきてるから、それこそ若い子に混じって歌番組で歌ってしまえるぐらいのポップさもある。デビューして25年経ってなお、こんなに爽やかでポップなアルバムを作れるんだからすごいバンドです。

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