ポエトリー:
「秋の気配」
好き勝手に物を言うあなたの言葉が
じゃがいも掘りのようにズケズケと現れては
そういやあれはなんだったっけと
言葉の夏が遠ざかる
昨日食べた夕飯の
苦味や嫉み
洗いざらいお皿に並べて
ひとつひとつを吟味してみれば
それらはかつて済ませた言葉
あなたにもほら、聞き覚えあるでしょ
あの時は確か
思い思いに言葉つらなり
テーブルの端からまっ逆さま
落ちた先で拾いもせず
心配しないで
なんて言わばハノウイタセリフ
分解して、
どうせのことなら5か国語ぐらいに刻んで
その余剰は箱にしまえば
片付ける準備はできたんですよね
窓の外からそんな声が聞こえてきて
とにかくもう秋の気配
僕は財布の中がすっかり空っぽになったこと
今ごろになってようやく気付いた
2022年11月