ポエトリー:
「ではまた」
わたしたちの
額に流れる汗
いつもより濃い目のコーヒー
通りに面したカフェで
わたしたちは互いの困難や苛立ちを語り合い
時には大げさに笑いあった
これまでの暮らしがわたしたちに与えたものは
初めから無かったものを無理やりぶら下げるようにして
雨傘や
時には進軍ラッパをかき鳴らし
人々がこうと決めた目的地まで
一目散、声を競ったんだ
見返りに求めたものは何だったのか
見知らぬまま胸ポケットの裏返し
朝昼晩、過不足ない食事を摂り
時折無駄をした痕跡
体のあちこちに歪む意思
もう二度と
交わることはないと知りながら
今日は昨日のこと
明日は今日のこと
わたしたちの
額に流れる汗
いつもより濃い目のコーヒー
無事に過ごせばいいじゃん
通りに面したカフェで
わたしたちは今日も
大げさに笑いあった
2022年8月