『黄昏の絵画たち~近代絵画に描かれた夕日・夕景~』感想

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『黄昏の絵画たち~近代絵画に描かれた夕日・夕景~』神戸市立小磯記念美術館 感想

夕方。夕暮れ。日暮れ。薄明。黄昏。これらは全て日が落ち始めた頃合いを表す言葉です。辞書を引くともっと沢山の言い方があるようで、古今東西、太陽が沈み始めるこの時間帯には人それぞれの感じ方があって、それもその時々によっても微妙にニュアンスが異なるという不思議な時間帯です。

電気がない時代はそれこそ日が暮れることが一日の終わりを告げる合図であり、ぐずぐずしているとあっという間に世界は闇に閉ざされてしまいますから、外にいる人は帰り支度をし足早に家路を急ぐ。現代でも夕暮れ時は時にせつなく、時に暖かな感慨をもたらしますが、古い時代の人々にとってはもっと生活に根差した時間帯だったのかもしれません。

というわけで、夕暮れ時は絵描きにとっても非常に感心のあるテーマ。特別展のテーマになるほど数多くの作品が、様々な角度から描かれ観賞されてきました。もしかしたら今までにも夕暮れ時をテーマにした展覧会はあったのかもしれませんね。

『黄昏の絵画たち』展では印象派が活躍した19世紀後半の海外の作品や、同じ頃の日本、明治期から大正期の作品が主に展示されています。最初のフロアが海外の作品。二つ目のフロアが日本の作品になります。

嬉しいのは日本のフロアに明治期の木版画が多数展示されていたこと。ここで瀬川巴水や吉田博の作品が見られるとは思わなかったので嬉しかったです。日本のフロアには木版画の他にも水彩画や日本画もあり多種多様。とても興味深かったです。

色々な夕景が描かれていますが、私が好きなのは赤みがかった割りと早い時間帯の夕景。それも初夏がいいですね。何かいい気分になります。冬は暗みが強くて悲し過ぎます(笑)。

ここに展示されている夕景を観て自分はどういう頃合いが一番好きなのか、そして何故自分はそれが好きなのかというところへ思いを馳せてみるのも面白いかも。自分では気付かなかった自分の新しい側面を発見出来るかもしれません。

小磯記念美術館にはもうひとつフロアがあって、そこにはその名の通り小磯良平の作品が展示されています。油絵から水彩画、写実からキュビスムまで幅広い画風に圧倒されます。今回展示されていた八千草薫さんの肖像画は綺麗だったなぁ。

小磯記念美術館。私は勝手に小ぢんまりとした美術館だと思っていたのですが、いやいや、とても立派な美術館です。フロアも広いし展示数も沢山あって、私は開館の10時頃に入ったのですが、全て見終わったのが13時30分頃でしたか。それも最後の方はお腹がすいたのでかなりの急ぎ足。それでなんと入場料800円ですから、何気にすごい美術館です!!興味のある方はしっかりと腹ごしらえをしてのぞんで下さいな(笑)

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